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人類の進化と脳容量の拡大 2 ~初期人類が暮らしていた環境は?

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最初の人類は、今のところ700万年前にアフリカに登場したサヘラントロプスチェデンシス(トゥーマイ猿人)と言われています。猿人だった頃の脳容量は約400~500mL。これはほぼチンパンジーと同じ大きさですね

人類の脳は、その後大きな変化はなく250万年前ぐらいから、どんどん大きくなります。そして現生人類であるホモ・サピエンスの段階では、1350mLと、倍以上になっています。

今日は、人類が誕生した700万年前から、特に脳容量が拡大していく300~250万年前までの環境について見ていきましょう。

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●人類が誕生した700万年前から250万年前とは、どのような環境だったのでしょうか?
地球全体は、1000万年間ぐらいから寒冷化していきます。
この寒冷化により、海水温度は下がり、空気中のCO2は海水へどんどん溶け始めます。そうすると当然、空気中のCO2は少なくなっていきます。
初期類人猿(トィーマイ)が誕生した700万年前ぐらいから、光とCO2を使って光合成を行う植物に大きな変化が起こります。それまで大量のCO2を使い光合成をしていたC3植物から、少ないCO2を効率的に使い光合成を行うC4植物が成長し拡大していきます。
また、この頃アフリカ中央部では、大地溝帯が隆起し3000m近くの高地が出来上がり、東側の森林や植物が乾燥化により枯れていきます。C4植物は、日差しの強い乾期と雨期を持つ中央アフリカでは、少ない水で短期間に成長できる特質があり、大地溝帯東側は森林中心の環境から、C4植物の草原が中心の環境へと一気に変化します。おそらく、草原の中に森林が点々と残る状態だったのではないでしょうか。
この豊富な草原植物の中で繁栄遂げたのが草食動物です。C4植物を食べるヌーやシマウマ、ガゼル等の草食動物がどんどん増えていったと考えられます。これらの草食動物は、反すう機能(牛等)や盲腸や大腸(シマウマ等)を使い体内の微生物で植物を分解する機能を持っており、草原に適応していきます。
そして、この草食動物の繁栄を追うように草原の肉食動物が増えていきます。森林の中には木にも登るヒョウ等の肉食動物がいたと思われますが、草原には、ライオンやチータ等の草食動物をエサとする猛獣が増えていきます。
●この環境の中で初期人類は、どう生きていたのか?
この頃猿人は、まだ道具も使えず、動物が嫌う火も使えず、足も遅く、非常にかよわい存在です。
どうやって生きていたのでしょうか?
このような環境の中でまず草原では生きていけません。
草原で人類は2足歩行を始めて進化したと言う説がありますが、この環境状況と完全に矛盾し、私はあり得ないと考えています。
おそらく残された森林の中で、ヒョウ等の肉食動物から隠れ、種を残すために過酷な状況を続けていたと思います。サル時代に獲得した共認機能を武器として恐怖を緩和し、役割を分担し、木の実や森林周辺のC4植物、肉食動物が残した死肉を食べ、かろうじて生きていたのではないでしょうか。
●共認機能の獲得と脳容量
類人猿も種を残して行くためには集団を維持していく必要があります。サルは、集団を維持していくために共認機能を獲得しました。サル段階で脳は大脳新皮質を大きく進化させ他の哺乳類と比較すると脳容量を拡大しています。脳容量拡大理由の一つに視覚機能等の感覚機能の進化はありますが、もう一つ重要なのが、この共認機能をもとに集団社会を作って維持していく能力です。
●脳容量拡大の原動力は何か?
この脳の進化と集団・社会との関係は、実現論 [4]の他、以下の「自然科学の扉 霊長類の行動と進化 [5]」にもいい記事ありましたので、ご参照ください。

これまで、知能と言えば、数学ができたり難しい問題を解けたりすることだと考えられがちでした。しかし、人間の大きな脳は、相対性理論を考えたりするために進化してきたのではありません。進化の歴史の中で、私たちを含む霊長類という動物にとってもっとも重要だったのは、仲間の心を理解し、社会関係をうまく保つという問題だったのです。ほかの種類の問題解決ももちろん大切ですが、社会的知能こそが私たちの大きな脳の基盤であるということは、理解しておくべきでしょう。

その後、250万年以降、初期人類は脳容量を拡大していきます。その頃の人類にも、根本には、この種をどうやって残していくか?集団社会をどう作り維持していくか、社会をどう作り維持していくか?と言う課題があります。この課題を実現して行くために観念機能を獲得し、必要な栄養分を摂取することで脳容量を拡大してきたのだと考えられます。
次回より、その詳細に入って行きます・・・・・・・・続く
画像は、こちら [6]からお借りしました。

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