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タンパク質には群れる性質がある?

前エントリーに引き続き、「そもそも生物が群れるのは何で?」を考えてゆきます。
タンパク質には自己組織化という性質があるそうです。
今日はタンパク質の性質に着目してみます。ひょっとしたら、そもそもタンパク質には群れる性質があるということが、生物が群れることの土台になっているかも知れません。
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<ミオグロビンの3D構造:ウィキペディア [1]より引用>

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●タンパク質はアミノ酸のポリマー
タンパク質はアミノ酸のポリマー(重合体)であり、一次構造~二・三・四次構造の階層構造をもつ。

>アミノ酸の配列をタンパク質の「一次構造」とよぶ。あるアミノ酸のカルボキシル基 (-COOH)が別のアミノ酸のα-アミノ基(-NH2)と脱水縮合して酸アミド結合(-CO-NH-)を形成することでアミノ酸がポリマーとなりタンパク質を形成する。このタンパク質のアミノ酸の連結にみられる酸アミド結合をとくにペプチド結合とよぶ。
>ペプチド結合してタンパク質の構成成分となった単位アミノ酸部分(-NH-CH(-R)-CO-)をアミノ酸残基と呼ぶ。
>残基間の相互作用(水素結合)により、単なる直鎖であったペプチドが折りたたまれて、二・三・四次の高次構造となる。
ウィキペディア [1]より引用>

●タンパク質はポリマー化すると集合する
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>細胞膜タンパク質(受容体、レセプター)はひんぱんに2量体化する。
>単体のタンパク質の場合、一定距離内に他の単体がいれば、ある一定の確率で反応して2量体を形成
>2量体の場合、結合の相手との距離が一定以上に開こうとしたら追従して移動
>同種が2量体化<2量体化なし<異種が2量体化の順に値が小さい=同種のタンパク質が集合している
>タンパク質間には引力は働かない→2量体化によって同種のタンパク質が集合できる(自己組織化)>
※2量体というのは、2分子が重合したポリマー(重合体)のこと。
石川顕一氏の講義 [5]より要約引用>

●ポリマー化すると分子間の引力が増す

>ポリマー鎖の間の引きつける力は、ポリマーの性質の大部分を決定づける役割がある。ポリマー鎖は大変長いので、鎖間に働く力は典型的な分子に比べてはるか超えて増幅されている。
ウィキペディア [6]より引用>

●考察
タンパク質の自ら集合(自己組織化)するという性質は、生命の起源にも遡るような根源的な性質かも知れない。「意識」や「認識」がどこから生まれたか(どこからを生命と定義すればいいのか)は謎であるが、少なくとも生命を構成する基本物質であるタンパク質に自己組織化するという性質がなければ、おそらく生命の誕生はなかったであろう。

※例えば、大腸菌の鞭毛モーターはタンパク質が寄り集まってできたものであるが、その構成パーツとなるタンパク質には、自ら集合してモーターへと組み上がってしまうという性質が知られている。鞭毛モーターのようなかなりの複雑な生体構造が自ら組み上がってしまうという事実は、生命誕生の初期段階に、タンパク質の自己組織化という性質が大きく関わっていた可能性を示唆している。
※(ポリマー化するとなんで分子間の引力が増幅されるのかはよく分からないが)自己組織化(自己集合)という性質には、ペプチド結合(共有結合)、水素結合、疎水結合、ファンデルワールス力など、様々な化学結合の分子間の引力が関わっているらしい。
リンク:自ら組み上がる生体ナノマシーン [7]参照>

前のエントリーの「原始生命と群れ(仮説)」で、「原初生命の誕生時点から生命は群れていたのではないか?」という興味深い仮説があったが、「群れる」という性質が生命の根源的な性質であるとしたら、それには、タンパク質の自己組織化という性質が関わっている可能性が高いのではないだろうか?

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