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花粉症でお悩みの方に

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画像はこちら [1]からお借りしました。
神秘的な写真ですが、いろんな花粉の拡大写真です。
そう、すっかり花粉症の季節ですね。花粉症で苦しんでいる人が多いです。私の周りにもくしゃみと涙でゴミ箱がティッシュの山に・・なんていう人が結構います。
厚生労働省の調査では花粉症は国民の約16%と言われていて年々増加傾向。別の調査では約30%が花粉症という報告もあったようです。地域別に見ると関東、東海地方が多く、北海道や沖縄はごく少数。花粉症の約7割はスギ花粉ですが、北海道は殆どスギ花粉が飛散せず、沖縄は杉が全く生息していないからのよう。国別でみると先進国多いです。年齢別でみると子どもよりも成人の方が多いですが、近年では花粉症の低年齢化も起こってきているようです。
原因がなかなか特定されていないのが花粉症の実態ですが、花粉は太古の昔からあるのに、なんで現代になって花粉症がこれだけ広がってきたのでしょう?
実は花粉だけでなく排ガスと結びついているから?
植物が飛ばす花粉が変化してきているから?
杉の植林によって花粉の量が増えた?
など色んな仮説はありますが、今日は免疫から見た花粉症の原因を考えてみたいと思います。


花粉症は一種のアレルギー反応ですが、まず花粉症の仕組みを簡単に解説します。
百聞は一見にしかず、下図を御覧ください。
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画像はこちら [2]からお借りしました。
この図で免疫担当細胞はB細胞。リンパ球系の免疫細胞で、その中でも抗体をつくる細胞です。人間の抗体には5種類あってIgM、IgG、IgA、IgE、IgD、となっています。各々役割が違っていますが、花粉に対抗する抗体はIgEになります。B細胞が放出したIgE抗体が肥満細胞に結合しIgEに花粉がくっつくと肥満細胞が活性化しヒスタミンを放出。すると鼻水やくしゃみ、涙がでてくるという流れです。花粉症で出される薬はこのヒスタミンを抑えるものが一般的です。
5種類ある抗体のうちどの抗体を作らせるかを指令するのはヘルパーT細胞になります。ヘルパーT細胞のTh1細胞はB細胞にIgG抗体を作らせ、Th2細胞はB細胞にIgE抗体を作らせます。このTh1細胞とTh2細胞は互いに抑制的に働いていて、どちらか一方の働きが強くなると、もう片方は弱くなるという関係にあります。
また、このTh1細胞とTh2細胞は年齢ごとに変化があり、乳児期にはTh2細胞が優位に働いていて、年をとるにしたがってTh1が優勢になってきます。下図を参照。
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画像はこちら [3]からお借りしました。
IgG抗体は主に細菌やウィルスに対抗する抗体ですが、成長するに従って様々な細菌やウィルスに感染する毎に、IgG抗体を作らせるTh1細胞が活性化し、その分Th2細胞の働きが弱くなりバランスされていきます。乳幼児時期には食べ物アレルギーがあっても、3歳頃を境にアレルギーが治る例が多いのはこのためですね。
今ではばい菌に触れないように、ご飯も野菜も虫がつかないようにと、何から何まで衛生的な環境を良しとする風潮が広がってきました。また薬や農薬、保存料などを通して様々な抗生物質が体の中に入り、細菌やウィルスから身を守るTh1の役割が喪失してきました。
その結果Th2細胞が優位に働きアレルギー反応を過敏にしているのかもしれないですね。
長い年月をかけて創られてきた免疫の仕組みが解るほどに、そこに可能性を委ねることができ花粉症も治ってくるのでは、と思う今日この頃です。

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