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仲間の表情や顔色を認識するため色覚が進化

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今週は共感回路の記事が続いています。みなさんは、相手の気持ちを理解するとき、相手のどこを看ていますか?今日は表情や顔色を認識する視覚・色覚機能について、るいネット [1]投稿を紹介していきたいと思います。


 
共感回路は、原猿から真猿へと進化する中で、形成されていったと考えられますが、高等なサル(真猿以降)ほど、顔に毛が無いという特徴があります。知ってました?
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原猿~真猿への身体特徴の進化と集団化 [5] 
 

哺乳類の先祖たちは恐竜が寝静まった夜間に餌の確保を選んだ。色覚は夜の世界に生きる道を求めたために失われている。原始的な霊長類や哺乳類のほとんどは二色色覚。三色色覚を獲得することによって葉食を可能にした。
 
現生の真猿類には豊かな表情を持つという特徴がある。真猿類の顔の筋肉は、口の周りや目の周りを中心に、非常に細かないくつもの筋肉が存在している。これにより可能となるのが表情コミュニケーションである。群れの仲間とうまくやる、つまり社会のなかでうまく生きていくために進化したものが表情の豊かさであった。

 
高等霊長類での色覚進化は仲間の顔色を知るため [6]
 

脊椎動物が色を識別するようになった始まりはカンブリア紀の魚類が始まりと見られている。魚類は、赤、青、緑、紫外線の4つの色覚センサーを持っている(四色型)。両生類、爬虫類、鳥類も4つのセンサーを受け継いでいる。
 
哺乳類は二色型。恐竜から身を隠すため夜行性の生活を続けた結果、色を細かく見分ける必要がなくなったらしい。夜行性の霊長類は一色型。しかし、ヒトを含めたサルの仲間だけが三色型になった。なぜ、三色型になったのか?
 
定説は「果実説」である。果実説とは三色型の方が緑の中で熟した赤い実を見つけるのに有利だからというものだ。中米コスタリカでアオマキザルとクモザルの群れを観察した。これらのサルは同じ種内に二色型と三色型が混在している。排泄物のDNA分析と個体ごとの食事の様子を観察した結果、三色型が有利とのデータは得られなかった。そればかりか、昆虫を食べるには二色型の方が有利らしいということが示唆され、定説は覆された。
 
米カリフォルニア工科大学のマーク・チャンギジ教授、下條信輔教授らは、「仲間の顔色を知るコミュニケーションのために進化した」と主張している。ヒトの色覚がどんな波長の光を鋭敏にキャッチするかを調べると、顔色の変化を読み取るのに非常に適していることがわかった。また様々なサルの顔面の皮膚の露出度と色覚の発達を見比べると、毛が少なく皮膚が良く見える種類ほど、三色型の色覚を発達させている。 

 
顔色を読むために色覚は再進化した? [7]
 

■サルと霊長類に特徴的な三色型色覚
ヒトの色覚は、まず赤、緑、青にほど対応する3グループの視感細胞(錐体)からはじまり、その次の段階で(神経節細胞、外側膝状体、視覚皮質)で赤/青、黄/青の反対色のメカニズムによって基本的な機能が定まる。このような三色型色覚を持つ動物種は案外少なく、哺乳類では旧世界サルと霊長類にほぼ限定される。
 
■なぜ、三色型色覚を獲得したのか?<従来の解答>
植物の紅葉や果実の成熟を検出するために最適化しているというものだった。確かに森林環境での自然シーンを解析すれば緑-黄-赤軸上の分布/変化が多いのは事実。半面、草食性の哺乳類が全て人型の三色型色覚を持つとかといえば、そうではない。
 
■なぜ、三色型色覚を獲得したのか?<新しい仮説>
ヒトの色覚は、相手の顔色の微妙な変化を鋭敏に識別するために進化したのではないか。
 
裏付ける現象事実1(情動と顔色の変化の関係)
情動や生理的条件の変化による皮膚の色の変化は、赤-青と黄-青の二つの軸にほぼ対応している。興奮や羞恥で「赤く」なり、恐れや緊張で「青く」なる。
 
裏付ける現象事実2(顔面の露出度と色覚進化の関係)
新世界/旧世界ザルと霊長類の顔面の皮膚露出度を調べたころ、色覚の「一色または二色型」「多形性三色型」「三色型」の順に、皮膚露出度は高くなる。最も露出度が高いのがヒト。
 
共認機能への可能性収束が高まるに、相手の表情を読み取る必要性が高まり、それが「三色色覚への進化」+「顔面の毛が退いくことによる皮膚の露出度アップ」を促したと考えられそうです。

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