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中心体の起源は膜に有り?

 中心体は、真核生物においては分裂を司るものであると同時に、微小管という細胞骨格の一部となっている。一方、原核生物の細胞分裂を司っているのは細胞膜であり、細胞を支える構造も膜に存在する。
であれば、原核生物にあって分裂を司る中心体の起源は、細胞膜に存在する可能性が高い。(kumanaさんの投稿 [1]はそれを裏付けている)
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膜構造の進化

 原核生物(真正細菌)の細胞膜は、ペプチドグリカンという骨格構造を持っている。
Mur%C3%A9ine.JPGペプチドグリカン
最近では、原核生物にも細胞骨格があることが分かってきているが、構造的には二次的なものであって、浸透圧に抗する骨格は膜の内部にあり、いわば「外骨格」の構造を採っている。(細菌細胞内は能動輸送によって浸透圧は5~20気圧に達する。)
一方、真核生物の膜は、主構造としての機能を持っておらず、細胞内部にアクチンフィラメントや微小管等の細胞骨格が発達している。いわば、「内骨格」の構造である。
cytosk.jpg真核細胞の細胞骨格
だから、細胞自体が柔軟に動くことができ、食作用(エンドサイトーシスやエキサイトーシス)も容易である。
中心体から伸びる微小管も、細胞骨格の一つだから、もともと中心体に相当するものが細胞膜、すなわち「外骨格」の中にあったとしても不思議ではない。

膜機能の進化

原核生物の膜には、認識機能、運動機能に加えて分裂機構が存在する。(ペプチドグリカンも細胞分裂に関与している)
一方真核生物では、認識機能、運動機能は膜に存在するが、主構造は細胞骨格「内骨格」に移行し、膜は、認識機構や運動機能に分化した。
すなわち、認識機能や運動機能など、膜機能の分化(進化)があったと言える。
ただ、真核生物は、原核生物同士が共生してできたと言われているので、ここの進化はおそらく非連続的なもの。
ペプチドグリカンを持たない、マイコプラズマのような細菌が真核生物の元になったと言われており、ペプチドグリカンのような、固い細胞膜を持つ真正細菌では、共生する候補とはならなかったであろう。
したがって、原核生物の骨格たるペプチドグリカンと、細胞骨格たる微小管、ないし中心体には進化過程に断層があって、構造的共通性は無いと予想される。
●残課題
真核生物の浸透圧は細菌に比べて低いのか?細胞壁無しに、どうやって支えているのだろう?
 

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