2010-04-29

哺乳類の起源と歩み~他種との縄張り闘争に負けて樹上に逃避したのが霊長類の祖先~

哺乳類の起源と歩みシリーズ、前回は『原モグラ時代の性闘争「性闘争本能がもたらす適応矛盾とさらなる進化」』について学びました。
■前回のまとめ
哺乳類は弱者ゆえに性闘争本能を極端に強化し、その矛盾・限界を乗り越えて、新しい可能性に収束することによって進化した!
今日もそれに続きます。
今回は原モグラから霊長類への進化にスポットを当てます。我々のご先祖様はどのような外圧で進化していったのでしょうか?

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るいネット『繁殖力旺盛なネズミに追われて原モグラは樹上に逃避した』より引用します。

 現代型哺乳類の子孫は食虫目に酷似した原モグラですが、恐竜が絶滅した6500万年前から4000万年前までの間に、食虫目(=モグラ目)に限らず現存する哺乳類の種別の大半は出揃っています。その中でも齧歯目(=ネズミ目)の登場は早く、遅くとも5000万年前までには出現し、その旺盛な繁殖力を武器にして3000万年前には寒冷地を含めて世界中に拡散していたと言われています。その結果、かつて原モグラの主要な縄張りであった地面と落ち葉の隙間はこの齧歯目が制覇したと考えられます。

6500万年前、隕石により大型恐竜が絶滅し、小型動物が繁栄するようになってきました。必然的に小型動物での縄張り闘争が激化し、そんな中弱者ゆえにさらなる小型化戦略をとったのが「原モグラ」です。
6500万年前から4000万年前までの間は温暖期であり、様々な生物が適応放散していきました。そして種間闘争が激化した時期でもありました。
原モグラ(食虫目)は地面と落ち葉の間に生息しており、同じくそこに生息していた齧歯目との種間闘争が起きます。
どちらが種間闘争を有利にすすめたのでしょうか?
食虫目と齧歯目の違いを整理してみると、
 ■食虫目
  ・普段は単独で生活
  ・繁殖は年に1回、4~6匹の子供を生む
mogura.jpg
     画像はコチラから
 ■齧歯目
  ・基本的に群れで生活
  ・繁殖は年に5~6回、5~7匹の子供を生む
nezumi.jpg
     画像はコチラから
繁殖力・縄張り形成力とも齧歯目の方が優れており、原モグラ(食虫目)は種間闘争に負け、縄張りを追われていったと考えられます。
縄張りを追われた原モグラはどうしたのでしょうか?

 ネズミに追われるようにして、ほとんど原モグラの形態のまま地中にもぐったのが現在のモグラ(=食虫目)であり、一方、原モグラが持っていた鉤爪を生かして樹上逃避を試みたのが原猿(=霊長目)です。つまり、サル・人類の祖先である初期原猿とは、象徴的に言えば、ネズミにも勝てずに樹上逃避するしかなかった弱者だった訳です。
 だいたい4500万年~4000万年前に初期原猿は登場したと言われていますから、この樹上への逃避行は、齧歯目の登場から1000万年に満たない間に、木の枝から枝に飛び移るための四足の親指の骨格の発達、さらには枝を掴めるまでの指の対向性を獲得するに至ります。その結果はるいネットでもお馴染の樹上世界の制覇~同類闘争~共認機能の獲得です。

縄張りを追われた原モグラは、土中や樹上に逃げます。土中に逃げたのはモグラ(食虫目)になり、樹上に逃げたのが霊長類になります。
下図を見ていただくとわかると想いますが、原モグラ(エオマイア)の足は枝をつかめるようになってないので爪を引っ掛けて樹上に逃げたと考えられます。
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※エオマイア:足の指は一方向に揃っており、木の枝を掴めるようにはなっていない。体長は10~20cm。
木に登るだけでは、隣の木に飛び移ることはできないので逃げ切れているとはいえません。そこで、足の指で木が掴める様に親指の骨格を進化させていきます。
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※ノタルクトゥス:キツネザルやロリスなどの原猿類の祖先にあたるアダピス類に属する。他のアダピス類と同じく長い指に母指と足指をもち、物を握ることができ、樹上生活をしていたものと思われる。また、尾は長く、長い四肢、柔軟な背中をもち、敏捷に動いたと考えられる。

 なお、ヘビに追われて樹上逃避したのが原猿だという意見もありますが、むしろネズミetcの哺乳類繁栄に追随するカタチで、ヘビの進化や発展があると捉える方が自然です。確かにヘビは小型哺乳類の天敵と言う人が多いのですが、変温動物としての限界があり、運動活性が哺乳類よりも数段劣ります。また、その進化の系譜を見てみると、手足を無くし、毒によって自分自身の骨も脆弱になるなど、相当なリスクを背負い込んで小型哺乳類などの捕食機能に特化している、並びに、ヘビの繁栄は爬虫類の中では異常に遅いだけではなく、哺乳類の発展史よりも決して先行していない、特に毒蛇への進化は3000万年~2500万年前と食虫目・齧歯目の登場・拡散よりも後らしい・・・、これらの理由から原モグラを樹上に追いやった張本人とは考えにくいと思います。

原モグラ→サル(→・・・人類)につながる進化を見てきましたが、常に逆境の中で進化をしていったということがわかっていただけたかと想います。
そう考えると今まで生き抜いてくれたご先祖様に感謝の念が沸いてくるとともに、逆境から可能性に向ってあきらめずに進化していくのが生物の摂理だということがよくわかりますね 😀 。

List    投稿者 MASAMUNE | 2010-04-29 | Posted in 2)知られざる原始哺乳類No Comments » 

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