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オス・メスってどうやって決まるの??

Posted By crz2316 On 2008年1月19日 @ 2:42 AM In 未分類 | 2 Comments

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こんにちは、最近”細胞膜”の追求に嵌っているNISHIです。
さて、先日の日曜はなんでや劇場「生物史⑥ オスメスってどうやって決まるの?」が開催される予定でしたが、残念ながら機材トラブルによって、東京劇場は劇場形式での開催は中止となってしまいました。予定していた内容は、来月に改めて大東合同で劇場が開催される予定とのことなので、非常に楽しみです。
そんなわけで(?)、今日の記事は、次回のなんでや劇場に向けた「オスメス決定」の記事にしたいと思います。
大阪の人は、既に劇場で扱っていると思うので、復習に☆
東京の人は、次回に向けた予習に☆
来月の劇場では、この記事よりもっと深い追求がなされると思いますので、この記事やるいネットの投稿を読んでおいて、ぜひ来月のなんでや劇場に参加しましょう!
なお僕自身は、大阪劇場には参加していないので、劇場で扱われた内容の詳細は解りません。元々、先日の劇場に参加する為に、予習・勉強していた内容を基にこの記事は書いています。大阪の劇場に参加された方で、補足や”それは違う”と言う指摘があれば、ぜひコメントお願いします。
じゃあ、本題に入る前に、ポチっとよろしくです
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■オスメスってどうやって決まるの?
オスメスの決定は、ヒト=哺乳類の場合は性染色体の組み合わせで決まると言われています。性染色体にはXとYの種類がありますが、XXの組み合わせで女、XYの組み合わせで男になります。哺乳類以外では、XYの組み合わせ以外にもZWと言った他の遺伝子の組み合わせもあります。また、魚類やは虫類では、遺伝子によらず温度などの環境条件で決まる種類もあります。ここではひとまず、哺乳類の性決定の仕組みに注目したいと思います。
なぜXYの組み合わせだと、オスになるのか?
生物学上は、Y染色体上に「オスの性決定遺伝子」があるからと言われています。
ヒトの場合、受精7週目までの胎児は、男女同じように発達します。
これは生物史を遡って考えれば、全く不思議ではありません。
「性」の発生を、どのように捉えるかにもよりますが、所謂「有性生殖」を行うようになった、初期多細胞生物の多くは、精子・卵子が分化しているにも関わらず、オスメス同体です。魚類ぐらいに進化しても、性転換を行う種が存在します。
すなわち、生物は元々は男女同体。
それが進化するに従って、オスメスの”躯体”が明確に分化していくのです。
「個体進化は系統進化を繰り返す」の言葉通り、7週目までの胎児は、オスメスが躯体分化していない、男女同体の状態=初期多細胞生物の状態なのです。
なお、哺乳類の体は基本的に女性型で、先述した「Y染色体上の性決定遺伝子」が無ければ、メスの体になると考えられています。実際にXYの組み合わせを持つのに、女性の体つきをもって生まれた人の遺伝子研究などから、このことは証明されているようです。
■性決定遺伝子は、1種類ではない!
性決定遺伝子として、よく知られたものに「SRY遺伝子」と言うものがあります。
これは、Y染色体上にある性決定遺伝子で、XXの遺伝子を持つマウスの受精卵に、Sry遺伝子を入れると、精巣を持つマウスになったと言う実験結果が良く知られています。
このSRY遺伝子は性決定上重要な役割を担っているのは、間違いありませんが、これが性を決定付ける「性決定上のマスター遺伝子」なのかどうかは、はっきり解っておらず、どうもマスター遺伝子はSRYの他に存在するのではないかと考えられているようです。
このように性決定上のマスター遺伝子が何なのかは、はっきり解っていませんが、SRYのように「性分化」の働きをする性決定遺伝子は、複数存在することが解っています。
これらの遺伝子は、性染色体上だけに存在するのではなく、その多くは常染色体上に存在します。
以下が、現在解っている性決定遺伝子とその働き(働きは泌尿生殖器系に限定)です。

 SRY        :Y染色体上に存在。  精巣の形成
 WT-1      :11番常染色体上に存在。泌尿生殖器全般の形成
 M33        :11番常染色体上に存在。精巣の形成
 Ad4BP/SF-1: 9番常染色体上に存在。生殖腺と副腎の形成
 DMRT-1    : 9番常染色体上に存在。生殖腺の機能形成。
 DAX-1      :X染色体上に存在。  生殖腺と副腎の形成
 EMX-2     :10番常染色体上に存在。生殖腺と腎臓の形成
 FGF9       :13番常染色体上に存在。精巣の形成
 SOX-9      :17番常染色体上に存在。生殖腺の形成
 LHX-9      : 1番常染色体上に存在。生殖腺の形成
 WNT4       : 1番常染色体上に存在。卵巣の形成

精巣の形成一つだけとっても、複数の(性決定)遺伝子が複合的に働いているのが解ります。
なお、上のリストは現在解っている範囲だけであり、他にも何百、何千の性決定遺伝子が存在すると考えられています。極端に言えば、精巣形成に関係する遺伝子が、SRY・M33・FGF9の3種類に加えて、他に100個以上存在している可能性もあるのです。
通常、哺乳類の性決定は、性染色体がXXかXYかで、決まりますが、各遺伝子の働きのバランスが崩れると、性決定もオスメスの間で揺れ動きます。バランスによっては、全ての生殖器の原型となる、生殖腺原基から、精子を作る細胞と卵子を作る細胞の両方ができることもあります。
だからこそ、人類だけでなく生物界全般において、オスの外見なのにメス、メスの外見なのにオスと言った、様々な事例が(予想外に多く)見られるのです。
■マスター遺伝子は存在するのか?
生物学において、今現在も性決定を決定付ける「性決定上のマスター遺伝子」の存在追求が行われていますが、果たして「マスター遺伝子」なるものは本当に存在するのでしょうか?実は性決定において問題なのは「性決定上のマスター遺伝子」の存在ではないのではないでしょうか?
前述したように、オスメスの決定は、各々の「性決定遺伝子」のバランスに左右されています。同じ生殖腺原基から、精子を作る細胞と卵子を作る細胞の両方ができることもあります。
このことから、性決定を支配しているのは「マスター遺伝子」なのではなく、「性決定遺伝子」同士の抑制関係(拘禁関係)ではないかと仮説立てできます。
元々の染色体上には、「オス=精巣を形成する性決定遺伝子」と、「メス=卵巣を形成する性決定遺伝子」が存在し、お互いがお互いの発現を抑制(拘禁)している。そのどちらかの抑制が、何らかの要因(爬虫類や魚類では温度等の環境条件)によって解除されると、オス・メスが決定される。
一対の性決定遺伝子の抑制関係が解かれると、次々と連鎖反応的に対立遺伝子(ここではお互い抑制しあっている卵巣形成遺伝子と精巣形成遺伝子を指します)同士の抑制が解かれていくことで、男女同形の躯体からオス躯体、メス躯体が作られていくのではないでしょうか。
このように考えると、ちょっとしたバランスの崩壊で性決定がオス・メスの間で揺れ動くのも、ある対立遺伝子の抑制解除が上手く行かなかった現象として説明できます。
■性決定遺伝子の力学関係制御システム=性染色体
加えて「性染色体」の存在も、この抑制関係をシステム的・安定的に制御する為の存在であると、説明することができます。
例えば、単純なモデルとして
X染色体に卵巣形成遺伝子が1個、精巣形成遺伝子(SRY遺伝子が該当)が1個。
同じように常染色体の一つ(α染色体とします)に、卵巣形成遺伝子が1個。
別の常染色体の一つ(β染色体とします)に、精巣形成遺伝子(EX.FGF9)が1個あるとします。
基本的に、染色体は2本1組なので、メス生体(XX)の性決定遺伝子は、
 X染色体2本=卵巣形成遺伝子×2個、精巣形成遺伝子×2個。
 α染色体2本=卵巣形成遺伝子×2個
 β染色体2本=精巣形成遺伝子×2個
となります。
男女において遺伝子(染色体)上で違うのは性染色体だけである=性染色体が性を決めていると言う事実と、哺乳類の体が基本的にメス型と言う観察事実を基にすれば、性決定遺伝子の抑制(拘禁)関係には以下の2つのルールが成り立ちます。
 1.性決定遺伝子上、最も抑制力(拘禁力)を持つのは、性染色体に存在する
   性決定遺伝子である。
 2.卵巣形成遺伝子と精巣形成遺伝子の抑制関係は、卵巣形成>精巣形成。
   →最強の抑制力を持つ性決定遺伝子は「X染色体上の卵巣形成遺伝子」
このルールを適用すると、このメス生体(XX)においては、X染色体の卵巣形成遺伝子2個によって、同じくX染色体上の精巣形成遺伝子2個と、β染色体上の精巣形成遺伝子2個が抑制(拘禁)され、X染色体 卵巣形成遺伝子とα染色体卵巣形成遺伝子が発現し、メスになります。
同じような考えでY染色体には、精巣形成遺伝子1個のみが存在し、卵巣形成遺伝子は存在しないとします。そうすると、オス生体(XY)の性決定遺伝子は、
 X染色体1本=卵巣形成遺伝子×1個、精巣形成遺伝子×1個。
 Y染色体1本=精巣形成遺伝子×1個
 α染色体2本=卵巣形成遺伝子×2個
 β染色体2本=精巣形成遺伝子×2個
となります。
この場合、性染色体上の精巣形成遺伝子が2個に対し、同じく性染色体上の卵巣形成遺伝子は1個しかありません。こうなると、卵巣形成>精巣形成のルールも、力学関係が変わってきます。
すなわち、性決定遺伝子の抑制(拘禁)関係が、精巣形成遺伝子×2個>卵巣形成遺伝子×1個となり、X+Y染色体上の精巣形成遺伝子2個によって、X染色体上の卵巣形成遺伝子1個と、α染色体上の卵巣形成遺伝子2個が抑制(拘禁)され、X+Y染色体上の精巣形成遺伝子と、β染色体上の精巣形成遺伝子が発現し、オスになります。
このように、性決定遺伝子の抑制(拘禁)力学関係と、性染色体を関係付けて考えると、性決定を行っているのは、まだ見つかっていない(=存在が怪しい)「マスター遺伝子」などではなく、「X・Y染色体」と言う性染色体の存在そのものであると言うことが出来ます。
すなわち「性染色体」とは、(爬虫類などの)温度環境要因による不安定な性決定ではなく、性決定遺伝子の力学関係を、システム的に制御し、安定的にオス・メス分化を可能にするシステムと結論付けられます。


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