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オスとメスの違いって何?(4)~なぜ哺乳類・鳥類は性染色体でオス・メスが決まるの?

Posted By blogger0 On 2010年2月4日 @ 11:50 PM In ③雌雄の役割分化 | 3 Comments

Fig2.png
図は名古屋大学動物遺伝制御学研究室 [1]からお借りしました。

 性別が比較的はっきりしている魚類や爬虫類などでも、性染色体と呼べるものは無く、気温やpHなど外的要因で性別が決まります。(「オスとメスの違いって何?(1)~オスとメスはどうやって決まるのか~」 [2]

それに対して、哺乳類・鳥類では、性染色体で性別が決定されます。つまり、魚類・爬虫類など成体後に性別が決まる種とは異なり、受精段階で性別が決定されます。


なぜか?

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これは、「雌雄躯体分化」という概念で説明できると思います。
「オスメス分化の塗り重ね構造」 [3]から引用します。

III 雌雄躯体分化
・動物の場合、精卵分化から、雌雄の躯体が固定的に分かれるようになるまで、かなり長い歴史がある。脊椎動物の系統でも魚類の段階まで、雌雄同体と雌雄異体が併存。
「脊椎動物以前の生物はオス・メス固定度が低い」 [4]
・雌雄の躯体が分化していく背景には、摂取機能の高度化→種間圧力上昇・・・という循環的な外圧上昇構造が前提にある。
・体細胞系列の高度化の要請と同時に、各々の配偶子、生殖巣、生殖器etcを緻密につくりあげるためには、精子をつくる躯体(オス)と卵子をつくる躯体(メス)を分化させたほうが合理的。
・また、動物ゆえの種間圧力→摂取能力高度化・・・に対応するため、幼体保護と防衛力上昇の要請が加わる。これは必然的に(保存性に特化した卵子を持つ)メスの生殖負担の増大、そして、それとバランスするようにオスの闘争負担が増大させる方向へつながる。これは脊椎動物の進化史とも符合する。
・これらにより、動物の雌雄の躯体は分化していったと考えられる。

下記はこのブログの過去記事「性の起源~動物の性別決定は外圧に対応するための純粋な役割分担からスタート?~」 [5]からです。

外圧状況に応じた役割分化によって個体の性別が決定されるメカニズムの方が先行しており、より過酷な生存状況に置かれた哺乳類の段階から生涯固定の(≒染色体の組み合わせに支配された)性別=雌雄役割分担が常態化したと考えられる

すなわち、オス・メス両方の(あるいはどちらにも変異しうる)生殖腺を分化させるのではなく、発生段階からオスメスを固定し、片方(オスならメス、メスならオス)の生殖腺は分化させないことで、より高度に生殖器官を発達させたと考えられます。


●X染色体、Y染色体って何?



 発生段階でオス・メスを決定するため、哺乳類・鳥類では、性決定を司る遺伝子を持っています。哺乳類の場合、23対ある染色体の一つが性染色体と呼ばれており、この領域に重要な性決定因子があると考えられています。
senshokutai.jpg
上図の1番~22番が常染色体と呼ばれ、オスメスで同じ対ですが、23番目はオスメスで異なっています。これが性染色体と呼ばれ、XYという異なる組合せ(ヘテロ)だとオス、XXという同じ組合せ(ホモ)だとメスになります。

XYそれぞれの染色体の不思議については、過去記事を参照してください。

X染色体もY染色体も、もともとは相同な常染色体だったと考えられます。しかし、性決定因子(過去記事 [8]参照)の偏りが固定化されると、ヘテロ染色体の一方に固有の変異が蓄積されはじめます。相同性が欠失すると、交差(組み替え)が起こらなくなるため、どんどん遺伝子を喪失し、さらに変異を蓄積していったのではないかと考えられます。


●鳥類では、メスがへテロ、オスがホモなのは何で?

Fig2-5.png
図は「鳥類における W 染色体の分化過程」名古屋大学動物遺伝制御学研究室 [9]からお借りしました。

 人類を含む哺乳類では、XYがオス、XXがメスとなるのに対して、鳥類では逆に、ZZ(ホモ)がオス、ZW(ヘテロ)がメスになります。

この問題については、(まだ決定打と言えるような物証は無いのですが)次のように考えています。

哺乳類以前の脊椎動物は、食物連鎖の上位者から逃げ、下位者を補食することを最大の圧力源として生存しています。したがって、ひたすら身体機能を磨く方向で本能進化しています。そこで求められる身体機能とは、オスメス共通であり、かつ進化速度を早めるためには生殖を担うメス側に変異を蓄積する方が適応的です。

それに対して哺乳類は、胎生という淘汰圧が働きにくい生殖様式を持つゆえ、オス同士の性闘争本能を強化することで淘汰適応を実現しています。(「哺乳類の性闘争本能」 [10]

そこでは、オスの相対的な強さこそが決定的ですが、その差は常に僅差です。しかし、その僅差が圧力源であり、最先端の適応様式となった以上、獲得した変異はオスの染色体に蓄積していった方が適応的だったのではないでしょうか。(参考:「外圧適応態」 [11]

人類がそうであるがゆえに、どうしてもXY型を基準に考えがちですが、むしろXY型の方が特殊なのかもしれません。


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URLs in this post:

[1] 名古屋大学動物遺伝制御学研究室: http://www.agr.nagoya-u.ac.jp/~ikushu/study2.html

[2] 「オスとメスの違いって何?(1)~オスとメスはどうやって決まるのか~」: http://www.biological-j.net/blog/2010/01/000932.html

[3] 「オスメス分化の塗り重ね構造」: http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=166118 target=

[4] 「脊椎動物以前の生物はオス・メス固定度が低い」: http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=164195

[5] 「性の起源~動物の性別決定は外圧に対応するための純粋な役割分担からスタート?~」: http://www.biological-j.net/blog/2007/08/000266.html

[6] http://www.biological-j.net/blog/2007/12/000346.html: http://www.biological-j.net/blog/2007/12/000346.html

[7] http://www.biological-j.net/blog/2007/12/000354.html: http://www.biological-j.net/blog/2007/12/000354.html

[8] 過去記事: http://www.biological-j.net/blog/2010/01/000934.html

[9] 名古屋大学動物遺伝制御学研究室: http://www.agr.nagoya-u.ac.jp/~ikushu/study2more.html#b

[10] 「哺乳類の性闘争本能」: http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=1321

[11] 「外圧適応態」: http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=3996&pgh=0

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