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7/27なんでや劇場レポート2~生命の基幹システムを探る~

 こんにちわ。aincoです。7/27なんでや劇場レポート2として、DNAの二本鎖とRNAの一本鎖の秘密に迫ります。
 今回はDNA、RNAの基本を押さえつつ整理したいと思います。基本って重要なんですけど意外に知らなかったりするんですよねえ。
自分も実はそう!という皆さん、ぽちっとおして続きを読んでくださいな。
ちなみに僕は知らなかった一人です。
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それでは
■DNAは設計図
 前回の報告にもありましたが、DNAは生物の設計図。何の設計図かと言うとたんぱく質の設計図。
また、DNAは子孫へと伝達されていく遺伝物質でもあります。
■RNAはタンパク質を合成する為にある。
 RNAはタンパク質を合成する為に存在します。RNAのタンパク質合成はこちら [4]をご覧下さい。
■DNAは全ての細胞に存在する。
 DNAは全ての細胞が持っております。その収納場所が真核生物以降は「核」です。
■DNAは種が同じであれば同じDNAを持っている。
 DNAは種が同じであれば同じDNAを持っています。人には人のDNA、サルにはサルのDNAという感じです。但し、厳密には人間の個体間でもわずかながら異なる部分があります。その異なる部分でDNA鑑定を行います。また、生殖細胞は例外的に交差によりDNAを変異させる機構を持っています。
■DNA、RNAは糖、塩基、リン酸で出来ている。
 DNAの構成要素ですが、DNAは糖と4種類の塩基、リン酸で出来ています。RNAも基本的に同じ構成要素。DNAと違うのは糖の種類と
塩基のうち一つがDNAと異なる事くらいです。
 ちなみに塩基とは、窒素を含んでいて塩基性(アルカリ性)を帯びているからそう呼ばれています。
□DNAの構成要素
塩基:アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)
糖:デオキシリボース
リン酸

□RNAの構成要素
塩基:アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、ウラシル(U)
糖:リボース
リン酸

・糖と塩基が結合したものをヌクレオシドといいます。(RNAの場合はリボヌクレオシド)
・そして、ヌクレオシドにリン酸が結合したものをヌクレオチド(リボヌクレオチド)と言います。
・このヌクレオチドやリボヌクレオチドが延々とつながっているのがDNAやRNAというわけです。
※RNAは普段はこのリボヌクレオチドとして細胞内に存在し、タンパク質の複製時に集まってくるようです。
 DNAの役割であるタンパク質の情報は塩基の組み合わせで決まっています。
具体的にはコドンという3つの塩基の並びがアミノ酸を指定する暗号となっています。詳しくはこちら [5]をご覧下さい。
リン酸や糖は、ヌクレオチドを次々につなぐ為の手の役割を果たしていると考えると分かり易いと思います。
ちなみに染色体はDNAが凝縮されて折りたたまれた状態の事を言います(クロマチン構造等と呼ぶようです。)
これが集まって1本鎖DNA、RNAが構成されています。RNAは一本鎖なのでこれで完成です。
一方DNAは二本鎖なのでまだ未完成ですね。
■塩基同士が水素結合によりくっつく事でDNAは二本鎖になる。
 
 一本鎖DNAがどうやって二本鎖になるかと言うと、糖から飛び出している塩基同士が水素結合 [6]によりくっつくからなのです。
 この結合によりDNAは二本鎖になります。そしてその構造は有名な螺旋構造を構成します。螺旋構造の芯にはヒストンというタンパク質が存在しています。
 ここで重要なのは結合する塩基は相手が決まっている!という事です。例えばDNAではAはTと、GはCと結合します。
■DNAの二本鎖、RNAの一本鎖の理由
 
 DNAが二本鎖になる理由は、DNAの役割である「設計図」という視点で考えると見えてきます。設計図足りえる為には容易に変化してもらっては困ります。また、異常があった時はすぐに修復したい。つまり
①塩基同士が結合する事で「閉じた」構造にする事ができ、他の物質との結合を防ぐ事が出来る。
②組み合わせが決まっているという特性から一つを鋳型として異常のある所を修復する事が出来る。
という事がDNAが二本鎖である理由となります。
 逆にRNAが一本鎖なのはDNAから情報を写し取る為には塩基の手を空けておく必要があるから、という訳です。
■タンパク質を作る為にはRNAの存在が必要。でもDNAからRNAに情報を写す為にはタンパク質が必要!?
 
 最後は超難問。鶏卵論です。劇場でも追求課題となりました。
 DNA、RNA、タンパク質が生物にとって非常に重要である事は分かってきました。しかし、初めからこの全てのシステムが形成されていたわけではありません。
そこでぶつかる問題が,「初めは何が出来たのか」という問題です。
 先に説明した様にタンパク質を作る為にはRNAが必要ですよね。
でも・・・・・・・・・DNAからRNAに情報を写す為にはタンパク質が必要なのです。

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これではRNAだけあってもタンパク質は出来ないし、DNAだけあってもRNAに伝えられないし・・・・・・・と、鶏卵論になってしまうのです。
■壊れ始めたDNA信仰
 劇場で提起されましたが、これを解く鍵はDNA信仰からの脱却にあるのかもしれません。最近まで生物の始まりはDNAにあると考えられていました。これをDNAワールド説と言いますが、それ以外の事を言おうものなら社会的に抹殺されてしまう勢いだったそうです。事実自殺した科学者もいたそうです。
 しかし、近年それでは説明できない事実が次々に分かってきました。例えばRNAからDNAを作る事の出来るレトロウイルスの発見等が挙げられます。学界は混乱し、ようやくDNA信仰からの脱却が始まりました。
 最近では、特に若い学者からRNAワールド説やタンパク質ワールド説を提起がなされているようです。現在は、生物はRNAから始まったというRNAワールドが最も有力な説として認められてきているようです。
 劇場でも基本的には「RNAワールド」説に則り、RNAワールドの根拠から先にあげた鶏卵論等を切開していくとの事です。
ここからは僕の仮説ですが、もしRNAワールドが正しいとすると、先に挙げた鶏卵論もすっきりするのかもしれません。
 すなわち、RNAからタンパク質を作るのは、タンパク質が無くても出来そうです。(厳密にはいるのかもしれない)
また、RNAからDNAを作る事が出来るのならば、DNA、RNA、タンパク質の3つがそろう事になります。
僕の仮説が正しいかどうかの答えは今後の劇場に期待です!

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