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オスとメスの違いって何?②~性決定因子の働きがオスとメスを分ける~

Posted By arinco On 2010年1月21日 @ 9:19 PM In ③雌雄の役割分化 | 3 Comments

こんにちわ。arincoです。前回、オスとメスの違いって何?①~オスとメスはどうやって決まるのか~ [1]では、様々なオス・メス決定のパターンを紹介しました。
再度古い順番に型をまとめると、
①雌雄同体型
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雌雄同体魚マングローブ・キリフィッシュ。体長5㎝。両性生殖腺を持ち、脊椎動物では唯一自家受精を行う。 
②性転換型
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性転換魚オキナワベニハゼ。体長2~3㎝。群れ内の個体の体格差により雄⇔雌の双方向に性転換する。
③孵化時環境決定型
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温度依存型性決定のカミツキガメ。孵化時の温度28度前後でオス化し、低温または高温でメス化する。
そして、哺乳類に代表される、
④遺伝子決定型
に分けられます。 
②以降は、まとめて雌雄異体と呼ぶ事も出来ます。
 そもそも雌雄分かれていなかったリ、生まれた後も周辺環境によってオスになったりメスになったり、生まれる時の温度でオス・メスが決まったり・・・・・…と、様々な性決定要因がありますが、
前回の投稿でも触れた様に①~③までの生物の共通点は、性染色体を持っていないという点に尽きます。
言い換えると、
彼らの性は、性染色体の有無で決まっているのではない!
という事です。
 性染色体の有無でオス・メスが決定されているのではないのだとすると、彼らの性決定メカニズムはどうなっているのでしょうか?


①雌雄同体型は、精巣形成DNAと卵巣形成DNAの両方を発現させている型
 性染色体に拠らないオス・メスの性決定メカニズムに迫る為には、その前段階の雌雄同体型の仕組みを整理する必要があります。
 雌雄同体とは、一つの固体が精巣も卵巣も持っている生物ですが、彼らは、DNAの中に、卵巣形成DNAと精巣形成DNAを持っています。
 これらの両DNAは、固体の成長に伴って、同時に発現します。
このDNAが発現すると、2つの未分化生殖腺(生殖器官)の一方が卵巣、一方が精巣に分化し、同時に機能します。このようにして、雌雄同体型は、精巣・卵巣を形成しています。
 ここでのポイントは、
雌雄同体型は、精巣形成DNAと卵巣形成DNA両方有している
という事です。
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②雌雄異体型は、雌雄同体型が持っている精巣・卵巣形成DNAの一方の働きを拘禁する事で実現した型 
 雌雄異体型は、当然雌雄同体型が進化したものですが、どのようにしてこの進化を実現したのでしょうか。
 この問いに対する明確な答えは、現在明らかになっていないのですが、この様に考えれば非常にスッキリする!という仮説を提示したいと思います。 
 その仮説とは、
 雌雄同体型が持っている精巣・卵巣形成DNAの内どちらか一方を働かなくする=拘禁する事で、精巣のみを持った躯体=オス、卵巣のみを持った躯体=メスを実現した!
というものです。拘禁因子はホルモンを想定しています。
 具体的には、
卵巣形成DNAの発現をおさえるホルモンを造卵拘禁因子g
 精巣形成DNAの発現を抑えるホルモンを造精拘禁因子lとします。
gは、l及び卵巣形成DNAを、lは、g及び精巣形成DNAを相互に拘禁する因子です。
 そして、これらのg,l両拘禁因子が温度・体格・ph等の周辺環境の影響で相対的な強弱が生じ、2つの生殖腺(生殖器官)が精巣か卵巣の一方に統一される。
その結果、精(卵)巣由来のホルモンが躯体をオス(メス)化する

という考え方です。
 この「拘禁因子」という考え方は、突飛な考え方でもなんでもなく、生物の仕組みの中では、酵素活性のON,OFF等、ごく一般に見られる現象です。
 このように「拘禁因子」という考え方を性染色体に拠らない性決定メカニズムに当てはめるとなぜ周辺環境によってオスメスが決定するのか。成熟した躯体がオスにもメスにもなるのか。を非常に上手く説明できます。
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 今回は性染色体に拠らない性決定メカニズムを解明しましたが、一方で爬虫類の一部や鳥類、哺乳類等進化した動物は、性染色体による性決定メカニズムを採用しています。
 次回は、なぜ生物は進化と共に性染色体による性決定メカニズムを採用したのか。そもそも性染色体とは何か?を解明していきたいと思います。
 


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