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人間が持つ5つの抗体

Posted By staff On 2008年3月8日 @ 2:31 AM In 未分類 | 2 Comments

先日下痢になって、免疫の重要性を改めて痛感しているyama3です。(><)Arincoさんに続いて「抗体」についての学習報告を続けたいと思います。
以下(黒字・赤字は、いきいき免疫健康館のHP [1]からの引用。青字は私の補足です。
抗体はB細胞が産生する蛋白質であります。まず、ナチュラル抗体は、ほとんど全ての病原体(ウイルスなど)に反応します。ナチュラル抗体は人体に必要不可欠なもので、ヒトのDNAに組み込まれた「先天性免疫システム」の一部です。しかし、ナチュラル抗体は、抗体全体から見るとほんの一部にすぎません。ほとんどの抗体は、免疫システムが異物や病原体と認識し反応することで獲得する「後天性免疫システム」に含まれます。
このあたりは先のarincoさんの記事にもありましたよね。では今日は人間の抗体を具体的に見ていきましょう。人間のB細胞が作り出す抗体は、IgG、IgM、IgA、IgE、IgDの5種類あります。さてこの5つの抗体、どのような違いがあるのでしょうか?


まだハシカにかかったことのない子どもは、ハシカが流行すると・・体内ではB細胞が敵を排除しようとして、IgMを産生します。IgMは分子が大きいので、一つで約10個のウイルスを相手にすることができますが、残念ながら寿命が約5日と短命です。すべてのウイルスは退治できません。その隙に、残りのウイルスがどんどん増殖します。
次にB細胞はIgGを作ります。1個のIgGは2個の敵しか相手にできませんが、産生量が桁違いに多く、敵との結合力も強く、寿命も23~28日程度と長いので、ウイルスは排除され病気は治ります。
翌年、ふたたびハシカが流行すると、子どもの体内に、またウイルスが入ってきます。今度は3~4日以内にいきなりIgGが大量に産生され、ウイルスを急速に退治できます。前回の感染時につくられたハシカに対応するIgGの一部が免疫系に記憶されていて、抗原(ウイルス)の浸入とともに即、産生するからです。おかげで子どもはハシカを発病しないですむのです。もしも、この子どもが女子で、大人になって妊娠したとします。IgGは唯一、胎盤を通して胎児に移動する抗体です。ハシカの抗体をもらった赤ちゃんは、生後数ヶ月にはハシカにかかる心配がありません。
人間(哺乳類)の母乳には、たくさんのIgAが含まれています。特に出産後数日間に出る初乳は大量に含有しているので、これを飲んだ赤ちゃんの呼吸器や胃腸の粘膜にIgAが分布し体を守るのに役立ちます。
アレルギーと関連する抗体が、IgEです。たとえばスギ花粉症の人が、スギ花粉を吸い込み、鼻やノドの粘膜から花粉が体内に入ると、IgEが産生されます。これがクシャミや鼻水の元凶です。症状のひどさに、大量のIgEが産生されるかと思うかもしれませんが、量はごくわずかしか産生されません。アレルギー症の人の免疫システムは、人間にっとって有害でない花粉などを敵であると間違った判断をし、過剰反応からIgEを産生するのです。
体内にはもう一つ、IgDが存在します。その正体はあまりわかっていません。B細胞が成熟してくると細胞膜上に現れるので、B細胞の分化・増殖と関係があるのではないかと考えられています。
以上が、5つの抗体の特徴です。ちなみにそれぞれの形がわかる資料を貼っておきます。
koutai.jpg

http://square.umin.ac.jp/saitaka/immunity.htmlより引用

一番、巨大なMがもっとも最初の抗体で、母乳から与えられるAがその次、その後に作られていくのが共通したYの字型というのは興味深いですね。万能だが特異性の低いものから始まって、次第により特異的に効果の高いものへという順番で抗体はつくられていくのでしょうか?
さて人類はどんな病原体が浸入しても、ぴったり合う抗体をつくることができまるといわれています。その数なんと、1兆個以上!ならば、どうして抗体以外にもいろんな免疫細胞群が体にはあるのでしょうか?その答えは抗体の反応時間にあるのです。
免疫システムの反応時間は次のように経過します。例えばウイルスが体内に侵入すると、免疫細胞とウイルスの戦いが始まります。ウイルスは粘膜の上皮細胞にくっつき、増殖を始めます。

一方で、感染を受けた上皮細胞は、ウイルスの増殖を抑えるためのインターフェロンを産生します。

TNFα(腫瘍壊死因子)、IL12(T細胞活性)、IFNα(NK活性と抗体産出)が「ウイルス侵入」のシグナルを出します。

シグナルを受けた免疫細胞のNK細胞、キラーT細胞、抗体が活動を開始する仕組みになっている。
hannoujikan.jpg
この図のように、ウイルスと闘う、早期におけるNK細胞活性化がとても重要で、ウイルス増殖(病気)の進行と継続時間を決定します。つまり援軍である、キラー細胞やB細胞が産生する抗体(武器)が働き出すまでに、膨大な時間が必要です。キラーT細胞の活動ピークは感染から約8日もかかり、抗体の活動ピークは約10日以降になるのです。・・人間は未知のウイルスに対し、上記のように理論的に対応できる仕組みになっているが、新型ウイルスに感染して生死を分けるのは、この抗体の活動がピークを迎えるまで、他の免疫細胞である、NK細胞やT細胞(キラー細胞など)の活性化にかかっているのです。

抗体は特異的ではあるが、その分、反応速度が遅いんですね。「生命は塗り重ね構造でできている」とるいネットでは繰り返し言っていますが、免疫も塗り重ね構造なのですね。あるいは組織論的にみれば、抗体のような特殊部隊だけでは機動性に劣るので、NK細胞のような鉄砲玉役も必要だということですね。
いやあ、免疫って奥が深い・・・。


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[1] いきいき免疫健康館のHP: http://www.digiplan.co.jp/live/kouten-2.html

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