我々を含む動物は、生存のために餌を捕食したり、あるいは捕食者から逃れたりするための運動器官を発達させると同時に、膜の電気的興奮性を用いた情報伝達系である神経系を発達させてきました。
動物は神経系を介して外界からの様々な情報・刺激を受容し、さらにそれらの情報を統合・処理して、状況に応じた適切な行動を発現しています。
神経系の情報伝達については『復習:膜電位』 [1]でも述べられていますので、
今回は感覚器から神経系への情報伝達について調べてみたいと思います。
もう少し知りたいと思ったらポッチ とお願いします。
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味覚は、生きていく上で必要がある物質を旨い(体を造る上で必要なアミノ酸や核酸)あるいは甘い(エネルギーとなる糖)と判断し、積極的に体内に摂取するように働きかけています。
一方、体に害がある物質(多くの毒物)は苦い味、あるいは腐敗物のような酸っぱい味のように好まれない味を呈しています。
嗅覚は環境に存在する化学的情報を味や匂いとして化学感覚器で受容し、視覚や聴覚が使えない条件下で外敵の存在を知ることにより危険を回避するため、あるいは餌を探し出すために必須となります。
これら、外界情報を受け取るのは、目、耳、鼻、舌、皮膚などの感覚器です。
感覚器には感覚受容細胞があり、その表面に出ている感覚受容体が化学物質や物理刺激(機械刺激など)を感知します(下図;参照)。
受け取った情報は感覚受容細胞の中でリレーされ、あるいは直接、電気信号へ変換されます。しかし、受容器で感知されのは断片的な情報でしかありません(※受容器は基本的に一要素しか感知できなかったり、受容器より大きい場合あるからです)。
その断片的な情報が神経細胞を通じて脳に伝えられ、それら情報が統合・処理されてはじめて、私たちは物の色や形、音、におい、味、手触りを認識できるのです。