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雌雄の役割分化 1 ~雌雄分化って何?~プロローグ

今回より、数回にわたり「雌雄の役割分化」についてを追求・考察していきます 🙄

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(画像はコチラ [1]よりお借りしました)

今回このテーマを扱う問題意識として、昨今巷でも話題の男女の中性化の問題があります

近代に男女同権論が主張されて以降、急速に男女の役割規範というものが消失し、現代我々は様々な課題?現象に直面していますね
例えば・・・
草食系男子」とか、「女性の話言葉の男性化」とか、「女性のホルモンバランス変化」とか・・・ 😥
このような「男女の中性化」が著しいと叫ばれている昨今のヒトのオスメス事情

なんで、こんなことになっているのか?気になりません?
それには、やはりこの「雌雄分化」の長く、壮大な歴史を振り返ってこそ初めて本質が見えてくるというもの!

気になる方は、いつものようにクリックしてから続きも是非見て下さいね
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今回は、プロローグということで、簡単に「雌雄の役割分化って何?」を「実現論:ロ」の一部を参照にしながら見て行きます

①「雌雄分化」は生物史上の大進化だった

「実現論:ロ 雌雄の役割分化」より引用 

生物史上の大進化はいくつもあるが、中でも生命の誕生に次ぐ様な最も劇的な進化(=極めて稀な可能性の実現)は、光合成(それによって生物界は、窒素生物から酸素生物に劇的に交替した)であり、それに次ぐのが雌雄分化であろう。生物が雌雄に分化したのはかなり古く、生物史の初期段階とも言える藻類の段階である(補:原初的にはもっとも古く、単細胞生物の「接合」の辺りから雌雄分化への歩みは始まっている)。それ以降、雌雄に分化した系統の生物は著しい進化を遂げて節足動物や脊椎動物を生み出し、更に両生類や哺乳類を生み出した。しかし、それ以前の、雌雄に分化しなかった系統の生物は、今も無数に存在しているが、その多くは未だにバクテリアの段階に留まっている。これは、雌雄に分化した方がDNAの変異がより多様化するので、環境の変化に対する適応可能性が大きくなり、それ故に急速な進化が可能だったからである

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ゾウリムシの接合(画像は過去のブログ記事 [5]より)
雌雄分化は、それまで単純分裂によるDNAの複製と個体数の増殖という術から、「接合」と言われる、一部のDNAの組み換えることのできるシステムを採ることによって、様々な環境に適応できる可能性が広がり、著しい進化を遂げることができたのです!

この適応可能性を大きく拓かせた進化として、雌雄分化は生物史上の大進化と言えるでしょう。

②「雌雄分化」は変異と安定という困難な課題を共存させることを実現した

「実現論:ロ 雌雄の役割分化」より引用

事実、進化の源泉はDNAの多様性にある。つまり、同一の自己を複製するのではなく、出来る限り多様な同類他者(非自己)を作り出すことこそ、全ての進化の源泉であり、それこそが適応の基幹戦略である。しかし、同類他者=変異体を作り出すのは極めて危険な営みでもある(∵殆どの変異体は不適応態である)。従って生物は、一方では安定性を保持しつつ、他方では変異を作り出すという極めて困難な課題に直面する。その突破口を開いたのが組替え系や修復系の酵素(蛋白質)群であり、それを基礎としてより大掛かりな突破口を開いたのが、雌雄分化である。つまり、雌雄分化とは、原理的にはより安定度の高い性(雌)と、より変異度の高い性(雄)への分化(=差異の促進)に他ならない。従って、雌雄に分化した系統の生物は、適応可能性に導かれて進化すればするほど、安定と変異という軸上での性の差別化をより推進してゆくことになる。(注:本書では差別化という概念を、優劣を捨象した客観的な概念として用いる。

ここで、肝心なのは進化の源泉はDNAの「多様性」にあるということ。
その為に、たくさんの同類他者を作り出すことになるが、これらはほぼ全てが外圧不適応態となってしまう。
その為に、これらの軸線上に存在する生物郡は、生物として存在するために必要な「普遍部分」=「安定」を司る性(メス)と、常に変化しつづける外圧環境に適応する為に必要な「可変部分」=「変異」を担う性(オス)とに分化、促進する方向に進化してきた。

この、変異と安定という一見合い反する機能を両立させ、様々な生物を環境に適応し進化させ今日の私達を含めた生物を形づくってきた大きな要因となっているのも「雌雄分化」だといえます。

③生物進化は雌雄役割分担の促進により進化してきた。

「実現論:ロ 雌雄の役割分化」より引用

事実、この系統の生物は雌雄の差別化をより推進してゆく方向で進化してきた。それは、雌雄が同じ役割のままでいるよりも、生殖過程はメス、危険性の高い闘争過程はオスという風に役割分担を進めた方が、より種としての環境適応が高くなるからである。例えば脊椎動物の系統では、魚のメスは卵を産み落とすだけで子育てなどしないが、爬虫安定性の求められる類になると卵を温めて孵化させる種が現れ、更に哺乳類になると胎内保育をし、その上かなり長期間子育てに携わる様になる。つまり、進化するにつれてメスの生殖負担がどんどん大きくなってゆき、そのぶん闘争負担は小さくなってゆく。他方のオスは、それにつれて生殖負担が小さくなり、そのぶん闘争負担が大きくなってゆく。例えば哺乳類は、一般に内雌外雄の集団編成を取っているが、これは外敵には闘争存在たるオスが対応し、その集団(オスたち)に守られて生殖存在たるメスと子供が存在するという、外圧に対する二段編成の構造(=同心円の構造)である。だから、オスが子育てをする哺乳類など、殆どいない。

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(画像はコチラ [6]よりお借りしました)

雌雄分化によって、進化してきた生物群のうち、より複雑化し高度化した生物種を眺めて見ても、生物の進化というのは、この「雌雄の役割分化」をより促進してきた形で進化してきたと見ることができます。

すごく簡単ではありましたが。実現論を引用しながら「雌雄の役割分化」の歴史を追ってみました。

「雌雄の役割分化」は、数十億年にわたって生物が常に変化していく外圧環境に適応していく為に必要な役割をそれぞれのオスという存在とメスという存在によって、塗り重ね進化してきたことがよくわかりますね
男と女の歴史はかくも壮大な歴史があったのです

そして、これからはこの数十億年にわたり塗り重ねられた、「雌雄の役割分化」の歴史と構造を数回にわたり紐解いていきたいと想います

ぜひ、楽しみにしていてくださいね

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