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ウイルス対策、何を考えればいい?

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巷を賑わす新型(実は新型ではない)インフルエンザは弱毒性であり、感染者の死亡率はWTOそしてマスコミが騒ぎ立てるほどのものではない、ということがわかってきました。事例として引き合いに出されるスペインかぜのようにパンデミックを引き起こし、多数の死者が出ることは今回のウイルスでは考えられません。
それでも「ウイルスが変異して、パンデミックを引き起こす可能性は否定できない。今後も鳥インフルに対する備えは必要」・・・・と思っている人も多いと思います 😮
それは一理あるとは思いますが、そのような状況認識だけでウイルス対策は十分なのでしょうか?
いろいろ調査してみると、『鳥インフルエンザに感染しても死亡率は低い』という驚くべき論文を見つけました。
一体どんな内容なのでしょうか
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NPO法人医薬ビジランスセンター「新型インフルエンザでパンデミックは起きるのか」 [4]より引用します。

<鳥インフルエンザに感染したヒトの死亡率は低い>
1)高病原性鳥インフルエンザの本当の症例死亡率とは
 ついで、ヒトが鳥インフルエンザに感染しても「重症化や死亡はまれ」という点が重要と考える。
 WHOでは、高病原性インフルエンザ罹患者の症例死亡率(発症者中の死亡者の割合:case fatality)を2008年11月10日現在、63%(245/387)としている。特にインドネシアでは82%(112/137)と極めて高い。WHOの症例死亡率を見る限りは、死亡率は高いという印象を多くの人が持つのも無理はない。しかし実際のところは、不顕性感染が多く、ヒトどうしの感染もありうるが、重症化や死亡は極めてまれである。
 症例死亡率とは、たとえば、ライ症候群など脳症を発症した患者のうちの死亡した患者の割合をいう。2000年以前は、脳症の症例死亡率はおおむね約30%であった。このうち、NSAIDs使用者の症例死亡率は52%から67%であった。しかし、これをもってインフルエンザやかぜにNSAIDsを使用して60%前後が死亡するとはだれも思わない。日常の診療から明らかだからである。
 同様に、鳥インフルエンザの症例死亡率が平均60%と高いのは、WHOに登録される鳥インフルエンザに罹患した重症発症者、いわば最初から脳症のような重症例が分母になっているからである。高病原性インフルエンザといえども、それが全ての人に高病原性とはいえない。感染者全体を母数にするとどうなるのであろうか。この点について、疑問を呈した論文も見られるが、全体像は未だに不明である。


この論文によると、WHOが発表した鳥インフルエンザ感染死亡率が約60%(2008年11月現在)というのは、脳症のような重症発症者が母数であり、感染した人の中には症状が顕在化しなかった人も多数いるというとことです。つまり感染者全体の母数ではないようです(ただし、継続調査は必要)。
また、現在最も恐れられているH5N1鳥インフルの感染は、鳥ウイルスを受け入れる受容体(レセプター)を持つ、ごく限られた体質の人ばかりで、多くの人への感染リスクが低い事が知られています。
リンク [5]
しかし、これだけではまだスッキリはしません
例えば1918年のスペインかぜは、世界人口の25~30%が罹患し、約4,000万人が死亡したといわれています。20世紀に残るパンデミックが起きた原因とはなんなのでしょうか?
実はこれは現在の医学界でもその原因がよく分かっておらず、諸説があるようです。

肺炎など細菌による二次感染が原因
スペインかぜ死亡者の死因を丹念に調べてみると、ウイルスそのものによる死因ではなく、肺炎などの二次感染による死亡が大半だということが分かっています。当時はワクチンなどはなく、衛生環境も現在とは比べものにならないほど劣悪状況にあったため、免疫力の低下した状況下で細菌に感染したと言われています。
したがって、衛生環境が改善し、抗ウイルス薬も普及している現代では、スペインかぜと同じ事態にはなるとは考えにくく、大袈裟なパンデミック説に怯える必要はないとも言われています(実際、抗生物質が開発されていたアジア風邪では死亡者が200万人、香港風邪はさらに医学が進歩して100万人に低下)。

薬害による免疫システムの過剰反応
スペインかぜに感染した人の最大の特徴は、通常であればインフルエンザで死亡することのない15~35歳の若年層に集中している点です。とりわけ1918~19年におけるインフルエンザの死亡数の上乗せ分(例年のインフルエンザ死亡率を上回る死亡数)の99%がいわゆる高齢者ではない65歳未満の層で占められています。
この理由として当時感染者に使用されていた解熱剤(NSAIDs:非ステロイド抗炎症剤系解熱剤)によって、免疫システムの過剰反応が起こり、サイトカインの大量放出によって意識障害、精神症状、急性肺傷害を引き起こしたと考えられる(サイトカイン・ストーム)。
当時NSAIDsには大量のアスピリンが使われており、これは若年層へ影響が非常に大きいと言われています(現在WHOではアスピリンの18歳未満への使用は制限されている)。

①は医療の進歩がもたらしたウイルス対抗策が功をそうしたと考えられますが、②は逆に人類が作り出した薬が仇となっている、というのは非常に皮肉で恐ろしいですね。最近騒がれたタミフルなども同様の問題を孕んでいます。
また、先に述べたH5N1鳥インフルが突然変異を引き起こしてヒトに感染する可能性もなくはないのです
※正確にいうとH5N1は細胞の受容体への接合方法が異なるため、ヒトには感染しない。怖いのは鳥インフルエンザの高病原性遺伝子が組み込まれたヒト型ウイルスによるパンデミックが起きる事。
そして、新型ウイルスは、その影響度を計るために日夜実験が繰り返されている医薬研究室で引き起こされる可能性があります。実際、鳥インフルエンザの高病原性遺伝子が組み込まれたヒト型ウイルスを豚に感染させる実験が既に行われています(危なすぎ )。
つまり、ウイルスの脅威は人類自らが作り出しているという可能性が非常に高い、というのがウイルス対策を考える上で重要な認識です。
改めて現在の医学を総括していくことが不可欠です。カギは、免疫システムの形成過程・ウイルスの進化史まで遡る事ではないでしょうか?

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