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「中心小体論」読んで見ました。

 こんにちわ、arincoです。以前GADV仮説という著書を紹介しましたが、今回は、「中心小体論」という著書を読みましたので紹介します。当ブログでも別の方も一度紹介していますね。
 世間では、いわゆる「トンでも本」と呼ばれる本ですが、「学者とは違った自由なアプローチ」、という意味では楽しく読めました。また、ただ、いかんせん文章が難解デシタ・・・・というか論理構成が不十分という印象です。仮説で始まり仮設で終わるという感じですね。なので論理構成は、無視(笑)して、切り口のみに注目してみました。
 さて、どのような著書かというと、
「中心小体は始原生命体である!」
という仮説を高らかに提起した本です。
 中心小体といえば、なんでや劇場でも細胞分裂の司令塔として位置づけられ生命誕生のかなり初期に作られたとされる物質です。異なるのは、「生命体」という位置づけではないという所です。しかし目の付け所は面白そう。
 それでは、著者はどのような仮説の元に中心小体が始原生命体であるという事を仮説立てたのでしょうか?どうやらキーワードは「記憶」の様です。
 興味を持ってくれた方は、ぽちっと押して、続きをご覧下さい。
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 まず著者の仮説の根幹を確認すると
「中心体は始原生命体である」 
です。
それでは、そもそも彼の考える「生命体」とはどのようなものなのでしょう?
本の中では、
①記憶に関わる物質を持ち有機物などから成る(方向性を所持する)
②恒常性を保持する(細胞膜を所持)
③自己複製をする。
の三つを満足している事が生命体であるとしています。
これを満足するのが中心小体のみである。という事のようです。
まず最も気になる
①記憶に関わる物質を持つ
ですが
 彼の仮説を紐解きますと、
A現代の科学では記憶のメカニズムは分かっていないが、「記憶は保持される」という事実は存在する。
Bという事は、記憶の保持に関わる物質が存在するはず
Cこれが「生命」と関わりを持っているはず
Dこの記憶と関わりのある物質を持っているのが中心小体である。
という事です。
中心小体がなぜ記憶と関わりのある物質を持っているのか?という所で、
 「個体発生は系統発生を繰り返す」という認識を転用していますが、ちょっとよく分からんというのが感想です。(読んだ方で理解出来た方がいれば教えてください!)
②恒常性を保持する(細胞膜を所持)
はどうでしょうか。
 著者は、細胞膜を第一次細胞膜と第二次細胞膜に分けて考えています。
第一次細胞膜は、中心小体の周りにくっついている蛋白質の集合体。第二次細胞膜は、真核生物の細胞膜と位置づけています。
 ちなみに原核生物の膜は何かというと、中心小体の膜が進化して出来たものでそもそも真核生物とは系統が違うと考えているようです。本の中では中心小体(原基)の外側は、タンパク質と脂質で出来ていると書いてますが、現在の中心小体は、ヌクレオチドとチューブリン蛋白で成り立っているのでちょっと無理がありそうな感じがします。
③に関しては、中心小体がDNAに依存しない物質で、細胞分裂期に自己複製する所を根拠にしているようです。
 中でも①が非常に重要な仮説らしいのですが、「記憶」と「中心小体」との関係がなかなか理解できませんでした。
 ただ、残念ながら関係性は分からなかったのですが、文章の中で出てくる「記憶」は方向性を有しており、この方向性が「意思」である。という視点は、言い換えると「外圧」に対して適応する為の適応方向を「意思」と呼んでいるという事だと考える事が出来るので、面白い切り口ではありますね。
 
 そして中心体が意思を持つか否かというと、精子が中心体を媒介にして外圧状況を伝えるという事を考えると、あながち間違っていないのではないでしょうか。
 
 さらに、なんでや劇場で議長が、「生物とは変異の継承体」という言い方をしていたのが印象的でしたが、この考え方を当てはめてみると、「記憶」とは変異の蓄積である。と考える事が出来そうです。そして、変異の発言の仕方が外圧に規定されていると。 
 
 一世代での記憶ももしかしたら脳神経細胞等の変異の蓄積なのかも知れません。そう考えると、一世代での記憶にも、例えば情報伝達の際に中心体の蛋白配列が変異し、これが「記憶」として蓄積されていく等、中心体が関わっているのかもしれませんね。

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