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グリア細胞って何?

最近るいネットで脳についての投稿が続いています。その中でよく出てくるのがグリア細胞。今日はこのグリア細胞について少し深く勉強していきたいと思います。
↓るいネットでのグリア関係投稿と内容の抜粋
神経細胞を解明する鍵はグリア細胞が握っている [1]
グリア細胞同士が情報をやりとりし、ニューロンのシナプスをコントロールしている事もわかっていきている。記憶や学習という脳の高次機能は,実はグリア細胞によって支えられている可能性が高い。
似て非なるミクログリアとマクロファージの存在は神経細胞の機能分化を示唆する。 [2]
そして脳内にも「免疫システム」が存在することが確認されたのです。すなわち神経細胞を支えるグリア細胞のひとつである「ミクログリア」(これはマクロファージ系の細胞が脳に移行し姿を変えたものと考えられている)がマクロファージ同様、貪食能、抗原提示機能のほかにサイトカイン(インターロイキン-1やインターフェロン)を作り出し、免疫反応を行なっていることがわかりました。
血液脳関門(BBB)とアストロサイトの役割りについて [3]
脳の中には無数に血管がある。脳は血管から栄養素となる物質を得て神経細胞の活動をしているのであるが、血液に直接触れずに栄養分だけを取り込む機能を確立したのが血液脳関門のシステムである。
今日はこのシステムについて調べたので少し解説してみたい。

グリア細胞のひとつ「アストログリア」 [4]
神経系はニューロンとグリア細胞から構成されています。
ニューロンは極めて特殊化した細胞であるため、このグリア細胞のサポートがなければ、その機能を果たすことができません。

グリア細胞は90年代以降に脳科学の分野で脚光を浴びてきました。
脳は神経細胞とグリア細胞から構成されています。これまで、脳機能の主役は神経細胞であり、グリア細胞はあくまで脇役と考えられていましたが、最近の研究により、グリア細胞は脳の発生、情報処理、精神神経疾患に深く関与することが明らかになりつつあります。
ただ、未解明な部分も多くあり、グリア細胞の解明により脳科学の分野は日夜塗り替えられているという状況でしょう。
↓グリア細胞の概念図
glia.gif
この図は東北大学薬学科のHPより借用させていただきました。
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まずグリア細胞って何?という事ですが、簡単に言うと神経系細胞のうちニューロン(神経細胞)を除く全ての細胞の総称です。グリア細胞には大きく6種類あり、その内ミクログリア、アストロサイト、オリゴデンドロサイトの3種類が中枢神経に関わる主要な役割りを担っています。
また、その内アストロサイト、オリゴデンドロサイトは神経幹細胞から作られており、神経細胞であるニューロンと同じ幹細胞から発生していることが明らかになっています。
各グリア細胞の役割りと神経細胞の関係を示した図がありましたので掲載させていただきます。
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グリア細胞と神経細胞の関係ですが、脳科学総合研究センターのHPでは以下のように書かれています。

神経細胞とともに脳を構成しているもう一つの細胞が「グリア細胞」である。ヒトのグリア細胞の数は、神経細胞の10倍もある。グリア細胞は、神経細胞を支えたり、栄養を供給したりして神経細胞の働きを助けている。最近、グリア細胞は神経成長因子や栄養因子などを分泌しており、神経細胞の維持さらには再生にとって非常に重要であることがわかってきた。リンク [8]

またR.Dフィールズの「思考をつかさどる陰の立役者」という著書ではグリア細胞の役割りとその可能性について書かれています。

神経細胞(ニューロン)が緻密な脳のネットワークを作って,記憶や学習という脳の中心的な役割を果たしているのに対し,グリア細胞はこれらを補佐する脇役と考えられてきた。グリアの役割はニューロンに栄養を運んだり,軸索を絶縁して電気信号を送る手助けすることで,積極的に脳機能に影響を与えているとは考えられなかったからだ。
 しかし,最近の研究から,グリア細胞の別の姿が見えてきた。グリア細胞はニューロンが置かれた状況をモニターしながら,グリア同士で情報をやりとりし,ニューロンのシナプス形成をコントロールしているらしい。記憶や学習という脳の高次機能は,実はグリア細胞によって支えられている可能性が高い。
 グリア細胞は数の上ではニューロンをはるかに上回り,役割に応じてさまざまな種類がある。中枢神経系ではアストロサイト(栄養を運ぶ),オリゴデンドロサイト(ミエリン鞘を作る),ミクログリア(免疫を担う)が主なグリア細胞で,末梢神経系ではオリゴデンドロサイトに代わってシュワン細胞がミエリン鞘を作る。ニューロンが電気信号を使って情報を伝えるのに対し,グリア同士の情報のやりとりにはアデノシン三リン酸(ATP)や神経伝達物質が利用されている。興味深いことに,著者らの研究によると,同じ化学物質を利用して中枢神経と末梢神経で異なるメッセージを送ることができるらしい。
 本格的なグリア研究はまだ始まったばかりだが,今後の成果によっては,ニューロン中心だったこれまでの脳のモデルが劇的に変わるかもしれない。

このように神経活動には電気信号系のニューロン系と細胞間伝達を行うグリア系の2つの系統が明らかになりつつあり、シナプスを通じて電気信号を単純に送るだけのニューロンを直流型とすればグリア細胞の活動は広域に次々と情報伝達する交流型と例えられるかもしれません。
またグリア細胞の細胞数は人類が最も多く、脳機能を拡大した人類の進化を解く鍵はグリア細胞が握っている可能性が高まってきます。現在では医学の世界でグリア研究が脚光を浴びており、未治療領域であるアルツハイマーや認知症治療、脳性HIV等の薬品開発に期待されているようです。

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