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多細胞生物の体細胞分化過程~脊索動物~

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3/14のナマコ・ウニ・ヒトデに続いて今回は脊索動物の体細胞分化を見ていこうと思います 😀
脊索動物というのは、脊椎動物とナメクジウオなどの頭索動物、ホヤなどの尾索動物の総称です。今回は便宜上、大きく脊椎動物と原索動物(頭索動物+尾索動物)というふうに分けて考えてみようと思います。
ちなみに、ナメクジウオというのは上の写真のような生物で、簡単に言えば、魚類の一歩手前といった感じの生物です。
では、さっそく原索動物から見ていきましょう
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■原索動物
・体細胞分化の大きな特徴
 中胚葉において泌尿器が形成され、主要器官の全てが揃っています。
 中胚葉において脊索(脊椎の原型)が形成され、これに沿って神経系が発達し、神経管から
は神経索が伸びています。
 中枢神経系ですが、まだ脳は存在しません。
・胚葉毎の機能進化
 外肺葉:神 経 = 管状神経系
     感覚器 = 眼点・触手・平衡器
 内胚葉:消化器 = 口、腸、肛門、胃、肝臓
     呼吸器 = エラ裂
 中胚葉:運動器 = 脊索、筋肉
     循環器 = 血管
     泌尿器 = 腎管
     生殖器 = 精巣、卵巣
     内分泌器= 内柱 (※幼生から成体への変態ホルモンを分泌する)
■脊椎動物(魚類)
・体細胞分化の大きな特徴
 脊椎動物の基本的器官群が揃っています。
 無顎類の段階で脊椎と完全な眼、腎臓が発生、軟骨魚類の段階で軟骨や顎、硬骨魚類の段階
 で内骨格が形成されています。
 進化に伴って急速に運動機能を進化させます。
・胚葉毎の機能進化
 外肺葉:神 経 = 管状神経系
     感覚器 = 眼、鼻、側線
 内胚葉:消化器 = 口、腸、肛門、胃、肝臓、膵臓
     呼吸器 = エラ
 中胚葉:運動器 = 、筋肉
     循環器 = 血管、心臓
     泌尿器 = 腎臓
     生殖器 = 精巣、卵巣
     内分泌器= 甲状腺
最後に、最近このブログでも話題になることが多い免疫機能についてです 🙄
興味深いことに、T細胞やB細胞などのリンパ球系の獲得免疫は脊椎動物以降に登場し、その後急速に発達していきます
実は原索動物や初期の脊椎動物は、大型節足動物や軟体動物などから餌 として追われ続け、逃げ延びる ために運動機能を発達させる必要性に駆られていたという外圧状況にあります。また、そのこととも大きく関連する脊索の発達は、神経系の発達とイコールであり、この神経系の発達が免疫機能の進化に少なからぬ影響を与えているのではないかと推測されます
つまり、神経細胞は高度に役割分化された存在であるがゆえに分裂・増殖しない(させない)という性質を持っており、このことがウィルスに弱いという弱点構造を生み出してしまいます。そこで、体中のいたるところにより高機能な安全装置としての免疫が必要になったのではないでしょうか

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