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人類の拡散シリーズ14 ~弓矢の発明1~

Posted By andy On 2010年12月4日 @ 9:46 PM In 5)人類の拡散 | No Comments

前回は土器について追求しました。
さて今回は人類史のターニングポイントとなった弓矢の発明についてです。

弓矢の発明前後で、人類の生活は一変します。
弓矢発明以前の人類は洞窟内で怯えながら生活していましたが、約1.5万年前弓矢を発明すると、人類は地上進出を果たし、人口も増加していきました。
この弓矢を発明するに至った外圧状況はどのようなものだったのでしょうか?また、弓矢を作るにはどのような知識が必要だったのでしょうか

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1.弓矢発明時の気候変動
弓矢の発明時期ははっきりとしていないが、洞窟壁画(フランスのラスコー洞窟、スペインのカステリョンの岩陰)から判断して、おそらく16000~14000年前頃。
※ただし、この頃の洞窟壁画や鏃の発掘状況によってはもう少し遡る可能性があるため調査が必要。
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ラスコーの壁画
写真はコチラ [4]からお借りしました。
当時の気候変動を大きく捉えると、

7.4万年前
トバ火山(スマトラ島)による寒冷化(噴火後2~3年で15℃低下)
→北半球で氷雪地帯拡大
9~2万年前 
約9万年前から始まったウルム氷期の最終氷期に当たり、海面は現在よりも 100m から最大で 130m ほど低下。イギリスが大陸と陸続き、ドイツ北部まで氷原が南下、森林地域はイベリア半島や地中海沿岸のわずかな地域のみ。
東南アジア周辺が陸地に(スンダランド)。日本列島もユーラシア大陸と地続きとなる。
2~1.4万年前 
最終氷期が終わり、温暖化が始まる。寒冷化と温暖化を繰り返しながらだんだん温暖化してゆき、北半球の北部まで人類は進出するようになる。とりわけ、スンダランドが1.4万年前から海没し始め、そこに住んでいた南方モンゴロイドが拡散してゆく。
1.3~1.16万年前
急激な短期寒冷期(ヤンガー・ドリアス期)
現在より平均気温は7~8℃低い。この時期に栽培→農耕が始まる。
詳しい気候変動はコチラ [5]を参照して下さい。

洞窟壁画が描かれた時期と重ね合わせると、弓矢は の温暖期に発明されたと推測される。

2.なぜ、温暖期に弓矢を発明したのか?
2万3000年前の寒冷期に人類は槍を使って、中型~大型動物(ほとんどはトナカイ、一部マンモスなど)を狩猟している(ex.シベリアのマリタ遺跡)。
これは、北方動物は大型化し、動きが遅かったため槍で仕留めるか、あるいは落とし穴を設置するだけで仕留めることができたから(ちなみにマリタ遺跡では、炉のある住居跡や衣服を作る道具も見つかっている)。
詳しくは、「日本人はるかな旅HP」 [6]参照。
一方、温暖期は北方動物が減少。植生が変化し、森の動物(牛、馬、鹿、ピゾン)が貴重な狩猟対象となった。槍は北方動物の狩猟には適していたが、動きの素早い森の動物達には不向きであった。そのため、遠くから獲物を狙う必要があった。
つまり、温暖化により増加した森の動物を狩猟するために、弓矢を発明したと考えられる。
事実、ラスコーの壁画などには、牛や馬や鹿などが描かれているが、トナカイやマンモスなどの北方動物はほとんど描かれていない。寒冷期に弓矢を発明しているのであれば、狩猟対象である北方動物が描かれてよいはず。

3.弓矢獲得による変化とは?
弓矢と投槍の違いは、どこにあるのでしょうか?
①持ち運びの容易さ
弓矢の利点は、矢筒に多くの矢を入れて持ち運べるということです。投槍は多く持ち運べても2~3本で、殆ど一発勝負です。それに対して矢は短く、軽いため、矢筒に入れて10本以上の単位で持ち歩けます。これにより、獲物を求めて歩き回る機動性の高い狩猟様式が可能になりました。

②発射に必要な動きの少なさ
矢は人間の運動ではなく、弓に蓄えられたポテンシャル・エネルギーによって発射されます。例えば投槍で獲物を仕留めようとすれば、狙いを定めてから実際に投げるまでの間に、1~2歩の踏み込みが必要になります。一方で弓矢は、狙いを定めた状態から、手を離すだけで、身体全体を動かすことなく発射することが出来ます。動物に気づかれずに飛び道具を飛ばせる確率が上がれば、自ずと狩猟の成功率も上がった事でしょう。

③飛距離の長さ
弓は時速100キロのスピードで発射できるようになったため、どんな攻撃力のある槍投げよりも高速だった。そのうえ、弓は200メートルもの距離から射ることができ、20M~50Mの距離なら驚くほどの命中度となった。この飛距離の長さによって、人類の狩猟はかなり安全性が増したと考えられます。

以上のように、弓矢はそれまでに使用されていた投槍と比較して、様々な優位性を持った狩猟具でした。この狩猟具の登場によって、人類は他の動物を対象とした狩猟を、生活の糧とすることができたのです。
最強の武器を手に入れた人類は、劣悪な洞窟から抜け出し、地上進出を果たしました。
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石鏃が刺さった動物の骨
写真はコチラ [7]からお借りしました。
4.まとめ
改めて、弓矢の発明過程を押さえ直すと以下の通りとなります。
①2万年前の最終氷期以後、徐々に温暖化
→北方動物が減少し、森の動物が増加
→槍では狩猟できなくなったため、弓矢を発明
②弓矢の発明は、「持ち運びやすさ」「狩猟時の安全面の向上」につながり、獲物の確保がし易くなった。
→最強の武器を手に入れ、人類は地上進出を果たした。


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[4] コチラ: http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20080425/p1

[5] コチラ: http://blog.kodai-bunmei.net/blog/2010/12/001166.html

[6] 「日本人はるかな旅HP」: http://www.kahaku.go.jp/special/past/japanese/ipix/2/2-06.html

[7] コチラ: http://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/hamahaku/03kanzo/sikahone.htm

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