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人類の進化と脳容量の拡大 1 ~脳容量の推移

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■はじめに
 
今年2009年は、ダーウインの「種の起源」発表150年にあたる年であり、ヨーロッパをはじめ各地でそれを記念したイベントが、学会ばかりでなく、市民レベルでも開かれています。
 
日本においても数年前、2004年4月から10月にかけてNHKスペシャル枠で放送されたドキュメンタリー番組 地球大進化(副題「46億年・人類への旅」)が放送され、2005年フランス・ジュール・ベルヌ映像祭にて、最優秀科学アドベンチャー賞を受賞。
番組のDVDセットや書籍など、いまだに高い人気を誇っています。
 
昨今の経済破綻~社会不安の高まりにより、人類はどのように進化をしてきたのだろうか?、どの段階で道を踏み外し、現在の社会的諸問題をつくりだしてしまったのだろうか?、さらにはこの先人類はどの方向に向かってゆけばいいのだろうか?・・・ということを多くの人が考えはじめています。
 
そういった意識が生物進化・人類進化への関心の高まりにつながっていっているのではないでしょうか?
 
さて今週のブログのテーマは人類進化についてシリーズでお届けします。
人類進化に関するHPや書籍は無数にありますが、今回は脳容量の拡大と、それをもたらした進化の源泉に着目してレポートします。


 
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■人類とはなにか?
最初の人類はおよそ700万年前アフリカに登場したサヘラントロプスチャデンシス(猿人)といわれています。
彼らは小柄で脳堆積も400~500mlほどですが、直立二足歩行を始めていたといわれてます。
その後、人類はいくつかの系統に枝分かれしましたが、私たちホモ・サピエンスを除いて、すべて絶滅しました。
これは何を意味しているのでしょうか?
 
 
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画像は NHK「地球大進化」プロジェクト [5]、 より お借りし一部加筆しています
 
 
ホモ・サピエンスとは、《賢い人》というラテン語です。
人間の本質は、他の動物にはない観念機能を有すること(文字・言葉を身に付け道具を使用し進化してきた)にある、とする考えは多くの人が異論のないところです。
 
観念機能の発達を身体上の特徴として最も端的にあらわすのが脳容量の拡大です。
 
 
■脳容量の拡大時期
 
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画像は 霊長類から人類へ [7] よりお借りし一部加筆しています。
 
脳容量の拡大と、人類進化上のトピックを重ね合わせた年表が上記です。
脳容量が格段に拡大する時期は大きく3段階に分かれているのが見て取れます。
 
1.アウストラロピテクス(猿人)→ホモ・ハビリスへの移行期【約250万年前】
2.ホモ・ハビリス→ホモ・エレクトス(原人)への移行期【約150万年前】
3.ホモ・エレクトス(原人)→ホモ・サピエンス(新人)への移行期【約15万年前】
これらの進化はどのような要因でもたらされたのでしょうか?
その因果関係について明日以降、下記のテーマでレポートしていく予定です。
 
■今後の記事予定
  
【初期人類(猿人段階)が暮らしていた環境について】
・人類誕生700万年前~300万年前まで、人類の脳容量はチンパンジーとそれほど変化がない450CC程度と推測されています。この時期人類はどのような暮らしをし、どのような自然環境下で生活していたのでしょうか?
気候は全般的に寒冷化が進みアフリカの森林環境・そこに暮らす動物の変化も起ります。
樹上という楽園を失った初期人類の過酷な状況と、生きていくための適応戦略をレポートします。
 
【2つの道を歩んだ人類】
・おおよそ300万年前~250万年前、人類は2つの進化の道を歩み始めます。
私たち人類(ホモ・サピエンス)につながるホモ・ハビリスの系統と、パラントロプスという系統です。この異なった人類の進化は、どこに可能性収束していったのでしょうか?
脳容量はこのころから拡大がはじまります。
 
【洞窟での生活】
・人類はその誕生と同時に洞窟生活を始めたわけではありません。洞窟生活がいつからはじまったのかを正確に推定することは難しいですが、概ね300万年前からと言われています。
洞窟生活の特徴や現在明らかにされている、史跡や年代についてレポートします。
 
【暗闇での進化】
・洞窟生活は人類の進化(脳容量の拡大)にどのような影響を及ぼしたのでしょうか?
現代でも洞窟のような暗闇体験できるイベントがあり(一部のひとの間で?)人気を博しているようです。実際それを体験したメンバーのレポートです。
自分の手を目のすぐ前で動かしても目では全く認知できないほどの完全な暗闇の中で行動するとき、人の脳はどのような働きをするのでしょうか?ユニークかつ非常に興味深いレポートです。
 
【食生活の変化が脳容量を拡大させた】
・人類の進化をもたらした大きなきっかけが「火の使用」にあります。この火の使用は、外敵から身を守るという恩恵以外にも、食生活に大きな変化をもたらします。
この変化がホモ・ハビリス(=脳容量650cc)からホモ・エレクトス(=脳容量950cc)という飛躍的拡大を可能にしたと考えられます。
 
※これから5回にわたって、脳容量の拡大=観念機能の進化について記事をUPしていきます。
お楽しみに~

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