- 生物史から、自然の摂理を読み解く - http://www.seibutsushi.net/blog -

免疫って何?(12)~人類の進化は、観念進化に委ねられている~

%E7%94%9F%E5%91%BD%E9%80%B2%E5%8C%96%E5%8F%B2%E4%B8%80%E9%83%A8%28%E5%B0%8F%29.bmp [1]
シリーズ『免疫って何?』は、今回が最終回となります。そこで、あらためて免疫進化の歴史を踏まえつつ、生物・人類史の展望を大胆に予測してみたいと思います。

生きとし生けるものは、全て外圧(外部世界)に対する適応態として存在している。例えば本能も、その様な外圧適応態として形成され、積み重ねられてきたものである。また全ての存在は、本能をはじめ無数の構成要素を持っているが、それら全ては外部世界に適応しようとして先端可能性へと収束する、その可能性への収束によって統合されている。
『実現論』前史・イ [2]

免疫機能もまた、外圧(外部世界)が大きく変化した時に、その時代の先端可能性へと収束することによって、進化してきました。マクロファージ、NK細胞、リンパ球の順に、その大きな構造を見てみましょう。
その前に、応援のクリックをお願いします
ブログランキング・人気ブログランキングへ [3]にほんブログ村 科学ブログへ [4] [5]
いつもありがとうございます 😀
 


●マクロファージ 

極限の自然圧力殖産分化=多細胞化生殖母細胞が免疫細胞に特化(マクロファージ)


 『免疫って何(3)~マクロファージ、NK細胞、T、B細胞はいつから登場したのか?~』 [6]
 『免疫って何(4)~マクロファージはこうして食べる』 [7]
 『免疫って何(5)マクロファージの起源』 [8]

  
「全球凍結」(スノーボールアース [9])という極限の自然圧力を受けて、直後に出現したのが、多細胞生物のエディアカラ生物群 [10](海綿動物)です。多細胞生物では、生殖細胞と仕事細胞を役割分担することによって、種の保存上、最大の負担となる生殖を切り離し、体細胞を各機能ごとに特化・増殖していくことが可能となります。この殖産分化の軸上で、生殖母細胞の一部が免疫細胞として特化していきます。これが、マクロファージの起源です。
  
  
●NK細胞 

種間圧力上昇躯体分化促進変異加速装置(ガン細胞)駆除システム(NK細胞)

 『免疫って何(6)NK細胞の働き』 [11]
 『免疫って何(7)~NK細胞の標的であるがん細胞とは何?~』 [12]
 『免疫って何(8)~NK細胞の起源は?~』 [13]

  
カンブリア大爆発の時期に多様な種が登場することによって、種間闘争の圧力が高まり、これに対応するため、雄雌分化した生物群は躯体分化のスピードを加速します。ここで変異加速装置として登場したと考えられるのが「ガン細胞」ですが、その大半は失敗作であり、これを除去する役割を担うNK細胞が登場しました(おそらく一種のガン細胞で、たまたま適応的だった)。
  
  
●リンパ球 

種間圧力激化運動機能発達神経系高度化ウィルス駆除システム(リンパ球)

 『免疫って何(9)~リンパ球の組み換えの仕組み~』 [14]
 『免疫って何(10)~リンパ球の起源~』 [15]

 『免疫って何(11)~交配分裂も殖産分化も免疫進化も、大共通項は膜タンパク質の組み換え~』 [16]
  
種間闘争圧力が一段と高まってくると、躯体の運動能力を一段と高めるため、神経系を発達させた脊椎動物が登場します。この神経系の(シュワン細胞による)密着性と、(体内の標的細胞に正確に結びつくための)遺伝子組換え機能が、ウィルスの増殖を招きます。そのウィルス増殖に対応すべく、神経系の膜融合能と組換え機能を利用した免疫=リンパ球が登場しました。
 
このリンパ球の組換え機能に象徴されるように、生物の免疫機能は、主に「膜タンパク質」の組み換えによって膜の“認識機能”を高度化することで進化してきました。
  
   
●まとめ
    
生物は、新しい外圧が登場すると、その度に新たな可能性を見つけ出し、その新たな可能性⇒先端機能に収束することによって、全体を統合してきました。その際、それまでの古い機能は、その先端可能性の下に再統合されます。これまでの記事で明らかになったのは、免疫機能もまた、各時代の生物が先端可能性に収束し統合される過程の中で、再統合されてきたという事実です。
  
生存圧力を克服した人類にとって、最大の圧力は『同類圧力』(人間や集団同士が作り出す圧力)です。この同類圧力に対して、人類は、もはやDNA進化では適応できず、共認⇒観念を進化させることによって適応してきました。たとえば、農耕の発明も、「動植物の繁殖の仕組みや1年間の気候変化等を注視し、その法則を知るという自然観察→科学的思考の長い蓄積」 [17](観念進化)を土台にして、実現できたものです。
   
私達のブログ『生物史から、自然の摂理を読み解く』 [18]が、さまざまな角度から『自然の摂理』を追求し続けている理由も、ここにあります。
   
生存圧力を克服したはずの人類は今、新種のウィルスや、免疫疾患など、新たな脅威にさらされています。これらの脅威も、観念や共認内容の問題として捉えなおす必要があるのではないでしょうか?
  
  
冒頭の「生命進化史」は、なんでや劇場 [19]資料より転載。クリックすると、人類誕生までの歩みを見ることが出来ます。

[20] [21] [22]