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すべての類人猿は“笑う”~ナショナルジオグラフィックニュースより~

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画像はWikipedia [1]よりお借りしました。
人間には「心」と呼ばれる領域があることは、誰もが認めるところだと思いますが、この「心」と呼ばれる領域は、いつできたのか?これについては、まだ完全にはわかっていません 🙁
この「心」と呼ばれる領域が類人猿にもあるのではないかと推測できる実験結果が出ていましたので、紹介します 😀
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ナショナルジオグラフィックニュース [5]の記事の一部を紹介します

 ゴリラもくすぐられると笑うらしい。先日、ヒトと同じように類人猿にも笑う能力があると示唆する新しい研究が発表された。それが事実であれば、楽しいときなどに笑顔になることは私たち人間の専売特許ではないことになる。
 若いゴリラやチンパンジー、ボノボ、オランウータンをくすぐる実験を科学者チームが行ったところ、すべての類人猿に笑う能力があることが確認されたという。
 この発見から、人類と類人猿が枝分かれする直前の共通の祖先(1600万年~1000万年前)が既に笑う能力を持っていたことが示唆された。つまり、私たちは笑う能力を独自に発達させたのではなく、祖先種から遺伝として受け継いできたということになる。


まず、「笑う」というのはひとつの能力なんですね
ぼくらは当たり前のように、日々笑って過ごしていますが、この「笑い」がひとつの能力であり、更に類人猿の共通祖先からこの能力があり、それを人間は受け継いできたんだと思うと、「笑い」というものに対する見方も少し変わりますね

 チンパンジーが笑うという議論は以前からあったが、その笑い方はヒトとはまったく異なると考えられていた。ヒトが笑うときには息を吐き出す一方だが、チンパンジーは呼気と吸気を交互に繰り返しながら笑うというのが定説だった。
 しかし今回の“くすぐり”実験によって、類人猿とヒトの笑い方は基本的には同じであることが確認された。特にゴリラとボノボにおいてその傾向が顕著だという。


 さらに、ゴリラとボノボが笑う際に息を吐き続ける時間は、通常の呼吸時と比べて3倍から4倍長かったという。話す能力の進化に欠かせないこのような呼吸法も、以前はヒトにしかできないと考えられていた。
 霊長類学研究の第一人者として知られるフランス・ドゥ・ヴァール氏も今回の研究成果に賛同している1人だ。チンパンジーがときおり見せる口を丸く開けた表情は、仲間と遊ぶときに見られることから“プレイ・フェイス”と呼ばれてきたが、「今後は“笑い”と呼ぶようにする」と同氏は宣言している。
 さらに同氏は次のように解説した。「人類と類人猿の間で、笑う際の表情、呼吸法、声に共通点が見受けられることから、私たちの笑う能力は有史以前の類人猿に起源があると考えて間違いない。類人猿の笑いは遊びの中で生まれており、それもヒトと酷似している。彼らはくすぐり合ったり、じゃれ合ったりといった行為の中で笑っている。いま“笑う”という言葉を意図的に使っているが、それは類人猿の行動が進化論的に見てもヒトの笑いと関連していることが今回の研究ではっきりと証明されたからだ」。


自然界において、外敵闘争(or同類闘争)というベクトル上においては、“笑う”ということの必要性はありません。
そう考えると、少なくとも、親和側のベクトル上に生み出された機能であるということは言えるでしょう。遊びの中で笑いが生まれていることも、それを示唆しています。しかも、「わざわざ」生み出した新機能です。
この“笑う”ことの目的・意味については、解明に鋭意取り組んでいるところとのことなので、その結果を期待して待ちたいと思いますが、近年話題のミラーニューロンの働きなど、他の方面からも、更に追求していく必要がありそうです。

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