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7/27なんでや劇場レポート1~生命の基幹システムを探る~

生命活動とはそもそも何なのか?その普遍的、基底的な仕組みを解明しよう ということで始まった、7/27のなんでや劇場 [1]でしたが、いつもの通り気づき満載の劇場でした。 😀
より普遍的な仕組みに迫ろうとするほど、現在の生物学でも解明されていないことだらけになりますが、なんでや劇場ではそこにメスを入れて行くためにも、まず分子生物学の基礎をおさえようということで始まりました。


DNAは設計図といわれるが、何の設計図なの?
身体の構成成分をみると、その大半は水(60%) です。その他はタンパク質(15%)脂質(13%)核酸などの有機物からなっています。
タンパク質はアミノ酸が結合した化合物で一次構造→二次構造→・・・・高次構造と分子量が数百万にも及ぶものがある高分子化合物です。20種類のアミノ酸の組み合わせにより、水に溶けるタンパク質や毛のような繊維状のものなど、多種多様な性質をもった高分子を形成しています。人間のタンパク質の種類は3万種といわれているようですね。20種類のアミノ酸はこのようなもの。これが幾重にも組み合わさって多様なタンパク質を形成しています。
amino20.gif
脂質も高分子化合物ですが、分子量数百でタンパク質ほど複雑ではなく単純な構造をしています。代表的な脂質のトリアシルグリセロールの分子構造をウィキペディアさんからいただきました。
Tripalmitoylglycerol.png
核酸はリン酸と糖と塩基によって構成されたもので、DNAやRNAの構成単位を形成したものです。(ヌクレオチド)ヌクレオチドの一種であるアデニル酸(分子量347)の分子構造を同じくウィキペディアさんからいただきました。
AMP_chemical_structure.png
            
で、設計図は何の為にあるのかというと、それは多様な高分子化合物をつくるためです。例えば作りが単純な物置小屋や倉庫をつくるのなら、材料さえあれば設計図がなくても作れますよね。身体の構成物質でいうと脂質がそれにあたります。脂質は小胞体という部分で作られていますが、比較的単純な分子構造をしているので材料が整えば設計図がなくても作る事ができます。
しかし、ビルや学校などもっと複雑で精密な建物になるほど設計図がなくては作ることが出来ません。アミノ酸を多様な形に組み立てたタンパク質群がそれにあたります。
また少し話は戻りますが、小胞体で脂質が作られていく過程にもタンパク質は関与しています。材料と材料を繋ぎ合わせたり、切り離したりするためには酵素が必要で、これもタンパク質です。(球状タンパク質といわれています)身近なところでは洗剤に含まれている分解酵素がありますが、酵素は化学反応を促進させる触媒の役割を担っています。故に高次構造物になればなるほどタンパク質に依存していく事になります
            
つまり設計図があるおかげで多様な高分子化合物であるタンパク質をつくることができ、触媒役の酵素も含めて身体を構成するのに必要な要素を実現できるようになっているのです。そう考えると、真核単細胞生物から後の多細胞生物に進化していく為に不可欠だったのが、このDNAという設計図だったのかもしれません。
今回はDNAに焦点をあてたレポートでしたが、RNAは何なのか。DNAは2本鎖、RNAは1本鎖、この違いの意味するところは何?といったあたりをレポートしたいと思います。

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