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単細胞生物の同類認識

多細胞生物では、細胞はまわりの細胞と接触して配列し、様々な信号分子を使って周囲の細胞と情報伝達をおこなって協調しています。
では、単細胞生物はどうなのか
単細胞生物もコロニー(群れ)やバイオフィルム [1]をつくることから、なんらかのシグナル物質を介した細胞間情報伝達機構が存在するはずです 🙄
「群体」を形成する古細菌 [2]だっていますしね。 

今日はその不思議な仕組みの一端を紹介したいと思います

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■クオラムセンシング:同種細胞数感知システム
単細胞生物の情報伝達として、「クオラムセンシング」と呼ばれる機構があります。
これは、ホルモン様物質(クオルモン)のやりとりによって、細菌が自分と同種の細胞が周辺にどれくらいの数、密度で存在しているかの情報を感知し、その情報に基づいて特定の物質の産生を行う仕組みです。
(一部の真正細菌、発光バクテリアの一種や緑膿菌に見られる)

●具体的な仕組みは下記サイト参照
Quorum Sensing~微生物のコミュニケーションシステム~ [6]  
バクテリアだってお話好き [7]  より引用
(宇都宮大学 生物情報工学研究室)

「クォーラムセンシング」では、バクテリアは会話をして周囲に自分の仲間がどのくらい存在するかを確認しています。バクテリアは「言葉」の代わりに「オートインデューサー」と呼ばれる化学物質を使って相手とコミュニケーションをとっています。仲間が周りに集まったことを察知して一斉に行動を起こすのですが、病原性菌の場合、毒素の放出などの病原性因子を制御していることがわかっています。つまり、一匹では歯が立たない相手でも、仲間が集まったところで一斉に攻撃を仕掛ければ、大きな相手でも倒すことが出来るという、バクテリアの考え出した知恵なのです。

ウィキペディア:クオラムセンシング [8]  より

クオラムセンシングの機構によって、細菌はある程度以上の菌数(密度)に増殖するまで特定の物質産生を抑え、その後、十分な菌数が確保された時点からその物質産生を行うことで、環境中での生存や増殖が有利になるよう利用していると考えられている。一個一個の細菌は弱いため、菌数が少ない段階では敢て目立った行動を起こさずに増殖を続け、それが多数に増えて安定した増殖が見込める状態になったら、クオラムセンシングを行って、機を逃さずに一気に繁殖するという戦略をとっていると考えられている。

クオラムセンシングの意味は、同類の仲間が一斉行動をとることにより、群としての適応度を上げることにあるようです。

こうした現象事例から、原始的な単細胞生物においても、非常に巧妙な仕組みで同類(仲間)を認識し、協調し、種としての適応行動をとっている様子がわかります
(人の気持ちがわからなかったり、個人主義を気取ったり、自己中だったり・・・そんな現代人は、単細胞生物にもっと学ぶ必要があるのかもしれませんね

“単”細胞というと、あたかもそれぞれが単体単独で生きているかのようなイメージをもちますが、それは固定観念にすぎず、単細胞生物も群として存在していると考えたほうがよさそうです

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