- 生物史から、自然の摂理を読み解く - http://www.seibutsushi.net/blog -

多細胞生物の体細胞分化過程~節足動物~

本日は、線形動物 [1]から進化した節足動物に迫ってみます。代表例は昆虫類。地球上で80万~100万種存在すると言われ、陸上、淡水、海水、他生体内(寄生)と、あらゆる場所に生存域を持つ、多様性の高い動物です。
 
 


■節足動物1・・・運動能力向上 アノマロカリス・三葉虫・カブトガニ・オバピニア
%E7%AF%80%E8%B6%B3%E5%8B%95%E7%89%A9%EF%BC%91%E5%B0%8F.jpg
画像の一部はコチラ [2]からお借りしました。
 
棘皮動物や扁形動物の捕食から逃れるように生きてきた線形動物でしたが、カンブリア紀後期、節足動物へと進化する種が現れます。線形動物の体細胞機能に加え、新たに呼吸器(エラ)、循環器(血管)を獲得し、運動に必要なエネルギーを各細胞に効率的に供給。感覚器(特に視力)と神経発達でセンサー機能を強化し、運動能力を飛躍的に増大させています。さらに他種に無い特徴=外骨格も強化。オルドビス紀には、ついに時代の最強種、アノマロカリスや三葉虫が登場しています。
 
※アノマロカリスはオルドビス紀中期(5億年前)に絶滅(原因不明ですがおそらく寒冷化)。三葉虫はペルム紀(2.5億年前)P/T境界の地殻変動で絶滅。
 
外胚葉:神経(はしご形神経系)発達 感覚器(触覚・
内胚葉:消化器(口・腸・肛門) 中腸腺 呼吸器(エラ)
中胚葉:運動器(筋肉) 循環器(血管) 泌尿器(触角線・小顎線) 生殖器 内分泌器
 
青字進化で運動能力向上
 
 
ブログランキング・人気ブログランキングへ [3] にほんブログ村 科学ブログへ [4]  [5]
 
 
■節足動物2・・・地上適応 カブトムシ・トンボ・チョウ・ハチ等々
%E7%AF%80%E8%B6%B3%E5%8B%95%E7%89%A9%EF%BC%92%E5%B0%8F.jpg
 
オルドビス紀中期(5億年前)になると、光合成により大気にオゾン層が形成され、紫外線などの有害宇宙線が成層圏で遮断。安全圏となった地上に進出する植物が登場します。他動物に先んじて、デボン紀(4億年前)には節足動物が地上進出。石炭紀(3億年前)には、翅を持ち空中にも進出する種が現れます。カンブリア紀後期に優れた運動能力を手に入れた節足動物でしたが、その繁栄は、同時に種間闘争を生み、新たな生存域の必要に迫られたのかもしれません。また外骨格のため、乾燥適応しやすかったのでしょう。他種に比べ、早い段階で地上適応を実現しています。外界とつながる口や肛門を進化。エラ呼吸から気門吸入へと酸素供給形式を変え、地上に進出しました。
 
※節足動物の「気門」は、外皮が管状に内部に落ち込んだ形状をしています。内部ではさらに細部に枝別れし、管から直接、細胞に酸素供給する効率の高い形式を採用しています。この為、血管は酸素供給の役割ではなく、ホルモンや栄養素、排出物の運搬や免疫機能を担っているそうです。また気門は管状の為、外部からの距離が長くなると効率が落ちることから、節足動物は巨大化しにくいそうです。ムカデやトンボのように、体を細長く大きくすることで、内外の距離を狭めた巨大化の方法はあるようですが。。。
 
外胚葉:神経(はしご形神経系) 感覚器(触覚・目) 消化器(口器・肛門) 呼吸器(気門) 翅
内胚葉:消化器(腸・中腸) 
中胚葉:運動器(筋肉) 循環器(血管) 泌尿器(マルピーギ管) 生殖器 内分泌器
 
免疫系:マクロファージ・ナチュラルキラー(的)細胞・液性防御因子・Tリンパ無・Bリンパ無
 
青字進化で地上適応実現

[6] [7] [8]