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「自然選択説」ってなに?

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昨日開催された第101回なんでや劇場は、~「突然変異説・自然選択説」を越えた進化論へ~と題し、生物の進化論を扱いました。
 
今回も前回と同様たくさんの気づきと、新認識がたくさん発表されました。その詳細は今週後半にUPされる予定ですので、楽しみにお待ち下さい
 
さて本日と明日は、2回に分けて進化論の基礎である、「突然変異説・自然選択説」とはなにか?をレポートしてみたいと思います。
 
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進化論といえばダーウィンの名前を思い浮かべる人が多いとおもいます。しかしダーウインより少し先輩にあたるラマルクの存在も忘れてはなりません。
 
ラマルクの進化論の中で特徴的なのは「用不用説」です。これと「獲得形質が子孫に伝わる」ということが、彼の進化論の2つの大きな柱です。
 
用不用論とは、キリンが高い枝にある木の葉を食べようと努力しているうちに首が長くなった、という説。かれによれば生きていくのに必要な器官は発達し、必要ない器官は衰えていくということになります。
たしかにそんなこともあるだろうと思わせる学説です。
経験的に良く使う筋肉は発達し、使わない筋肉は衰えていきます。
 
しかしその後が問題です。いくら体を鍛えて腕を太くしても、その太い腕はそのまま子どもには遺伝しません。筋肉質が付きやすい体質はありますが、生まれた後に獲得した筋肉質の体は子どもには伝わらない。つまり「獲得形質の遺伝はない」ということになります。
 
確かに体細胞と生殖細胞はまったく別物です。体を鍛えても生殖細胞のなかのDNAには影響はないと考えられています。
(しかし、現在でも「獲得形質の遺伝はある」という立場の人たちもいます。)
 
次はダーウィンの学説です。かれの進化論の核心は「自然選択説」にあります。これは環境に適応した個体が生き残り、適応しない個体は消滅していく。その結果より環境に適応した個体が生きのびていく(適者生存)。その繰り返しが「進化」ということです。
 
これとラマルクの進化論の違いは、 「意志」があるかないかといわれています。ラマルクによれば、キリンは高いところにある木の葉を食べようと努力しているうちに、首が長くなった。
ところがダーウィンは首の長いキリンのほうが高い木の葉まで食べられる分、短いものより有利なので、長いキリンだけが生き残った。つまり進化はキリンたちの意志というより、生存競争のふるいにかけられた結果、ということになります。
 
ところでダーウィンはなんで「首の長いキリン」が登場したと考えていたのでしょうか?
かれの進化論のベースにはラマルクの唱える「獲得形質の遺伝はする」という考えがありました。かれはなにかの拍子で(少しだけ?)首の長いキリンが生まれ、それが少しづつ進化しながら(子孫に継承されながら)、やがて首の長いキリンだけが生き残った(短いものは淘汰された)という理論です。
 
ダーウィンの進化論(ラマルクの理論も同様ですが)のネック 🙄 はミッシングリンク(=化石では中間の種が発見されない)の説明がつなかいことだといわれています。
 
しかしもっと長い生物史スパンで考えれば、原核生物→真核生物に進化したメカニズムや、単細胞→多細胞、減数分裂機構の獲得など、同じ哺乳類同士の進化(多様化)のスケールを超えた進化はなぜ生まれたのか?の答えにはかなり遠いように思います。 🙄
 
さらにこの自然選択説は、社会的・人種的不平等の非合理的な正当化を勢いづける理論に活用され、社会ダーウィニズムという思想へと発展していった歴史ももっています。
適者生存という言葉は価値観念と正当化観念に結びつきやすい危険性をもっています。
 
もちろん彼が生まれた時代(1800年代)には現在のような分子生物学的研究や、40億年前の生物誕生に関する研究もほとんどなかったため、観察できる範囲の生態研究からこの理論を導き出したのだと思います。
 
現在、自然科学の分野では様々な研究が進み新しい発見が次々と発表されています。これら事実の積み重ねから、40億年の生物史を貫く新たな進化論を構築していく必要があると思いますし、それは非常に楽しい追求過程だと思います。 😮
昨日のなんでや劇場では、その幹となる認識が提示されました。
「生物とは進化とは○○○○・・」  すごくスッキリした認識です。これは劇場レポートまで楽しみに待っていてください。
 
明日は「突然変異説ってなに?」をお届けします。お楽しみに
 
【参考文献:図解 そこが知りたい!遺伝子とDNA】

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