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免疫機能の進化に学ぶ-番外1-独自の免疫進化を遂げた昆虫

 生物史を学んでいく中で、重要な存在であるにも関らず、人に比べて注目度が落ちてしまう生物に「昆虫」があります。とかく人間に比べて小さく、進化の方向が異なる事もその起因にあるでしょう(∵人という主人公に役立つかどうかが皆の注目となる-これも人中心の考え方からきますが…)。
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 しかし、地球上の動物種の約4分の3を占め、約180万種を超える昆虫は地球上で最も繁栄している動物種であることを再度認識する必要があるかもしれません。
 今回は、この昆虫の免疫機能に着目していきたいと思います。
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 るいネットに「昆虫の免疫機能 [3]」という記事がありますので紹介します。

昆虫の免疫機能として、現状の研究では「マクロファージがある」「NK(的)細胞が見つかっている」「液性防御因子が見つかっている」といった所までは分かっていますが、Tリンパ・Bリンパ球的存在は無く、同種移植を拒絶し免疫記憶があるかどうかの確定要素(可能性はあるが)はまだ見つかっていないようです。

そして、脊椎動物までが獲得している「獲得免疫」までは獲得していないのが特徴です(=神経→リンパ系を発達・変異させるのでは無く、「上皮障壁」「自然免疫」の2段階防御)。

 

単純に見ると、脊椎動物のように「獲得免疫」まで獲得した3段階防御の方が優れていると思いがちですが、実はそうでは無く「獲得免疫」とはイタチゴッコの宿命を帯びた変異システムである事は既に述べられてます。

また、「上皮障壁」「自然免疫」の2段階防御も形態を変える事によって、より強固なシステムへと変異させていく事も可能であると昆虫は教えてくれます。それが、昆虫の形態の特徴でもある「クチクラ(外皮・外骨格)」です。

この「クチクラ」は外骨格を構成し、また軟体動物の殻や卵の表面を覆う生体物質である事から「上皮障壁」の変異(進化)であると捉える事ができます

また、このクチクラ(外皮が傷を受けた際の防御機能)で行われる「自然免疫」の研究は現在も盛んであり、フェノール性化合物の酸化反応を触媒する酵素(フェノール酸化酵素)はクチクラの傷害部位に於けるメラニン合成や、脱皮に伴うクチクラの硬化着色に関与している事。クチクラ内には病原を認識するタンパク質が存在する他、バクテリア等の感染に対して抗菌ペプチドの蓄積が生じるなどが報告されている。参照:リンク [4]

そして、昆虫の抗微生物タンパク質の一部が薬剤耐性病原細菌の細胞質膜に穴をあけることにより殺すことが明らかとなった事から、微生物感染における抗微生物タンパク質の役割や性質及び昆虫免疫における重要性が明らかとなり、その特異的な機能を利用して、薬剤耐性病原細菌などを殺すことができる新規抗生物質の開発も行われているようです。参照:リンク [5]

昆虫の免疫機能の変異(進化)は、初期生物時期に獲得した「膜という上皮障壁から食作用による自然免疫」といった基本機能をより特化した変異と思われ、基本セオリー(王道)から外れずに進んできた(進んでこれた)ようにも思われます。だからこそ約180万種を超える現在の繁栄があるのかもしれません。

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