前回のなんでや劇場では、細菌の膜タンパク質について勉強しました。
全体の流れや重要点は、このブログの「なんでや劇場レポート」にまとまっています。
まだの方は、以下を是非ご覧ください 😀
・なんでや劇場レポート① [1]
・なんでや劇場レポート② [2]
・なんでや劇場レポート③ [3]
さて、今回から数回に分けて、劇場でも出てきた細菌に注目して、基礎的な部分を出来るだけ分かりやすく押さえていきたいと思います。
いつもの応援よろしくお願いします。
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●細菌の形状
まず細菌は、形から見るとどのように分類されるのでしょうか?
上図の顕微鏡写真を再度見てください。細菌はこのように大きく3つに分類できます。
左から、球状の球菌、棒状のかん菌、ラセン状のラセン菌。
それぞれ代表的な細菌は、
・球菌:ブドウ球菌、連鎖球菌etc
・かん菌(桿菌):大腸菌、結核菌etc
・ラセン菌:コレラ菌、ピロリ菌etc 等があります。
●細菌の大きさ
細菌は大変小さい。1mm3の固まり(平板上の一つのコロニーの大きさ)で109細胞がいます。
大きさは、約1~8μm(μm=1/1000mm)
●細菌の構造
なんでや劇場でも、よく出てくる原核生物の構造です。
細菌はDNA、細胞質、細胞膜、細胞壁、で出来ています。
総ての菌は構造上、グラム陽性、陰性のいずれかの仲間に分類されます。
劇場で話題になった、「グラム陰性菌」は細胞壁の外に外膜を持っています。
グラム陽性菌と陰性菌の基本的な違いは、まず外膜が有るか、無いかです。又、細胞壁はグラム陽性菌の方がより厚いようです。
グラム陰性菌、陽性菌の形状の違いをまとめると、
外膜 細胞壁 線毛(毛タンパク)
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グラム陽性菌 無い 厚い(250nm) ほとんどない(稀にある)
グラム陰性菌 有る 薄い(8 nm) 有り
この外膜に、鞭毛、線毛(毛タンパク)、きょう膜など付属器官を持つものものがいます。
(以下、細胞断面参照)
●外膜、鞭毛、線毛、きょう膜について、主要な特徴は?
・外膜
外膜は二重膜で、内側の膜はリピドである。外側の膜はリポ多糖体である。リポ多糖体は、細菌の内毒素そのものである。グラム陰性菌による感染における発熱、補体やマクロファージの活性化、ショック症状は内毒素による。
・鞭毛
鞭毛は螺旋状になっている。鞭毛が螺旋方向に回転すればプロペラで進む船のように、菌は鞭毛付着部を尻にして直進する。回転方向が逆になると、鞭毛はでたらめな tumble と云われる運動になり菌はその場所でクルクル回りをする(コイル状の紐をたらし、左右それぞれ回転させて見ると、実際このような運動をするので確かめてみるとよい)。菌が全体として栄養分の多い方向へ移動するのは、菌の進行方向が栄養分の多い方向と一致していれば螺旋方向の鞭毛回転が長く続き、そうでない場合は螺旋方向の運動が長続きせずすぐ tumble してしまう為である。この情報伝達には蛋白のメチル化が関係している
・線毛
線毛(pilus, pili)は他の菌或は宿主の細胞と接着する為の器官である。他の菌との接着に利用されるものは、遺伝子の伝達をする為、性線毛(sex pili)と云われる。宿主細胞と接着するものは、病原性を決める。piliを失うと病原性もなくなる。細菌と宿主の出会いはpiliを介した接着で始まるからである。繰り返すと、線毛は、細菌が他の細菌あるいは動物細胞と相互作用をするにあたって最初に必要な接触を行う器官である。
・きょう膜
莢膜(capsule)は細菌の外側に存在する構造物である。細菌を宿主の攻撃から守り、多くは多糖体である。従ってこれを持つ細菌は持たない菌と比較し病原性が高い。
最後に、グラム陰性菌・陽性菌の断面の詳細を紹介しておきます。
以下の図は、こちら [7] からお借りしました。
引用及び参考・図:微生物学講義録 [8]