2009-05-20

生物の起源と進化に学ぶ-4-有糸分裂の統合者

みなさん こんにちは
「生物史の起源と進化に学ぶ」シリーズも4回目
生命とは何か?
生命の誕生
原核生物→真核生物誕生

を見てきました。
今回は、原核細胞から生まれた真核生物、それらの違いとは??
そして真核が編み出した有糸分裂を見ていきます
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■原核細胞と真核細胞の中身はどう違う?~肥大化した細胞
真核細胞の直径は、原核細胞の10倍なので、体積比は1000倍
大きさの比較を実感するために、倍率を同じに並べて見た図は コチラ
もちろんそれだけ大きさが違うからには、細胞の作りも入っている器官も違います
真核細胞には細胞小器官(オルガネラ)があるのです
主には

核:通常核膜に包まれ、細胞の遺伝情報の保存と伝達を行う。
ミトコンドリア:二重の生体膜からなり、独自のDNAを持ち、酸素呼吸の場である。
葉緑体:光合成をするところ。
小胞体:粗面小胞体では、ゴルジ体やリソソーム、小胞体、細胞膜等を構成するタンパク質および、分泌蛋白質が合成され、滑面小胞体は、脂質を合成する。
ゴルジ体:へん平な袋状の膜構造が重なっており、細胞外へ分泌されるタンパク質の糖鎖修飾や、リボソームを構成するタンパク質のプロセシングに機能する。
他、エンドソーム、リソソーム、ペルオキシソーム等の生体膜で囲まれた構造体がポイントのようです 8)

(詳しくは コチラ
原核細胞に比べて、真核細胞がいかに高度な細胞小器官を持っているかが感じていただけたと思います
小器官がそれぞれ役割分担(=機能分化)をすることで、一つ一つがすごく高性能になったんですね
■細胞の中身をきちんと分けるには?~有糸分裂の始まり
で見てきたように、真核細胞内には様々な役割を担う細胞小器官(オルガネラ)が入っています。細胞分裂の際、それらを正確に二つに分ける必要があります。
翻って原核単細胞の分裂は…

分裂に向けて、核がコピーされて2倍の量に増える。
分裂リングが細胞の中央部分に登場する。
分裂リングが、きゅ~っと細胞を絞って、ぷちんと2つに分割される。

このようにかなりアバウト 🙄
細胞質はまんじゅうみたいに適当に半分にちぎって、足りなかったら分裂後増やすというやり方に近いようです
さて、原核細胞のようにはいかない真核細胞、では分裂をどのように行ったか?
ここで生み出されたのが、有糸分裂 😀
読んで字のごとく、染色体を糸のようなもので引っ張って2等分することから名付けられました
どんな順番か見てみると…

分裂に備えて、ミトコンドリアなどなどの内部器官が分裂直後に比べて約2倍に成長する。
まず、中心体の複製が開始される。
DNAの複製が開始される。
紡錘糸が合成され、核膜が消失し、染色体が赤道面に整列する。
染色体が極に移動し、収縮感が細胞を二つに分ける。

なんでや劇場「有性生殖へのみちのり」レポート② 無性生殖の高度化(有糸分裂の仕組みとは)
参照※一部修正
ここでの注目ポイント は、中心体が染色体に先駆けて複製されること
実はこの中心体が細胞分裂の司令塔=統合者だったのです
■分裂の司令塔は変異の促進体~中心体
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中心体は、その複製開始によって分裂の開始自体を操り、有糸分裂の紡錘糸(微小管)の司令塔である。つまり細胞分裂それ自体を司る=統合する役割を担っている可能性が高いです。
このブログにも中心体についての記事がたくさんあります
例えばこの記事

①「核」も含めて、細胞内の小器官レイアウトは、中心小体が決定している。
 →細胞内のレイアウト含めて、中心(小)体が細胞分裂過程の全てを統合している。

中心小体が細胞内小器官の配置を決定している
また、この「生物史の起源と進化に学ぶ」シリーズ2回目にも、中心体が重要な機関である示唆がありましたね

このヌクレオチド+チューブリン様タンパクの複合体が生体活性分子(中心体原基)を形成、これは生命史最初の自前の触媒機能≒仕事機能を有したものと考えられる。

中心体原基(=真核生物の中心体の元となった機構)が触媒機能、相手に働きかける能力を持っていたことと、真核生物で中心体が有糸分裂の統合役となったことは、同じベクトル上にあると考えて良いと思います
※他参照(図版も色々載っているので見てください)
微小管、中心体のはたらき(運動・情報)
中心体は、生命の統合器官のひとつ
中心体による細胞分裂過程の制御
上記記事にあるとおり、中心体は微小管を伸ばすだけでなく、細胞分裂過程全体を制御している=有糸分裂という分裂システムの変異(大変異)を先導したようです (中心体に異常があると細胞分裂が進まない…)
真核生物に進化した際、正確な分裂の必要から、細胞小器官として生まれた中心体。
しかしてその実態は、有糸分裂という分裂システムの変異=大変異を主導してきた統合者であり、逆中心体が統合者になることによって初めて有糸分裂が可能になったと言えるでしょう 😉
■生命原理の基本~分化と統合
多様な外圧状況(及びその変化)に対して適応してゆくためには、それに対応する多様な機能が必要 です
そして、多様な機能をつくり、それを高度化させるためには、機能を分化(役割分担)させる必要  があります
でも、どれだけ多様に分化しても、統合できなければ(ちゃんとみんなで協働できなければ)、その各々の機能を発揮することはできず、適応することはできません 😥
真核細胞の中の細胞内小器官がどれだけ高度に機能化しても、正確な分裂が出来なければ一代で滅びてしまうのです
だから、統合は分化の大前提(絶対不可欠の条件)であり、統合あっての分化という関係が生命(組織)原理の基本構造にあるんですね
それはつまり、中心体という統合者あっての真核細胞(細胞内機能分化)と言えるでしょう
(るいネット 統合あっての分化 より引用)

List    投稿者 yukie | 2009-05-20 | Posted in ⑦なんでや劇場レポート3 Comments » 

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コメント3件

 arinco | 2009.07.04 20:08

>高等なサル(真猿以降)ほど、顔に毛が無いという特徴があります。知ってました?
知りませんでした!
三色色覚の話も非常に興味深いですね。やはり共感回路があるのだという事を改めて実感

 tsuji1 | 2009.07.04 20:20

「顔色をうかがう。血相を変える。」など、表情を掴むには色覚が重要なんですね。
表情を作るために顔の筋肉を発達させ、そのために血流を増加させた結果、顔色が出るようになったということでしょうか。
ところで霊長類はなんで昼光性になったのでしょう。

 匿名 | 2013.10.25 14:05

どうせなら3色じゃなくて先祖返りで紫外線を含む4色になってれば、もっと花+昆虫とうまく共生できてたのかなぁ。

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