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中心体非存在下での紡錘体の形成について

今日は、中心体に依存せず、染色体分配を行うことができる仕組みについて紹介します。
その仕組みは、微小管、染色体と微小管依存性モータータンパク質によってなりたっているようです。
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中心体に依存しない紡錘体形成は、高等植物、動物の減数分裂やある種の動物の初期胚の体細胞分裂にも存在し、中心体を依拠する動物組織の細胞でも、中心体を除かれた場合、双極性の紡錘体をつくることができるという事実も明らかになっている。
http://www.sci.himeji-tech.ac.jp/life/biosynth/microtubule.htm [4](陸上植物の微小管構築システムの比較研究)
この中心体に依存しない紡錘体の形成は、中心体に依存した紡錘体形成よりも、構築に非常に時間がかかること+紡錘体の位置決めが不安定=細胞質分裂の分裂面が不安定化することが解っている。
このような事実経緯より、生物の発生(進化)において各細胞の紡錘体は同調して非常に急速に形成されなければならない場合が多く、このとき、中心体依存の機構は重要であったと考えられる。
以上からいえることは、中心体原基といえるものは、やはり細胞骨格(微小管、モータータンパク質)という可能性が大きく、中心体に依存しない機構は進化的には古い機構であると考えられている。
以下は、中心体非存在下での紡錘体の形成の流れについてです。

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画像は、「ルーイン 細胞生物学」よりお借りしました。

染色体の近くに形成された短い微小管は、無秩序に形成され数種類のモータータンパク質によって架橋されたりしながら、平行な列に纏められ、同時に、それぞれのマイナス端が結び合わされる。(マイナス端=微小管を形成するチューブリンタンパクが解離していく側。通常はこのマイナス端を中心体側に接して、反対のプラス端側にチューブリンタンパクを付加しながら伸ばしていく)
これによって、中心体が存在する場合と全く同じような形状に紡錘体が形成され、染色体分配が行われる。
参考文献:ルーイン 細胞生物学 著者:Benjamin Lewin

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