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被子植物の生殖とドングリのヒミツ

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今回は植物の話です。

日本に限らず、世界中の広葉樹林の多くがブナ科の植物で占められています。今回は、ブナ科(=被子植物)の生殖システムから、その繁殖のヒミツを探ってみたいと思います。

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※環境科学株式会社のページ「ブナ科植物はなぜ優占種となるのか?-団栗(どんぐり)の秘密- 元京都大学理学部講師 村田 源氏」(http://www.kankyok.co.jp/nue/nue05/nuef5_1.html [4])から引用させていただきました。

では、被子植物の生殖システムのおさらいから。精細胞→卵細胞→受精の順です。
※新快速のページ(http://shinkaisokupage.hp.infoseek.co.jp/ [5])より引用させていただきました。

精細胞の形成

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 花粉はおしべの葯の中で作られる。まず原生殖細胞である花粉母細胞が減数分裂をする。減数分裂後に花粉四分子になる。花粉四分子は1 回体細胞分裂をして花粉になる。花粉は花粉管細胞とよばれるが,この核を花粉管核,花粉管細胞の中に雄原細胞が共存する。雄原細胞の核は雄原核とよばれる。なお,この2 つの細胞が持つ遺伝子は同じである。正誤問題などでよく問われるので覚えておいてほしい。
 その後,花粉がめしべの柱頭に付着すると,花粉は柱頭の分泌液から水を吸うことで膨圧を発生させ,原形質流動によってめしべの中を貫通し,花粉管をつくる。雄原細胞は体細胞分裂をして2 つの精細胞になり,花粉管核の後を追う。

卵細胞の形成

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 めしべの中にある胚珠のさらに中には原生殖細胞である胚のう母細胞がある。これが減数分裂をすると4 つの娘細胞になるが,このうち3 個は退化消失し,残った1 個が胚のう細胞となる。種子の養分になるものを1ヶ所に集中して蓄えるためである。胚のう細胞は次に体細胞分裂を3 回して8 個の核を持つ胚のうになる。胚のうは右図のように,主役である卵細胞と2 個の助細胞と3 個の反足細胞と2 個の中央細胞から構成される。中央細胞の核を極核という。胚のう中の8 個の核はすべて遺伝子が同じである。

重複受精

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 花粉管を通ってやってくる2 個の精細胞のうち1 つが卵細胞と合体して胚,つまり新しい命に,もう1 つは中央細胞と合体して胚乳になる。2ヶ所で受精が起こることを重複受精といい,被子植物特有の現象である。精細胞はn,卵細胞もn なので胚は2n だが,中央細胞は初めから2n だから,受精すると3n になる。胚のう1 個がそのまま種子になる。

団栗の秘密

 団栗は、ブナ科植物の果実の俗称である。外側の硬い皮は、果皮(花の時の子房壁)に当たる。渋皮から中が種子で、花の時の胚珠が発達したものである。下の皿(殻斗)は総苞に当たる。ここまではすべて親の2nの組織である。団栗の中につまっている、養分を貯えているところは何だろう?

 普通の植物では、胚乳であるが、ブナ科植物では、胚乳がなく、子葉が肥厚してつまっている。この点では、マメと同じである。
 子葉と胚乳との関係を考えてみよう。

 胚乳は、重複受精の結果3nに強化されて、親から子供に用意された弁当みたいな食糧である。子葉(双葉)は、子供の体の一部であるから、強化食をもう一度消化の良い乳児食にまでして、子供の体の中へ注入したようなものである。だから、種子が発芽すると子供は直ちにそれを吸収して大きく成長することができる。

ブナ科の植物は、弁当(=胚乳)で成長するのではなく、体の一部となる子葉に、重複受精して3nとなった「強化食」をすでに注入された状態となっています。発芽後、直ちにそれを使って成長できるので、他を圧倒し、制覇種となったのです。
 

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