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「性」染色体に騙されるな

Posted By tsuji1 On 2008年1月23日 @ 6:00 PM In ①進化・適応の原理 | 1 Comment

一般に性は、性染色体で決定されると言われています。
しかし、その概念は必ずしも正確ではなく、生物を学ぶ上で誤解を生む概念であると感じています。

・魚類で性染色体(性決定遺伝子)が確認されている種はわずかであり、性決定は遺伝子によるとは限らない。
・性決定される要素には温度、pH 、幼魚期の環境条件などがあり、北大西洋にすむトウゴロウイワシ科では、繁殖期前半の水温が低いときに産まれた卵は雌に、繁殖期後半に水温が高くなってから産まれた卵は雄に性分化する傾向がある。

るいネット「魚類の性(雌雄同体)」 [1]

同様の事例はワニやカメなどの爬虫類にも見られます。
性染色体と呼ばれるものが存在しても性決定の規定要因にならない例もあります。
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「XO」型
ホシカメムシやバッタはオスがX染色体を1本持ち、メスがX染色体を2本持つという形式を取っており、これをXY型ではなく「XO型」と言います。(「O」は染色体ではありません。Xの相方が「ない」という意味です。)
オスにもメスにも性染色体は「X」しかないのでXが性を決定する因子とはなりえません。

人と同じXY染色体を持つショウジョウバエでは,雌性決定要素はX染色体上に,雄性決定要素は常染色体上に存在すると考えられていたり,マイマイガ(ZW型)では,雄性因子はZ染色体上に,雌性因子は細胞質にあるとされている。また,発育中の内外・外的環境条件(ホルモン・温度など)によって,性が決定されたり,転換される例も多く知られている。
性染色体と性の決定 [5]

また、当ブログ「オス・メスってどうやって決まるの??」 [6]でも紹介したように、ヒトの性決定因子は常染色体の中にも数多く存在しています。
これらの事例からいえることは、
性染色体は常染色体のうち(哺乳類における)第一の性決定因子にすぎない
「Y」染色体は対になれないので相互に修復することが不可能になる。
修復されないがゆえに変異が残存し、その結果、多くの変異情報を蓄積するようになった。

・「XO」型もオスの場合、X染色体の変異は修復されずに後世に引き継がれる。
したがって、「性」染色体とは、一義的には「性」決定のためではなく、「変異」促進のための染色体と言えるのではないでしょうか。


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[1] るいネット「魚類の性(雌雄同体)」: http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=158289

[2] Image: http://blog.with2.net/link.php?548466

[3] Image: http://science.blogmura.com/in/073660.html

[4] Image: http://blogranking.fc2.com/in.php?id=92199

[5] 性染色体と性の決定: http://www.keirinkan.com/kori/kori_biology/kori_biology_n1/contents/bi-n1/3-bu/3-2-B.htm

[6] 「オス・メスってどうやって決まるの??」: http://www.biological-j.net/blog/2008/01/000376.html

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