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オゾン層が出来るまで

地上進出を可能にした重要な要因の一つとして、オゾン層が形成されたことが挙げられます。
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オゾン層が紫外線をカットすることで生物の地上進出を可能にしました。紫外線はタンパク質を変性させたりDNAを損傷させるなど生物にとって有害です。地上に適応したわたしたち人間でも皮膚や目に多くの影響を受けやすく、シミやしわ~皮膚がん、白内障や角膜病変などの原因とされています。
(一方で紫外線の中でも波長が長いUV-Aは細胞を活性化する作用もあります)。
オゾン層が形成されるまでは紫外線から守られる水深10m以下でしか生物は棲めなかったのです。

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約35億年前に光合成を行う生物が誕生し、光合成の副産物としての酸素が徐々に海中に放出されていったわけですが、その酸素が大気中に放出されるようになるまでにはさらに長い時間が必要でした。
 初期に産出され海中に放出された酸素はすべて、地球が形成された材料である隕石に含まれていた海中の鉄イオンと結合して酸化鉄となり、鉄鉱石として海底に蓄積され続けていったのです。しかし、酸素は次々と放出されるに従い海中の鉄イオンはやがてすべて使い切られてしまうのでした。そして、とうとう約20 億年前になって、海中で飽和状態に達した酸素が大気中に放出され始めたのです。
大気における酸素の誕生 [4]

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「森洋介のホームページ」 [5]より
オゾン層ができる仕組み。
酸素が地上に染み出すと紫外線のエネルギーで酸素分子が分解され、酸素原子となります。その酸素原子と酸素分子が結合してオゾンが生成されます。当たり前のことですが、最初は地上付近でオゾン層が形成され、地上の酸素濃度が増すごとに上空=太陽に近い側へと移動していきます。オゾンは酸素と比べて分子量が多く重いのですが、オゾンがオゾン層よりも下降すると酸素分子に分解され、酸素分子が上昇すると紫外線と反応してオゾンが生成されるように出来たり壊れたりを繰り返して、現在の成層圏(地上15~30km)へと上昇していきました。
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オゾン層は紫外線を吸収する働きを持ち、これができたことによって地上も生物が安全に生活できる環境となり、海中生活だった植物や生物が陸上へあがることが可能となったのです。いわゆる「オゾン層」は約4億年前に形成(完成)されたと推定されています。古生代シルル紀と呼ばれる時代のことでした。
 現在、オゾン層の破壊が問題になっていますが、それは約16億年かかって形成されたものがその約4億年後に破壊の危機に遭遇しているとも言えます。
大気における酸素の誕生 [4]

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