2009-01-09

遺伝子が全く一緒の双子の顔がちょっと違うのはなぜ?~全く同じ形質の生物って、自然界に存在するの?~

『遺伝子が全く一緒の双子が顔がちょっと違うのはなんで?』
う~む、確かに、不・思・議!!
でも、自然界にあるもので、全く同一の形をしているものってあるのかな…? 🙄
と考えてみると、同じ種類の植物や動物でも少しずつみんな違う形 をしているような気がします。
全く同じ形質をした人間って、存在するんだろうか…?

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人間は60兆個の細胞からなっていて、かなり複雑な構造をしています。
その一つひとつが、寸分たがわず全く同じ形になるということがはたして可能なのかというと、とっても難しいように思います。
細胞の働き一つをとってみても、
皮膚は皮膚の細胞としてタンパク質をつくったり、内臓は内臓としてタンパク質を作るという、大きな役割は決まっていても、作られるタンパク質の量や種類は、隣合う細胞ひとつひとつが完全に同じとは言い切れません。
長い長いDNAには、タンパク質を作るための情報は無数にあり、そのどの部分が読み取られてタンパク質が作られるかというのは、その時の外界の状況などによって変化し、はじめからきっちりと決まっているわけではないのです。
だから、たとえDNAが全く同じ双子であっても、体の中の60兆個の細胞の働きの全てが連動する確立は、どう考えても低いのです。
要は自然の摂理からみれば、全く同じものが存在することの方がごく稀ではないかと思います。
機械のように同じものを均質に作るということは、なかなか難しいのです。
複雑な構造をしている生物は、まったく同じ形質を作ることができないかもしれない。
でも、そのちょっとの違いを利用して、多様な種類を作り出す余地を残し、適応を繰り返してきたという意味で、なかなか柔軟な構造をもっているものだと思います。
遺伝子が同じだから同じものができるのか。
遺伝子が全てをきめているのか?

DNAが生物の情報を蓄える重要な設計図であっても、DNAが生命の全てを差配するほど決定的な存在ではない、というのが事実だと思います。
どんなに柔軟な思考をもった人でも、生物の勉強をはじめていくと、知らず知らずのうちに「DNA絶対」という思考になってしまうことがあるというのが、現代の生物学のこわいところでもあるのかな、と思います。
これを踏まえた上で、『遺伝子が全く一緒の双子が顔がちょっと違うのはなんで?』をあらためて考えてみると……、
たとえDNAが同じ双子が、見かけ上ちょっとくらい違っても、ごく当たり前。だって、生物なんだから!! 😀
としか答えられない気もします。
双子が全く同じでないのは何で?ということにもっとちゃんと答えるためには、
「なぜ、遺伝子の発現が一定ではないのか」
「生物は、遺伝子の情報のうちどれを発現させるかを、どのように決めているのか」

といった仕組みを解明していくことが必要だと思いました。
そのためには、
「生物は外界の情報をどのようにキャッチしているのか」
「その情報をどうやってDNAまで運び伝えているのか」
「そこにどんな普遍的原理があるのか」

たくさん追求テーマがあります。
…私もまだまだわからないことばかりです 😉 。
一緒に追求していきましょう!!

List    投稿者 zakky | 2009-01-09 | Posted in ①進化・適応の原理2 Comments » 

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コメント2件

 KAM | 2009.03.11 1:19

感覚の統合が、大脳の肥大化につながったとの説、面白いですね。
また、記事の引用元
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=125403
にあったこの部分も興味を惹かれました。
—–引用ここから—-
一般に体格の大きな動物は、寿命が長くなる傾向があります。初期の哺乳類の寿命はせいぜい2~3年だったと推測されています。当時のティラノサウルスの寿命は20年~30年ほどと推定されていることと比較すると、初期哺乳類は相対的に短命でした。
 哺乳類の短命は、世代交代を加速させ、脳の肥大化といった進化を促進させました。
—- 引用ここまで—-
『ゾウの時間とネズミの時間』で有名になった時間アロメトリー則が、進化を促進する要因となりえるとの意見は、アロメトリー則の意味を考える上でも大きなヒントになりそうだと思いました。

 あああああああ | 2017.09.22 14:13

同じ遺伝情報をもっているのに、異なる形やはたらきをもつ細胞があるのですか

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