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プラスミドはどこからきたのか?1-プラスミドってなに?-

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写真はコチラ [1]から
前回の投稿では、プラスミドの性質を考えずに抗生物質を乱用するようになったため、多種との共生を破壊し、しかもそれに耐性をもった菌がふえていったという問題の提起がありました。
今回の投稿ではそのような動きをするプラスミドとはそもそもなんなのか?なんでプラスミドはなぜできたのか?その歴史的背景を探っていきたいと思います。


●そもそもプラスミドとはなんなのか?
快適生活塾よりリンク [2]

>細胞内で複製され、娘細胞に分配される染色体以外のDNA分子の総称をプラスミドといいます。大腸菌などの細菌や酵母の細胞質内にあり、染色体とは別に独立して自律的に複製を行っています。これがプラスミドと呼ばれるものであり、別名として染色体外遺伝子と呼ばれています。プラスミドは色々な細菌あるいはいくつかの真核生物並びにミトコンドリアの中に存在しています。複数の種類のプラスミドをもつ細菌も珍しくありませんが、まれにプラスミドの存在しない細菌もあります。しかし複製機構が類似しているプラスミド同士は、同一宿主菌内では共存できないことが判っています。

ここのサイトさんのポイントをまとめると、

プラスミドは染色体DNA以外のDNAで自己複製するものである。
プラスミドは古細菌や真正細菌に存在し、真核生物にはほとんど存在しない。

ということです。

さらに前回の記事の

>問題なのは、プラスミドを持っている細菌から持っていない細菌へ、プラスミドが移行するということ(簡単に耐性を獲得して、スピーディーに耐性遺伝子を伝達していく)。しかもそれは、例えば大腸菌から赤痢菌へ、といった具合に、まったく種類の違う細菌間にも起こり得る。

ということから

プラスミドにより多種の生物間で遺伝情報がやりとり(=水平移動)できる。

という特徴もあがってきます。
水平移動でよく聞く例が、大腸菌間でプラスミドを移動させると、プラスミドをもつものに毛が生えるというやつですね。

各ポイントを具体的に考えていきましょう。

とはつまり本当のDNA(染色体DNA)ではないDNAであるということです。これはどのようなものなのかを具体的に考えてみると、プラスミドだけでは生物となりえないけど、実際プラスミドにより変異が起こるので、生命としては必要なDNAであるということです。
これは、プラスミドは生命を維持するための全般の遺伝子はもっていないということです。これはDNAの切れ端のようなものです。

は結構おもしろいポイントだと思います。真正細菌や古細菌でプラスミドはあるのだけども、真核生物にはなくなった。
ちなみに生物起源に近い好熱菌(真正細菌も古細菌とも)にはすでにプラスミドがあります(リンク [3])。ということは生物起源にはプラスミドが必要であったのではないかと考えられます。それがなぜなくなってしまったのか?

明後日の記事で詳しく書いてもらいます。

は、すごい特徴だと僕は思ってまして、他種の生物と遺伝子のやりとりができる機能を初期生命に近い生命はもっているということです。(リンク [4])にあるように、初期生命は寄り添って生きていたと考えられるので、それぞれ外圧に適応し獲得したものを、他者と共有できる機能がプラスミドではないでしょうか?

●ウイルスとプラスミドの違いは?

ウイルスとプラスミドよく似ているといわれています。
どこがにているのでしょうか?整理してみましょう。
まず似ている点
・両方遺伝子ではあるが、完全な染色体までとはいかない
・水平移動に使われる際には必ずタンパク質で囲まれる
  →ウイルス・・・カプシド
  →プラスミド・・・性繊毛
この点においては似ていると言えます。

では、違いはなんでしょう?
細胞の中にいるのがプラスミド、外にいるのがウイルスという分け方もできますが、ウイルスとプラスミドで大きく違う点は、自己複製できるか否かです。

ウイルスは他の細胞に寄生してDNAをのっとり複製させるのに対して、プラスミドは自己複製できます。

ちなみに、染色体DNAとプラスミドのゲノムサイズの差は、ある好熱細菌の場合70倍だそうです(リンク [3])。
それくらいプラスミドって小さいみたいですね。

今回はここまで、明日はそもそもプラスミドはどこからきたのか?を投稿してもらいます。

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