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定説覆った! 葉緑体が細胞増殖制御

という、興味深い記事が発信されているので、紹介します。

定説覆った! 葉緑体が細胞増殖制御 千葉大グループが発見 [1]
1月7日8時1分配信 産経新聞
 植物の光合成を担う葉緑体が、細胞の増殖を制御していることを千葉大大学院園芸学研究科の田中寛教授らのグループが突き止めた。細胞の増殖は細胞核が制御するとした定説を覆す成果。生物の進化の仕組みを探る手掛かりになるという。米科学アカデミー紀要(電子版)に6日、掲載された。
 葉緑体は10億年以上前に植物の細胞内に入り込んだバクテリアの名残とされ、エネルギーの“生産工場”として細胞核に支配されていると考えられてきた。
 田中教授らが原始的な藻類シゾンを使って、葉緑体と細胞核の関係を調べたところ、葉緑体のDNAが複製されないと細胞核のDNAも複製されないことが判明。さらに葉緑体で合成されるテトラピロール類が細胞核のDNA複製を促す“合図”となる物質であることを発見した。
 シゾンより高等な種子植物のタバコも同じ仕組みで細胞が増殖しており、農産物の品種改良などに役立つ可能性があるという。
 田中教授は「葉緑体を持たない動物細胞などでは、ミトコンドリアが同じような働きを持っている可能性がある。生物の進化の謎の解明につなげたい」と話している。

植物で新たに発見
細菌と同型の重要タンパク質 千葉大教授らの研究チーム

2008年08月01日11時16分 千葉日報ウェブ
 細胞の中でタンパク質を合成する場「リボゾーム」を作る際に鍵となるタンパク質が、新たに植物で見つかった。千葉大園芸学研究科の田中寛教授らのグループが三十一日付の欧州分子生物学機構機関誌電子版に発表した。このタンパク質は「B型転写因子」といい、細菌が持つことが分かっていた。今回の発見で、細菌が持っていたリボゾーム合成の方法が、植物に受け継がれてきたことが示された。太古に起きた生命の進化を解明する手がかりと期待される。
 リボゾームは細胞の増殖などに不可欠。細胞の中に核を持たない細菌などの生物は、B型転写因子を使ってリボゾーム合成を行う。動物や植物、酵母やキノコといった菌類など、核を持つ「真核生物」は細菌から進化してきたと考えられているが、リボゾーム合成に働くB型転写因子は見つかっていなかった。
 田中教授らは、ナズナやノリの仲間を調べ、植物がB型転写因子を持つことを発見。同因子がリボゾーム遺伝子の近くに結合し、リボゾーム合成を促すことを実証。植物は細菌から受け継いだ同因子を現在まで使い続けていることも分かった。
 動植物や菌類は同一の真核生物から進化したと考えられており、初期の真核生物が細菌から受け継いだ同因子を、動物と菌類は進化の途中で失い、植物は保存したという、進化の一端が解明された。
 田中教授は今回の研究成果を基に「真核生物の起源を明らかにし、生命進化の道筋に迫りたい」とした。

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同様の記事は、朝日新聞の1月6日夕刊にもあるので、そちらも紹介します。
               
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    クリックすると、大きくなって読めます。
また、植物細胞における葉緑体と同様に、動物細胞においてはミトコンドリアがそれに相当する、ということを展開しているサイトがあります。
         
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【序 ミトコンドリア -世界を操る陰の支配者】 [6]
【第1部 ホープフル・モンスター -真核細胞の起源】
【第2部 生命力 -プロトン・パワーと生命の起源】
【第3部 内部取引 -複雑さのもと・・・なぜ細菌は単純か,
     なぜミトコンドリアは複雑さをもたらすのか】
【第4部 べき乗則 -サイズと複雑さの上り坂】
【第5部 殺人か自殺か -波乱に満ちた固体の誕生】
【第6部 両性の戦い -先史時代の人類と,性の本質】
【第7部 生命の時計 -なぜミトコンドリアはついにはわれわれを殺すのか】

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ざっと読んで、有用な概念である可能性を感ずるのですが、まだはっきりと整理できかねています。冒頭に紹介した記事と関連するようで、・・・。
どなたか、読み解いていただけると、ありがたいのですけど・・・。
★関連情報★
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ミトコンドリアの役割 [7]
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ミトコンドリア(Wikipedia) [8]
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Mitochondrion [9]
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機能生命科学大講座 [10]
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    by びん

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