- 生物史から、自然の摂理を読み解く - http://www.seibutsushi.net/blog -

偉大な始原器官:”小腸”

Posted By trend On 2008年6月16日 @ 10:19 PM In 未分類 | 5 Comments

images.jpg
今週は、ホルモンウィークです。まずは、消化管ホルモンについて。
・・・と思って調べていたのですが、話はややそれそうです。
予め、伝えておきます。
わたしたちは、「胃腸」とひとくくりに言って、胃と小腸と大腸をひとくくりのものと
とらえがちですが、実はその起源には大きな違いがあります。

腸の仕組みを簡単に説明しましょう。一番単純な、多細胞動物の一つにヒドラという動物がいます。主要な器官は、腸と口と触角だけ。体の中にはソーセージのような腸があって、体中が腸でできているかのような生物です。この「腸」に食べ物を送り込むための入り口として「口」があって、その口が排泄物を出す肛門の役割も果たしています。それから食べ物を探して捕るために、ひげのような長い触角を持っています。この腸には、どんなものが入ってきたかを検知する「センサー細胞」があります。この細胞が腸の内容物を化学的に認識して反応を起こします。細胞の中に蓄えてある信号物質(ホルモン)を放出して、「こんなものが腸の中にあるよ」と近くの細胞や神経に伝達するんです。その神経細胞は、さらに別の細胞に信号を送る。こうして腸の中のモノに応じて、それを分解し吸収する反応が起きる。この基本的な腸の構造と働きは、ヒドラから人間に至る進化の過程でほとんど変わりません。

ここで言う腸とは小腸のことなのですが、小腸は始原的な器官です。
脳というものができる以前から存在し、脳とは独立して働いています。
とまぁ、ここでポチっお願いします。
ブログランキング・人気ブログランキングへ [1]
にほんブログ村 科学ブログへ [2]
[3]


さて、小腸のつづきです。

腸の中には、脂肪やタンパク質といった特定のモノを検知するセンサー細胞が10種類以上も用意されていて、いろいろな刺激に対応できるようになっています。
例えば、酸を感じとる非常に重要な細胞があります。胃酸が腸にそのまま入ってきたら腸に穴が開いてしまうでしょう? だから酸が入ってきたら、センサー細胞がそれを素早く検知して、アルカリ性の腸液をたくさん出るようなホルモンを出す。更に膵臓にも働きかけて、アルカリ性の液体を出させて中和する。そういう反応が、常に起きてくれるからこそ、胃酸が腸を破るということがないんです。
またコレラ菌やO157のような細菌の毒素に反応するEC細胞と呼ばれる細胞があって、こうした毒物を検知するとセロトニンというホルモンを出します。これによって、周りの細胞から大量の水分を放出させて、毒素を体外に排出しようと働きかける。つまり「下痢」ですね。同じようなことが、ジュースなど糖分の高い液体が腸に流れ込んで起きることもあります。浸透圧の高いこうした物質が入ってくると、柔らかい腸の水分が、漬け物みたいに抜かれてしまう危険があるでしょう? だから水分を抜かれてしまう前に、糖分を流し出してしまおうと大量に水分を放出して体外に排出するのです。

小腸は独立国家!
と思いきや、その上と下にある胃と大腸は、ヒドラ以降の進化の過程でできたもの。
脳とつながり、その支配を受けています。

完全な脳の支配下にあるのであれば、トイレに行くのを1時間でも2時間でも我慢できるはずですが、半独立国なので脳の支配が不完全です。だからある程度、我慢できても勝てません(笑)。反対に排便をしようと思っても、脳が命令すればするほど出ない場合もありますよね。胃も同じです。ちなみに脳から胃に延びる神経は迷走神経と呼ばれ、文字通り、胃の中に複雑に広がっています。
だからこの2つの臓器は、ストレスの影響を受けやすいんです。脳がストレスを受け、迷走神経が不必要に興奮して胃に変な命令を出すと、胃が痛くなったり潰瘍ができたりする。大腸には、潰瘍性大腸炎や神経性下痢を起こしたりする。ヒドラには、そういうことはないはずです。

金魚を観察すればわかりますが、魚類は排泄物を出しっ放しです。
でも、それは水中だからできたこと。
陸に上がると、そんなことをしていたら敵に追跡されてしまう。
ある程度、体内にためて計画的に排泄する必要があったわけです。

小腸というのは、十億年もの、動物の進化の歴史に耐え抜いてきた非常に良くできた器官。だからあまり病気になりません。実際、小腸の癌は、極端に少ない。仮に小腸に簡単に不具合が生じるようであれば、その生物は生き残っていません。小腸というのは病気になりにくくて、胃や大腸はやられても、小腸だけは動いてくれる頼りになる器官。しかも「小さな脳」と呼ばれる程に、自分で判断して正確に働いてくれている。そして、あまりにもきっちりと仕事をしているので、皆、その有り難さを忘れてしまっているんです。
しかも小腸は脳の支配下にない独立国ですが、逆に脳に命令を出すことがあります。毒素を検知するEC細胞の出した信号は、腸に入ってきた毒素を体外に排出するだけでなく、脳に伝わり「嘔吐」を起こさせることが分かってきました。

小腸のEC細胞は、小腸から脳の嘔吐中枢に命令を出し、脳からは胃に指令が下って胃の中を掃除させてしまうんです。小腸のEC細胞から脳の嘔吐中枢へのホットラインの神経がつながっていることが分かってきました。
こうした腸のセンサー細胞を私達の研究グループが発見したわけですが、これが脳の神経細胞と基本的には同じ能力、同じ構造を持っていると分かりました。

脳から独立しているどころか、脳に指令を出すこともあるという「小腸」。
ヒドラと同じ器官が、今もこの体の中に収まっている、
そして地味ながらも、立派に着実に役割を果たしているー。
まさに生物は塗り重ねの歴史であると、実感しました。
ついつい意識は、(身近な)胃や大腸にいきがちですが、
たまには、小腸に感謝してみましょう。
ヨシヨシ、小腸
うらら
以上、引用はhttp://www.nttcom.co.jp/comzine/no032/wise/index.html [4]


Article printed from 生物史から、自然の摂理を読み解く: http://www.seibutsushi.net/blog

URL to article: http://www.seibutsushi.net/blog/2008/06/500.html

URLs in this post:

[1] Image: http://blog.with2.net/link.php?548466

[2] Image: http://science.blogmura.com/

[3] Image: http://blogranking.fc2.com/in.php?id=92199

[4] http://www.nttcom.co.jp/comzine/no032/wise/index.html: http://www.nttcom.co.jp/comzine/no032/wise/index.html

Copyright © 2014 生物史から、自然の摂理を読み解く. All rights reserved.