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膜の進化を探る

生体膜が生命の起源の大きな要素であったことは間違いないでしょう。タンパク質やヌクレオチドを包んでいる膜は、どのように進化してきたのでしょうか?
今日はその謎に迫ってみます。

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<脂質二重層:ウィキペディア [1]より>

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●生体膜の機能

①外部/内部の仕切りと輸送
>生体膜は生命の起源と同じだけ古く、原始的な生命体と外部環境の仕切りでした。それがなければ、生命環境を構成している物質は拡散してしまったでしょう。
>封じ込めに成功したところで、まったく物質の出入りがなければこれまた生命は維持できません。
(中略)膜は老廃物を外に出すことができ、生命の素材は中に入れることができる性質をそなえなければなりません。これが生体膜のもうひとつの重要な機能の「輸送」です。
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②認識機能と細胞間の情報伝達
>生物が進化して、多細胞体制が出現すると、細胞膜は細胞間の情報伝達、情報認識の機能をもつようになります。内分泌支配、神経興奮の伝達、免疫などの現象はこの機能に含めることができます。
>細胞の機能が複雑化すると、細胞の中、つまり生命環境の中をも仕切るようになりました(細胞小器官の出現)。その結果生命体過程は、より効果的に行われるようになります。
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③反応の効率化
>膜のもう1つの機能として、生体成分が水溶液にばらばらに存在するのでなく膜の上に一定の秩序をもって配置されることによる反応の効率化があります。呼吸やそれによるエネルギーの獲得反応がその例です。
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リンク [5]より引用>

●原始細胞の膜は透過性に富んでいた?

>原始細胞にあったであろうと推察される単純な膜は、人工的につくることができる。
>そのような単純な膜は、ヌクレオチドを透過させ、細胞の中のDNAを伸張させることが実験で示された。
>この実験結果は、原始細胞の細胞膜は極めて透過性が高かったということを示唆している。
リンク [6]より要約引用>

●生体膜の進化と起源

>原核生物や古細菌の生体膜にはコレステロールは含まれていない。コレステロールは真核生物のみに見られる。
>コレステロールの生合成には多段階を要し、しかもすべて酵素によってコントロールされる
>また、真核生物のリン脂質合成には、(中略)何段階もの酵素反応が必要となる。
>現在の生体膜成分(コレステロール、ホパノイド、リン脂質など)は多段階で、しかも立体特異的な酵素反応システムなしには合成されえず、したがって原始生体膜成分をほかに求めなければならない。
>生体膜は、コレステロールやホパノイドなどのテルペノイドによって補強される。
※テルペノイド:イソプレンユニット(分子式 C5H8 の二重結合を2つ持つ炭化水素)を構成単位とする一群の天然物化合物の総称。
>ポリプレニルリン酸は、水に分散させると、自発的に自己組織化が起こり、ベクシル(閉じた脂質の膜)やチューブ状の2分子膜構造が形成されることが、電子、光学、共焦点顕微鏡観察で明らかにされた。(ポリプレニルリン酸は、原始生体膜の一候補として仮定される。)
>塩基性蛋白質リゾチームを加えることにより、リゾチームを加えない場合に比べてDNAのベクシル内への取り込み量が100倍にまで増加した。蛋白質を担体とした核酸のベクシルへの取り込みが、原始細胞の形成に大きな役割を果たした可能性を指摘している。
リンク [7]より要約引用>

●考察
・膜の機能から考察すると、原点には外部/内部を仕切る機能があったのは確かだろう。
・原始的な膜は、リン酸などの材料特性による自己組織化によって形成された可能性がある。

・しかし、それだけでは未だ生命と呼べるかどうかは怪しい。おそらく、認識機能と輸送(選択透過性)機能が、物理的な膜と生体膜を分かつ特徴的な機能だろう。
・それらの生体膜としての機能は、単純なリン脂質の二重構造だけではなく、タンパク質やヌクレオチドなどの他の物質と協働することによって獲得されたのではないだろうか?
・「反応の効率化」がどのような仕組みなのかはもう少し調べてみる必要があるが、生体膜ができることによって、生化学反応の効率が上がった可能性は考えられる。
・タンパク質が担体となることによって、膜内への核酸の取り込み量が飛躍的に増加した可能性が指摘されている。タンパク質でできている酵素は、飛躍的に反応速度を上げる働きがある。タンパク質と生体膜との協働作業(受容体の形成)によって、材料の取り込み量と反応速度が飛躍的に増大し、反応効率が上がった可能性は高い。

・原核生物から真核生物になると、補強材料であるテルペノイドが進化することによって、膜は進化していった。
・多細胞生物になると、認識機能と情報伝達機能が著しく進化したのは間違いない。
※引用の図では、はだかの遺伝子があって、それを包むような膜ができたというような順番で書かれているが、果たしてそのような順番であったかは疑問である。「原始細胞の膜は透過性に富んでいた?」の実験から推測すると、先ず膜ができて、その中にヌクレオチドが取り込まれた可能性もある。

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