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単雄複雌型の生殖集団~ハヌマンラングール編~

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こちらから画像をお借りしました
ハヌマンラングール [1]
『子殺しは雄にとっては適応的』とはどういうことなのか?
縄張りを小さくする方向に適応してきたハヌマンラングール(サル)の生殖集団について紹介します。
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生殖年齢に達した娘・息子ともに放逐し、更にはオスも減らして縄張りを縮小してゆく方向に向ったのが、ハヌマンラングールやゴリラです。(この方向に向った原因としては、上記の集団統合の困難さに加えて、首雄がメスたちに逃げられない様にいつも身近にいてサービスに努める必要があるという点も大きいと、思われます。)そして、いったん縮小の方向に向かうと、制覇種の中の最強者たる首雄にとって、縄張りの防衛は容易なことであり、それよりも群れの中のオスたちとの性闘争の方がより重要な第一義課題と成ります。つまり、縄張り闘争上の仲間であることよりも、性闘争上の敵である側面の方が強く意識されます。こうして、全てのオスを追い出した単雄複雌型(≒原猿型)の生殖集団に後退してゆく事になります。 種間闘争→大型化の矛盾と特殊解 [5]

 インド北部に生息するハヌマン・ラングールはハーレムを形成し、ボスが雌のグループに対する性的接触を独占しますが、もっと強い雄が現れてハーレムを力ずくで乗っ取り、ボスの交代が起こると、新しい雄は離乳前の子どもを殺そうとします。子ザルを殺された母親はまもなく授乳が止まり、発情を再開します。雌はわが子を殺した相手の求愛を受け入れ、その雄は雌の次の子どもの父親となります。雄の繁殖にとって潜在的な資源である母ザルは、子ザルの死によって実質的な資源に変わるのです。従って、子殺しは雄にとっては適応的なのです。反対に、雌にとっては仔を殺されるのは明らかに適応的ではありません。雌たちはしばしば姉妹や近親どうしであるので、狙われている子ザルが生き延びることに関して、遺伝的利益を共有しています。そのため、群れの雌同士が協力して子を隠したり守ったりすることがあります。しかし残念ながら雄は雌よりも大きく、腕力でもはるかに勝っているため、たいていは子殺しに成功してしまいます。
 この行動は発見された当初はその行動のあまりの突飛さ、残虐さにより、そして当時考えられていた「種の利益」にそぐわず、ほとんど認められませんでした。しかし、その後アフリカのライオンにおいても同様の行動が発見されました。タンザニアのライオンも、単独の雄が複数の雌を抱えて繁殖し、雄が入れ替わった際に新しい雄は群れの中の乳児を殺すことがあります。この発見によって、ハヌマンラングールの例も広く認められるようになったのです。その後さらに、複数のサル類やジリス、イルカなどでも同様の行動が確認されています。
 なお、ハヌマンラングールはインドから東の地域にも分布しますが、その地域では雄は単独でハーレムを維持するのではなく、雌の群れに複数の雄がいます。その地域では上記のような子殺しの行動は見られないそうです。このような子殺しの行動は、単独の雄と複数の雌でハーレムを形成するタイプの動物特有のものと考えられています。http://amateurd.blog46.fc2.com/blog-entry-20.html [6]

子殺しという行為は、単雄複雌型の生殖集団に当てはまる。
理由は、大型化?、若しくはすさまじい外圧があるためか?
集団統合上、難しくなったためだと思われます。

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