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哺乳類は宇宙では子供ができにくい?

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今週の科学系の新聞記事に気になる 🙁 内容がありました。
まずその記事の紹介から
記事参照 [1]

哺乳(ほにゅう)類の受精卵が育つには一定の重力が必要なことが、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の若山照彦チームリーダーと広島大の弓削類(ゆげるい)教授らの共同研究でわかった。
 宇宙ステーションや重力の弱い月、火星では子どもができにくい可能性があり、未来の宇宙移住構想に影響しそうだ。25日付の電子版の米科学誌に発表された。
魚類や両生類は宇宙空間でも繁殖することが実験でわかっているが、哺乳類では1979年にロシアがラットの繁殖に失敗。その後は実験が行われていない。
研究チームは、弓削教授らが開発した装置「3Dクリノスタット」で、ほぼ無重力の状態を地上で再現。マウスの体外受精を試みた。
卵子が受精する確率や、受精から24時間後に細胞が二つに分かれる確率は通常と同程度だったが、さらに無重力が続くと、子宮に着床する前の胚盤胞(はいばんほう)まで育った割合は30%で、通常(57%)の半分に落ちた。その胚盤胞を子宮に移植して出産に至ったのは16%で、通常(38%)より低かった。
結局、子どもの生まれる割合は、地上の重力の場合の4分の1にとどまった。生まれた子は正常だった。
若山さんは「哺乳類でも影響はないと予想していたのでショックだ。宇宙に人類が進出して子孫を残すには、どの程度の重力が必要かを調べ、対策を考えないといけない」と話す。
宇宙空間の場合は、大型の基地を回転させ、遠心力で“人工重力”を生み出す方法がSFなどに登場する。
(2009年8月25日16時07分 読売新聞)

哺乳類は、宇宙では子供ができにくい・・・・ちょっと ショックな話題です。
しかし、なぜ宇宙ではできにくいのか?
今日は、仮設満載になりますが、ここに突っ込んでみようと思います。
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なぜ、哺乳類は宇宙空間で繁殖の確率が落ちるのか?
私は、この記事を読んだ時、原因は「中心体」ではないか?と思いいました。

中心体については、このブログやなんでや劇場で以前勉強してきました。
関連する部分を再度思い出してみると・・・・
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中心体は、細胞内で微小管を伸ばし細胞骨格を形成したり、細胞分裂時に真っ先に2つに分裂し細胞内の両極に移動し、核内の染色体に中心体から伸びた微小管がくっつき、2つにコピーされた染色体を両極に移動させます。この繰り返しで多細胞生物は成長していきます。
なぜ中心体・微小管が原因では?と思ったのか?
以前調査した時、微小管は、重力状態で初めてまともに機能するのでは?との記事がありました。
次にその記事の紹介です。
以下 『ニューサイエンティスト』誌から最新の科学ネタを [5]より、抜粋引用。

「なんという落胆であろうか!我々は宇宙植民地の夢をあきらめねばならないかもしれない」 [6]
生きている細胞の内部には“骨格”が存在している。ところがフランスの研究者たちによれば無重力状態ではこの“細胞骨格”は充分に形成されない恐れがあるという。 この知見は、少なくても人工重力の下での宇宙生活という人類の野望をくじく可能性がある。 彼らの研究によれば、これまでの通念とは正反対に、重力が化学反応にも影響を与えているという。
大部分の細胞は、微小管によって形成された細胞骨格を有しているが、細胞骨格はチューブリンというタンパク質から形成された繊維だ。 グルノーブルにあるフランス原子力委員会の研究所に勤めるジェームズ・タボニー らの研究チームは、ほ乳類のチューブリンの冷却溶液と、エネルギーを放出する働きがあるGTP(グアノシン5 ‘-三リン酸)を体温にまで温め、6分間放置したところ、微小管は、はっきりと帯状の物体を形成したのである。
驚くことに、この帯状物体は、重力と直角の方向に形成され、回転している環境の中では、遠心力と諸学の方向に形成された。 重力が帯状物体の形成に決定的な影響を与えていることを証明するために、この研究チームはチューブリンを欧州宇宙機関(ESA)のロケットに搭載し、13分間にわたって無重力実験を行った。 この決定的な6分間のあいだ、一方のチューブリン標本は微小重力の中で温め、もう一方は遠心分離機で回転させて遠心力を与えた。 遠心力を与えた微小管は通常通りの帯状物体を形成したが、微小重力だけにさらした微小管は無定形に伸びていった。 「この結果から、重力が形態形成の引き金を引いていることが判明した」とタボニーは語る。
(以下略)
デボラ・マッケンジー  記事『ニューサイエンティスト』誌 (New Scientist、2000年7月15日号)

宇宙空間の無重力状態では、哺乳類は子供ができにくい(実験は16%)。これは、染色体を分け細胞分裂の中心的役割を担う中心体と微小管が原因では?と思います。
重力がない宇宙空間では、微小管の伸張は重力に対する一定の方向を失い、四方八方に勝手に(無定型)伸びるのではないでしょうか。そのため染色体等の胚の分裂確率が極端に下がるのではないか?と思います。卵割が進み数が多くなればなるほど正確に分ける確率が落ちていく。
しかしそうなると、魚類と両生類が宇宙空間でも繁殖するのは?と言う疑問にぶち当たります
魚類・両生類は、卵から分裂する段階で水中の浮力の中に存在するため、地上とは違う外圧状況で適応してきたからか?または、卵という形態が何らかの保護を行うのか?
まだまだ調査不足の状態ですが、外圧に適応して進化してきた生物にとって、生物誕生時から一貫してかかってきた重力の影響は、細胞分裂の中心的役割を担う中心体・微小管にも大きな影響を与えてきたのではないか、と思います。
上記画像は、こちらからお借りしました。リンク [7]
『視覚でとらえるフォトサイエンス生物図録』数研出版編集部, 鈴木孝仁監修、数研出版(2007/02)

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