2009-06-30

共感回路はどうやってできた??

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今日は、原猿から真猿に進化する中で、どうやって共感回路を獲得してきたのか?脳構造をもとに考えてみたいと思います。
共感回路とは、相手の気持ちが分かることです。サル・人類は、この共感回路を獲得したことにより、相手の気持ちに応えて何とかしようと行動したり、そしてその行動を喜んでもらって充足し、集団を維持し社会を作ってきました 😀 😀 😀 。
まず基礎として、私達の脳の構造と役割について調べてみました。
私達霊長類は、脳幹、小脳、中脳、視床、大脳辺縁系等の古い脳の上に、大脳新皮質を作っています。大脳新皮質の大きさを調べてみると、モグラ等の食中目→原猿→真猿と進化する中で体重比に比較してだんだんと大きくなって進化してきました。
またこの大脳新皮質の下には、感情の脳と呼ばれる大脳辺縁系があります。この大脳辺縁系は「新皮質」(言語・思考の脳)とは異なる構造をし、異なる細胞組織、異なる生化学的特徴を持っているようです。そして、大脳辺縁系はしばしば、新皮質とは無関係に働くことが可能です。無関係に動くとは、視覚情報が新皮質をスルーして大脳辺縁系に直接伝わる回路です。例えば私の場合、ヘビの写真を見て、とっさに恐怖を感じ飛び上がったり・・・・ :blush:
そして大脳辺縁系は、心理的充足感と身体生理の大部分(心臓の働き、血圧、ホルモン、消化系、免疫系まで)をコントロールしています。よく、恐怖等で、心臓が早くなったり、体のバランスを崩したりしますよね 🙁
では、脳の中で共感回路はどのようにできたのでしょうか?共感回路ができたのは、原猿から真猿への進化段階だと思われます。では、その中味を見ていきましょう。
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●初期原猿の脳

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基本的に哺乳類や初期原猿段階では、視覚等の感覚機能から入ってきた情報を、感情の記憶回路である大脳辺縁系の扁桃体に送っています。扁桃体では、それまでに記憶された恐怖や怯えや充足を記憶しています。
上図の女性は、子供の頃イヌに追いかけられたとか、噛みつかれたとか、視覚情報が恐怖の記憶回路に直接繋がって、怖いと感じています。
共感回路を獲得する前の弱雄もこれと非常に近い状態だったと思われます。
同類のボスザルへの恐怖と怯えが同じように視床下部から扁桃体へ伝わり、弱雄は縄張り周辺で脅えるだけの存在だったのでしょう。
同じようにボスザルの周辺で脅えている弱雄同士も、もともとは性闘争本能を強化した哺乳類であり、お互いに敵同士です。扁桃体に記憶されている同類への恐怖感により、初めは警戒心いっぱいだったのではないでしょうか。
この状態を整理すると、
「視覚情報(ボスザル、隣の弱雄)→大脳辺縁系(恐怖回路へ接続)」
視覚等の感覚器官から入ってきた情報が、直接大脳辺縁系の記憶回路に直接伝わり、脅えたり逃げたり等の行動を起こします。
●原猿から真猿へ(共感回路の獲得へ)
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上図の女性は、視覚情報から入ってきた情報を直接大脳辺縁系に接続するのではなく、認知回路を介して視覚情報を再統合して、その結果を大脳辺縁系に送っているため、恐怖回路ではなく安心の回路が作動して落ち着いています。
この状態は、原猿が共感回路を獲得する時と同じだと考えられます。
弱雄の場合、恐怖の状況が続くと、いつ襲ってくるか分からない敵=首雄の攻撃への怯えと、恒常的に強力な危機逃避回路が作動し、まず適応欠乏が生起します。
この適応欠乏が生起すると、もともと哺乳類が強化してきた性闘争が抑止されます。
そして、同じように脅えている隣の弱雄の表情を見て、それまでの扁桃体の恐怖回路に繋がるルートを組み直したのではないでしょうか。この組み直しを行ったのが、大脳新皮質の認知回路だと思います。
視覚情報(隣の弱雄)→認知回路(新皮質)→大脳辺縁系
               (相手の表情から) (追従回路、親和回路等)

この認知回路へのルートの組み直しと認知回路と大脳辺縁系への接続の強化により共感回路ができあがり、原猿後期で大脳新皮質の拡大へと大きく脳が変わったのだと思われます。
またこの頃、モグラ以来強化してきた性闘争本能が抑止されたことにより、追従本能が解除され親和回路が強化してきたと考えられます。そして追従回路と親和回路を相乗収束させた依存本能への収束し、敗者達が身を寄せ合う共感回路の基礎が出来上がったのだと考えられます。

画像は、こちらこちらからお借りしました。

List    投稿者 yooten | 2009-06-30 | Posted in 4)サルから人類へ…2 Comments » 

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コメント2件

 ふぇりちゃん | 2009.09.23 12:22

もう○十年間もこの体とともにいますが
>まず一個の遺伝子が在るのではなく、まず共同体的な遺伝子群があり、その中でのみ、かつ全遺伝子と適応的である場合にのみ、一個の遺伝子は存在し得るのである
を読んで、初めて「体って、共同体だったんだ!!」と気付きました。
生物の繋がりも共同体、体も共同体。つまり、社会は共同体で成り立っている。
体に対して「今まで気付かなくってごめんなさい!(> もう○十年間もこの体とともにいますが
>まず一個の遺伝子が在るのではなく、まず共同体的な遺伝子群があり、その中でのみ、かつ全遺伝子と適応的である場合にのみ、一個の遺伝子は存在し得るのである
を読んで、初めて「体って、共同体だったんだ!!」と気付きました。
生物の繋がりも共同体、体も共同体。つまり、社会は共同体で成り立っている。
体に対して「今まで気付かなくってごめんなさい!(> <)」という謝罪と、「今までともにいてくれて、ありがとう」という感謝の想いが溢れてきました。 コチラのブログは、実は読むの初めてだったんです。 生物史(自分たちや、その他周りの生物のこと)を知ることで、さらに感謝が強くなっていきそう!もっともっと上手くいきそう!!って感じます。 これからは時間を作って、過去記事も新記事も読ませてもらいますね♪ 記事UP、ありがとうございます☆☆☆

 さんぽ☆ | 2009.10.22 14:39

ふえりちゃんさん、コメントありがとうございます☆
生物史ブログを読んで下さり、嬉しいです(^^)
生物史を知ることで、感謝が深くなっていきそうと感じてくれるなんて!!
感激~です!
これからもよろしくお願いします☆

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