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脳に見るサル・人類の進化史 ~脳の活動部位:「言語」 2~

%E5%8F%A3.jpg画像は、こちら [1]からお借りしました。
Kumanaさんが紹介してくれた「脳に見るサル・人類の進化史 ~ヒトの活動と脳の活性 1~」 [2]に続き、ブロードマン脳地図による大脳新皮質の部位区分の中で、今回(2回目)は、「言語」についてのカテゴリーについて紹介します。
 
ブロードマン脳地図については、以下の通り。 「脳に見るサル・人類の進化史 ~ヒトの活動と脳の活性 1~」 [2]より

大脳新皮質の部位の区分は、ブロードマン脳地図(下図)をベースにしています。これはドイツの精神医学者で神経学者のブロードマン(1868-1918)が1908年に大脳新皮質を細胞構築の違いに基づき47の領域(欠番を含め1~52の番号)に分類したものです。後頭部から見て開いた図なので、左側が左脳、右側が右脳です。なお、図の下にある23、24、31、32といった部位は脳の内側にある皮質です。

言語についてブロードマン脳地図では、「音声言語」「文字言語」「その他」に分類しています。
 
言語の認識は、文字、音声、発声など、様々な要素が絡みます。
特に文字認識については、人間特有の能力であり、生物進化の中でも重要な要素の一つです。
 
どのような実験を行ったのか、その結果、どの部位が反応したのかを紹介します。
 
 
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それでは、それぞれの言語についての結果を説明します。
 
●音声言語:全21の実験
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音の韻を認識させる実験が、15個で多くを占めています。
以下に2つの事例を紹介します。
<事例1>
被験者に2つの単語を聞かせ、(テーブル、イス)など2つの言葉に関係があるか、(バンク=銀行、タンク)など1字違いの文字が韻を踏んでいるか、などを判断する際に反応する部位を調査する実験
<事例2>
頭文字を見せて、その単語を想像させ、その際の反応部位を調査する実験。例えば、「cou」を見せて、「cousin」を想像させる。そして、想像した単語を、次の2パターンにて確認する。①口に出さず心の中で思う ②言葉を口に出す
 
 
●文字言語:全24の実験
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文字の違いを認識させる実験が、12個あります。
以下に3つの事例を紹介します。
<事例1>
被験者に3つの単語、例えば(A、B、C)を聞かせ、最後の単語Cが、前者の2つA or B のいずれの類似後となっているのかを判断する実験
<事例2>
被験者に手紙を読ませ、その時の脳波を測定する実験。
<事例3>
視覚で単語を見て、耳で聞いた単語との違いを判断させることで、文字を使って、視覚と聴覚を統合する(繋ぐ)部位を調査する実験
 
●その他言語:全4つの実験
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音声言語、文字言語に明確に区分されない、様々な実験を行っています。文字を認識した瞬間の反応や、違和感に対する実験です。
以下に2つの事例を紹介します。
<事例1>
一部を隠した単語を一瞬見せ、隠した単語を当てさせることで、その瞬間の脳の反応を調べる実験
<事例2>
日本語ならば、「じ」と「ぢ」のような同音異義語に対して、例えば「ぢどうしゃ(自動車)」のような誤った単語を見た際の違和感に対して、どの部位が反応するかを調べる実験
 
 
 
言語については、左脳がより反応していることが分かります。
また、文字の認識はより後頭部(番号では19.39)、音声言語は中央から前側(番号では6.7.9)がより活発のようです。
文字言語は、両者が反応していますが、文字の試験を行う上で音声の認識が含まれていることも影響している可能性があります。

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