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男女間における恒常性維持の仕組み

Posted By kawait On 2009年8月25日 @ 5:13 PM In ③雌雄の役割分化 | 3 Comments

生物の外圧適応の仕組みとしての恒常性(ホメオスタシス)維持の仕組みには、明確な男女差がありそうです。 :wink:
人類の場合、この恒常性維持の仕組みとして代表的なものが、交感神経と副交感神経とによる体内バランス維持の仕組みです。
img55318986.jpg [1]
大雑把に分類すると、
          交感神経    /  副交感神経
機能分類   :闘争、労働、運動/ 休眠、内臓活動(消化等)
         興奮、緊張感、  / リラックス
         恐怖、危機感、  / 安心感、修復
神経伝達物質:アドレナリン    / アセチルコリン
         ノルアドレナリン
というように、外圧の変化に応じて神経伝達物質を使い分け、身体の諸機能の働きを変化させる仕組みを持っています。
例えば、闘争状態・緊張状態になると、身体を即座に臨戦態勢に整える方向に伝達物質を経由して指令が送られ、運動中枢が活発化しやすくなります。それだけではなく、戦闘体制に入った時は、筋肉などに積極的にエネルギーを送り込む為に、その他の機能、例えば消化機能などは抑制され、排泄・分泌能などが低下します。
しかし、この緊張状態が長く続くとどうなるか?
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想像の通り、内臓関連の諸機能が抑制される為、身体全体の代謝機能に偏りが生じ、便秘や動脈硬化などの異常状態を生み出してしまいます。更には、酸素を積極的に取り入れ、体温も心拍数も上昇させる為、活性酸素量の上昇を抑えきれずに組織破壊を起こしたり、極端に体温が上がりすぎてしまえばそれだけで細胞死を招く事にもなってしまいます。
人間の場合は、概ね体温が42度を超えると細胞を組成しているたんぱく質が硬化し始めてしまい、生体反応の限界を招いてしまうそうです。
さて、ここまでは特に男女差無く恒常性を維持する仕組みとして両者共に備わっている機能ですが、ここで恒常性維持の男女差に注目してみましょう。
男女差の最も大きい部分、生殖機能にも、交感神経と副交換神経とが関わっていますが、ここに大きな違いが見られます。
photo162608.jpg [5]
stock.xchngより
まず、女性の場合の生殖機能は、皆さんご存知の通り周期を伴っています。
月経と交感神経・副交感神経① [6]
より。 { }内は補足

排卵~妊娠を迎えるための準備期間=卵胞期は、身体を低温に保ち、エネルギーを蓄積する{副交感神経優位}。その後、排卵を契機にして、黄体期は、蓄積したエネルギーを開放する{交換神経優位}という流れです。
黄体期は子宮内膜(←これがはがれて出血したように見えるのが月経)を厚くして受精卵を着床させる準備をしないといけません。また、着床した受精卵は、子宮内の温度が高いほうが活性化して発育がよくなると思います。いずれにしても、エネルギーが必要になるわけです。

また、黄体期には黄体ホルモンが分泌され、粘液の性状を少なく濃厚粘稠な状態に変えます。この変化は子宮の中に精子や細菌などを入り込ませないようにし、子宮内で待ち受ける受精卵を外敵から守る為に子宮の入り口を塞いでしまいます。
要は、女性の場合は定期的な排卵を保つ為に、凡そ1ヶ月サイクルの中で交換神経と副交換神経とのバランスを周期的に変化させているのです。バイオリズムに沿った恒常性維持を行っていると考えると、イメージし易いですね。また、受精期に入ると子宮内部は高温状態を保つようになります。これは、交感神経優位の状態によって防御状態へと身体が準備を整えていくという事ですね。
一方で、男性の側にはどのような特徴が見られるか?
男性の側には、女性に見られるような周期的なものはありません。むしろ、男性の場合は、まず射精の前提となる勃起状態になるには、リラックスした状態=副交感神経優位となる事が必要になります。
闘争・緊張状態では、出るものも出ない。男性には良く解る状態ですよね。また、女性を前に安心感を得る事で、性中枢も刺激を受け、反応できるようになるのでしょう。
しかし、実際に性交場面へと移り、性的刺激が高まっていくと、徐々に射精中枢が刺激されていきます。この刺激を受けて射精準備が整った段階で、今度は交換神経優位となり射精へと至ります。
男としては、非常に面白い部分です。単に興奮するだけではダメで、大前提として安心感・充足感 に包まれていく過程が必要なんですね。
さて、大きく見て、周期的に安定を保とうとする女性の恒常性と、常に外圧の変化にいち早く反応し、いつでも闘争体制に入れる準備をしているのが男性の恒常性、と捉える事が出来そうです。正に安定と変異の役割分化ですね。
また、この違いから見えるもう一つ重要な観点があります。
実は、恒常性の維持とは個体単体で完結するものではない、という事。上記の男女差などからも解るように、実は種の存続の為に必要なバランスを、男女の役割分化によって保つ仕組みを作り上げてきているのです。
女性にとって妊娠とはとても大きな負担を伴う生殖課程であり、かつ安定性維持が最も重要となる期間ですよね。
それをカバーする為にも、外圧変化に即座に反応できる男性が周囲で安定維持の為に臨戦態勢を取っているのです。
このように考えていくと、男女共にお互いの存在に対する感謝がより一層深いものになりますね!


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[6] 月経と交感神経・副交感神経①: http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=212545

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