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植物の免疫機能ってどうなってるの?

動物には、マクロファージ をはじめとする発達した免疫細胞が、からだを守っています。
じゃ、植物の免疫機能はどうなってるの
今日はそこを調べて みます。
まず、動物と植物の防御機構における最も大きな違いは、
植物には免疫細胞がなく、個々の細胞が病原体の認識から防御までの
一連の過程を担っている
ことです。
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第一段階:細胞壁で、侵入をブロック!
植物は免疫細胞を持っていませんが、一つ一つの細胞が外敵から侵入を阻害できる機能を持っています。まずは、外敵が侵入しにくい硬い細胞壁があるということ。
植物の細胞には動物細胞にはない細胞壁があるため、動物と比較するとウイルスが侵入しづらい構造になっています。
第二段階:免疫物質?の分泌で、外敵を寄せ付けない!
過敏感反応という機能が植物にはあります。
サリチル酸(SA)、ジャスモン酸(JA)、エチレン(ET)といった植物ホルモンによって防御関連タンパク質群が誘導され、抗菌作用を示すようになります
サリチル酸(SA)は植物免疫では重要で、個々の細胞における免疫シグナルであるほか、他の細胞や器官に移動することによって、植物全体が抵抗性を獲得することができるようになります。
これは、全身獲得抵抗性といわれる現象で、初めて病原体が感染した場合、「来たぞ !」という「警戒シグナル 」 が植物全体に伝わることにより抵抗性を高める、という働きがあります(イメージ図を参照)。
shokubutusaibou.gif
第三段階:防御機構の最終・最強の兵器  「細胞死」!
植物は、免疫細胞によって病原体を殺すことが出来ないので、病原体に侵入を許した細胞は、自ら死ぬことにより、病原体の感染拡大を防ぐという戦略を実行します。
「植物体全体が助かるために、自らは死を選ぶ」というのは、何というか涙ぐましい 話ですが、実際この方法が最も効果的な感染拡大の防御手段であることは間違いありません。
ha.gif
感染して細胞死した葉っぱ
植物は、ウイルスには対抗するよりも、感染した細胞が死ぬ事によって全体の死から逃れるシステムになっているのです。
まとめ
植物は短期間で多数の種子(子孫)を残すことができます。
また、植物に関して言えば、種が絶滅するような病気は今のところ無いといわれています。
ですから、植物は免疫システムを高度に進化させる必然性が弱く、かつ免疫細胞を体内に共生させる基盤も無いため、動物のような高度な免疫システムではなく、必要最低限の機構で感染から身を守っているようです。
参考
Re:3月20日なんでや劇場「免疫細胞誕生の秘密」で出てきた疑問⇒植物の免疫機能について [4]
ウイルスに対する植物の防御機構 [5]

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