- 生物史から、自然の摂理を読み解く - http://www.seibutsushi.net/blog -

ナチュラルキラー細胞って何?

ナチュラルキラー細胞
なんか、すごい名前ですよね。殺し屋 8) なんだけど実は自然志向の優しい奴 みたいな。
ナチュラルキラー細胞(通称NK細胞)はネットや本で検索すると、ガン細胞を殺す頼もしい奴 笑ってストレスなくせばNK細胞が増えてガンも予防 😀 のような形で取り上げられる事が多い免疫細胞ですが、NK細胞ってそもそもどんな奴? 🙄 と調べてみると、比較的新しく発見(1975年)された免疫細胞でまだまだ研究途上のようです。今日は基礎的なNK細胞の仕組みについて紹介したいと思います。
01_02.jpg
画像は『がんサポート情報センター』 [1]からいただきました。


NK細胞はT細胞やB細胞と同様にリンパ球系の免疫細胞で、細胞への殺傷方法もキラーT細胞と良く似ていますが、他のリンパ球系の免疫細胞と違うのはT細胞B細胞が抗原に対し連携して攻撃するのに対し、NK細胞は抗原に対し独自に攻撃する性質をもっています。 
また抗原や異常細胞を識別する方法も違っていて、T細胞B細胞が識別できる抗原は特定の抗原のみに限定された個別認識になっているのに対して、NK細胞は同類でなければどんな細胞であれ攻撃というマクロファージと同様の同類認識の方法をとっています。
新しいウイルスや細菌が侵入してくれば、遺伝子を組み換えてその抗原に対応した抗体をつくるという、いわば新しい機能を獲得していく獲得免疫系とは違って、マクロファージや顆粒球のような自然免疫系の免疫細胞にこのNK細胞は含まれます。(だからナチュラルなのかな?)またNK細胞は、NK/T細胞系列の進化において最初に生まれたリンパ球で、形態学的特徴により、大型顆粒リンパ球とも呼ばれているようです。
さて、ではNK細胞はどうやって同類か否かを識別しているのか?
正確には同類か否かの識別は恐らく多様な認識方法で統合的に判断していると思われますが、NK細胞の代表的な識別方法は細胞の糖鎖や糖タンパクの異常を識別して同類か否かを判断しています。抗原に犯された異常細胞の糖鎖とNK細胞にあるNK活性化レセプターが結合すれば、NK細胞が活性化し標的細胞を攻撃する仕組みです。 
攻撃方法は標的細胞に穴を開けるパーフォリンという酵素を分泌し、その穴から標的細胞のアポトーシスを促すグランザイムという酵素を注入し標的細胞を死滅させます。この方法はキラーT細胞も同様の手法をとっており、NK細胞が初期リンパ球系の免疫細胞だとすると、NK細胞の発展系にキラーT細胞がいるのではないかと思われます。 
NK細胞がいつ登場したかはまだよく解らないのですが、脊椎動物以降にMHCクラスの膜タンパクを獲得した段階ではNK細胞の認識方法もより精密になってきたように思われます。
哺乳類でのNK細胞の識別方法を見てみると、上記のように糖鎖の異常を識別し活性化レセプターが標的細胞に取り付いても、MHCクラスⅠ分子が標的細胞に正常に存在していれば、MHCクラスⅠ分子とNK細胞のキラー抑制レセプターが結合し、攻撃を抑制するようになっています。つまりMHCクラスⅠ分子が正常に存在していれば同類と識別するという認識方法を塗り重ねているようもみえます。
b1.gif
図は『役に立つ薬の情報~専門薬学』 [2]からいただきました。
 
NK細胞の基本的な仕組みは以上ですが、NK細胞は何時頃どんな必要性のもとで生まれたのか?イマイチ解らないです。 🙄 知っている方がいればおしえて~
ただ私なりに推察してみると、多細胞生物以降に細胞間の情報伝達が不能になった細胞(≒ガン細胞)をどうするのか?という課題に対して作られたものではないかと。監査し見つければ強制的にアポトーシス!NK細胞についてはカイメン、ヒトデ辺りの免疫に着目しつつ追跡調査を行っていきたいと思います

[3] [4] [5]