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逆境こそ進化の源泉~圧力構造の進化過程~

前の記事に引き続き、これまで生物が歩んできた逆境について、基本認識となるるいネットの記事群を紹介したいと思います。逆境と聞いてギョッとしてしまう人いません?今日紹介する記事を読むと、逆境に感謝の念がわきますよ
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画像は月本事務所さま [1]からお借りしました。



「逆境下で生物は進化した」 [2] るいネットより引用
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=125976

生物の進化は決して直線的ではない。連続的に下等生物から高等生物に予定調和的に進化したわけでは、決して無い。
事実は、自然環境の激変から多くの種が絶滅し、その際に新環境に適応する機能を奇跡的に生み出した(DNAを変異させ新機能を飛躍的に特化させた)新種が、もしくは従来生物が棲んでいなかったニッチに奇跡的に適応した新種が、その後辛うじて生き延び、多様に適応放散したということである。その過程では99%は、この一か八かの賭けに失敗し絶滅している。つまり、好き好んで、より良い環境を求めて新天地を切り開いたという俗にイメージされている進化観とは全く逆なのだ。
この環境変化をもたらすのは一つは地球環境それ自体の激変である。一見安定的に見える地球環境だが、マントルの活動の変化や隕石の落下などにより、高熱化、氷結、酸素濃度の著しい変化等、生物史上度々災難を生命にもたらしている。もう一つは旧制覇種の異常繁殖による環境の激変である。

外圧の最規定部にある自然外圧。その中でも最大の逆境は以下の5つ。

「史上最大の大量絶滅」 [3] るいネットより引用
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=126044

海棲無脊椎動物の大絶滅 ※1
1. 古生代オルドビス紀末(4億4000万年前) 種の絶滅84% 
2. 古生代デボン紀後期(3億6500万年前) 種の絶滅79% 
3. 古生代ペルム紀末(2億5000万年前) 種の絶滅96% 
4. 中生代三畳紀末(2億1000万年前) 種の絶滅79% 
5. 中生代白亜紀末(6500万年前) 種の絶滅70%
各々の原因は異なるのですが、海棲無脊椎動物の大量絶滅の痕跡から明らかになっている史上最大の大量絶滅は3.の古生代ペルム紀末の2.5億年前におきました。その規模は生物の種の殆どがその時に絶滅してしまったといわれるほどのものです。特に海洋中においては約96%もの海棲無脊椎動物種が絶滅するという凄まじいもので、有名な三葉虫もこのときに絶滅しています。
三葉虫の他にも古生代型サンゴ、ウミユリなどの海底固着型の生物、さらに有孔虫や放散虫といったプランクトン動物、古生代の海中に生息した多様な生きものの多くがこの時一斉に絶滅します。陸上でも昆虫類、単弓類等の多くが絶滅しました。そして、このペルム紀における陸・海生物の大量絶滅の引き金になったのが、一説では約3億年前にできた巨大な超大陸パンゲアの分裂ではないかと考えられています。
この超大陸は2.5億年前に分裂して現在のバラバラな大陸配置になったのですが、その分裂の際、地中深くでは巨大なマントルの上昇流が発生。その結果、大規模な火山活動が起こり、大量の二酸化炭素が吐き出されます。その大量の二酸化炭素は温室効果で気温の上昇を生み出し、それと同時に大気中に放出されたメタンと酸素が化学反応を起こし、著しい酸素濃度の低下を引き起こしたようです。※2
そして、この温室効果と酸素濃度の低下という環境の大変化こそが、ペルム紀の陸・海生物大量絶滅の原因ではないかと考えられています。※3
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※1.『海棲無脊椎動物の多様性の増減グラフ(ジャック・セプコスキー、デヴィド・ラウプ両博士作成)』により、過去6億年前に遡る地球の歴史において、計5回にわたる大規模な生物の絶滅事件(通称ビッグ・ファイブ)が存在したことが示されている。
※2.現在、ペルム紀の大量絶滅の原因については諸説あるが、ペルム紀後期に措ける海中の酸素濃度の著しい低下及び、温暖化についてはほぼ事実確認されている。
※3.古生代に繁栄した単弓類(哺乳類型爬虫類)はこの際に多くが死に絶え、低酸素環境に対する適応能力を先に身に付けていた恐竜が、次の時代に繁栄したと推測されている。

このような自然外圧を最規定にしながら生物は種間圧力を先端の圧力として進化していきます。

「新生代は種間圧力の急上昇する時代」 [4]るいネットより引用
 http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=126693

 進化史・生物史の板でもかつて議論され、一定の結論に至った内容のひとつに、生物をとりまく外圧は、大きくは自然圧力から種間圧力に移行してきたという認識があります。具体的には、カンブリア爆発の直後の約5億年前には、脊椎動物を中心に多細胞動物の種類は一桁上のレベルまで急増しています。これだけでも種間圧力の急激な上昇は容易に推測できます。
『ビッグ・ファイブ』、つまり自然環境の激変による大絶滅がその後5回ほど起こっていますが、大絶滅直後には再び適応放散によって生物種は急増し、とりわけ2億年前の哺乳類の登場以降は、その上昇カーブはさらに右肩上がりになります。恐竜が滅びたことで有名な6500万年前の大絶滅(=最後の『ビッグ・ファイブ』)による生物種の減少も、哺乳類を中心にした生物種の増加によってアッと言う間に取り返し、その増加基調は人類の文明時代に入るまで続いてきました。
 この事実からは、多細胞動物の登場以後は種間圧力が徐々に生物界の主要な外圧として上昇し、特に哺乳類全盛の新生代(6500万年前~現代)は、哺乳類の種類の増加(=種間圧力による逆境の連鎖)がさらに多様な進化を加速度的に促進してきたことがわかります。このようなスパイラル構造は統計学的分析からも確認されています。

そしてさらに人類は、皆の期待に応えるという同類圧力を最先端の圧力としていきます。

実現論「共認社会の生存圧力と同類圧力」 [5] るいネットより引用
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=100&c=4&t=2

既に動物的な生存圧力を克服した共認社会では、人類的課題に対する期待・応望の同類圧力=共認圧力が解脱充足と並んで主活力源となり、人々の期待に応える政治や哲学や科学や芸術が主活動となる。そして、期待・応望を主活力源とするそれらの活動は、評価収束によって必然的に創造闘争=共認闘争の圧力を形成し、それが期待・応望の主活力を加圧する。つまり、共認社会の同類闘争は、人類的課題に応える創造競争=共認闘争となる。(政治であれ哲学であれ科学であれ芸術であれ、提起された認識は共認の獲得を目的としており、最終的には社会共認となることを目指しているので、創造競争は本質的には共認闘争である。)但し、あくまでも人々の期待に対する応望が主目的であって、闘争が主目的なのではない。闘争圧力は、評価収束によって期待・応望から必然的に派生する期待・応望の強化圧力であり、それによって人類的課題に対する期待・応望の活力は、極めて強力なエネルギーを持つことになる。  
   
 人類的課題に対する期待と応望を主活力源にして創造活動を営み、評価収束による創造競争=共認闘争(=同類闘争)によって圧力=活力を高め、その同類闘争を同じ評価収束⇒評価共認によって統合する社会、これは原始人には夢想だにできなかった社会である。にも拘わらず、同類圧力=共認圧力を生命源とする社会であるという根本パラダイムは、極限時代と同じである。ただ人類は、動物的な生存圧力の場を超えて、超動物的な同類圧力=共認圧力の場へ移行する段階を迎えただけである。それは、共認動物が到達するべくして到達した必然的世界であり、実は滅亡の危機に瀕した今こそ、動物的限界を引きずっていた前史が終わり、真の人類史が始まる、その起点となる時なのである。

通して読むと、種や群として外圧に適応するために、自然圧力から始まって、種間圧力、同類圧力とより先端の圧力構造を作り出すことによって生物は進化してきた。そして同類圧力=共認圧力は、私たち自らが作っていく圧力でもあります。この圧力構造の変化を認識し、転換していくことが出来るかどうかが、あらゆる局面での適応の鍵を握っているのではないでしょうか。

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