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ATP、GTPはどのようにつくられるか(プリンヌクレオチドの生合成経路)

★生命誕生とヌクレオチドをめぐる追求課題 [1]から、ネットサロンの生物史勉強会では、ヌクレオチドと生命の進化過程を探索しています
昨日のエントリーでは、プリンヌクレオチド、プリミジンヌクレオチドの生成までの概略(プリン塩基とピリミジン塩基の生成順序? [2])までがわかりましたので、きょうは、生命現象のなかでも極めて重要な役割を担っている「ATP」「GTP」(プリンヌクレオチド)がいったいどうやってつくられているのか、紹介したいと思います

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※おさらい
ATPは、生体内のエネルギー産生の要→生物のATP合成の仕組みと進化 [6]
GTPは、たんぱく質合成に関わるほか、様々なたんぱく質と結合してシグナル伝達を担ったり、細胞骨格を形成したりします→GTPと結合タンパク質から生命の起源を探る [7]
ともにRNA、DNAの材料となりますが、それだけでなく細胞内でとても重要な役割を担っています。

●そのATP、GTPはともに、IMP(イノシン酸)からいくつかの生化学反応を経て合成されます。
★その合成経路を図にすると下記のようになります。

impatpgtp.jpg

※図の解説
・プリンヌクレオチド生合成系はIMPを分岐点としてAMPとGMPを生成する経路に分かれる。
・この経路は、生物に広く存在します。したがって、進化史上の初期段階に形成された経路であることは間違いありません。

○ATPを合成する経路
・GTPを利用してIMPとアスパラギンからSAMPを生成し、2段階目にフマル酸を脱離させSAMPからAMPを生成する。各段階で触媒として作用する酵素が存在する。
・この2反応は可逆反応で、AMPを材料として生成される生体内で重要なエネルギー源であるATPの量を調整していると考えられる。

○GTPを合成する経路
・NADとKイオン存在下でIMPを酸化してXMPを生成し、2段階目にATPを利用してグルタミンとXMPからGMPを生成する。
・この2つの反応は不可逆反応。

・これらの経路は、様々な物質から反応の調整を受けている。
・例えば、IMPからXMPを生成する反応は、この系の反応物であるGMPが反応の抑制をしているだけでなく、AMPをリン酸化して得られるATPから反応の促進を受ける。
・それぞれの系の生成物から反応を抑制する制御を受けるだけではなく、互いの系の生成物から反応を促進させる経路もある。
・AMP合成にGTPが、GMP合成にATPが利用されることで、AMPとGMPの合成量のバランスが取られていると考えられる。

※参考
Thermus thermophilus HB8由来PurAの結晶構造及び機能解析pdf [8]


★ATPとGTPはその生合成過程においても相互にフィードバックしあう、非常に密接な関係にあります。
★進化史上の観点からは、ATPもGTPもIMPから機能分化したものなのかもしれないですね。 

※疑問
・IMP(イノシン酸)ってどんな性質があるのでしょうか?
・一般的には「かつおぶし」に含まれる旨味成分のひとつとして知られていますが、進化史上も重要な役割があったのではないかと推測するのですが...

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