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レトロポジションとY染色体

Posted By fkmild On 2008年11月20日 @ 12:00 PM In ①進化・適応の原理 | No Comments

変異転写の仕組みの解明はまだまだ続きますが、今日はレトロポジションがどのように他の遺伝子に転写されていくのか?について調べてみます。
ひょっとしたら、レトロポジションはY染色体が起源であり、Y染色体からX染色体へ転写される可能性があります。
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<ヒト(男性)の染色体:ウィキペディア [1]より引用>
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●X染色体は親由来の長い遺伝子配列をもつ

>X 染色体には非常に長いハプロタイプをもつ多数の領域がありますが、他の染色体では一般的にはそのようなドメインは数少ないものとなっています。
リンク [5]
※ハプロタイプ:いずれかの片親に由来する遺伝子の組合せ
リンク [6]

●レトロポジションは常染色体よりX染色体の方が多く、X染色体由来の遺伝子は雄特異的に発現

>ヒトとマウスにおいて、レトロポジションによって生じた機能的遺伝子の生成と補充の回数は常染色体よりX染色体のほうに多い
>Xから常染色体へに行く遺伝子の多くは雄特異的発現を示す
リンク [7]

●レトロポジションはX染色体起源とは認められない

>レトロトランスポジションがX染色体不活性化を逃れる機構として用いられている可能性を推測している。
>我々は、これらのレトロトランスポジションした遺伝子がX染色体起源であるという傾向は認めていない。(中略)ランダムに染色体に分布している
>元になる単一の染色体から、複数のターゲット染色体へレトロトランスポジションした例を複数見いだした。
リンク [8]

●Y染色体では頻繁に遺伝子組み換えが起こる

>Y染色体には回文配列(左右対称な鏡像配列)になっている部分が多く含まれ、この中に多くの遺伝子を配置して完全性を保ってきた。この回文配列は、高い頻度で互いに組換えを起こす
>以前、科学者たちはY染色体中のDNAが不活発なものだと考えていた。(中略) しかし新しい研究で研究者たちは、Y染色体が自身の中で、DNAを高い頻度で入れ替えていることを発見した。このメカニズムは、突然変異が発生したときに、Y染色体自身を修復するのを助けている。
>このような自身の中で起きるDNAの入れ替えは諸刃の剣かもしれない
リンク [9]

●考察
・X染色体には非常に長いハプロタイプをもつ多数の領域があるということは、X染色体が基本的には安定的で変異しにくい性質を持っていることを示唆している。(母(父)→娘へと安定的に遺伝子が受け継がれる。娘の性染色体はXXで、母親由来のXと父親由来のXを持つが、どちらのXも変異しにくいので非常に長いハプロタイプをもつことになる。)
・それに対して、Y染色体では頻繁に遺伝子組み換えが起こるということは、Y染色体が基本的に変異しやすい性質を持っていることを示唆している。(回文配列が多いという事実は、突然変異を修復するのを助けているからだという解釈もあるだろうが、諸刃の剣かも知れないということは、もともと変異しやすい性質をもっているということを示している。突然変異をしやすいので、同時に有害な変異を修復する仕組みも必要になったという関係だろう。)

・レトロポジションによって生じた機能的遺伝子は常染色体よりX染色体の方に多いが、レトロポジションした遺伝子がX染色体起源である傾向は認められていないらしい。
・元になる単一の染色体から、複数のターゲット染色体へレトロポジションした例が複数発見されており、染色体にランダムに分布している。(おそらく、元になる単一の染色体が常染色体起源である可能性もあり、X染色体起源であるとは断定しきれないということであろう。)
・しかし、一方でXから常染色体へに行く遺伝子の多くが雄特異的発現を示すという報告もある。だとしたら、Xから常染色体へ行く遺伝子の多くはY染色体起源である可能性がある。常染色体に分布するレトロポジションは、常染色体起源のものもあれば、X染色体起源のものもあるが、少なくともX染色体起源のものは、その由来がY染色体であるということではないか?

Y染色体のレトロポジション→受精(XYの息子)→Y染色体からX染色体への変異転写→X染色体から常染色体への変異転写(→常染色体に転写された変異情報が、さらに別の常染色体へ変異転写されるケースもある)
と考えれば、上記の研究報告もおよそ説明できるのではないか?
★変異転写を担うレトロポジションはY染色体起源であり、Y染色体が変異転写の大元(スイッチ役)である可能性が高いのではないか?


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