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性決定のタイプ(両生類から哺乳類)

両生類から哺乳類の性決定のタイプを概観してみました。
遺伝的に性が決まる場合には、一般に性染色体上に存在する性を決める遺伝子(性決定遺伝子)に従って生殖腺や脳が性分化を起こす。ただし、この遺伝子は最初のきっかけをつくるスイッチでしかなく、その後次々と生成されるタンパク質が連鎖反応を起こし、雌雄器官を形成する。
脊椎動物の中でも、哺乳類の性決定遺伝子(スイッチ)としてSRY遺伝子(Sex-determining Region on the Y chromosome)が特定されている。このSRY遺伝子は多くの哺乳類で共通の性決定遺伝子である。このSRY遺伝子の有無が様々な遺伝子の発現を引き起こし、生殖腺(精巣・卵巣)が分化する。
哺乳類以外のこれらの脊椎動物についても、SRYと相同な遺伝子を探す研究なされた。しかし、鳥類・爬虫類・両生類、魚類どの動物でもSRY遺伝子は見つからなかった。
哺乳類以外の脊椎動物の性決定機構はどのようなものなのだろうか。
爬虫類では、受精に時点で性が遺伝的に決定されても、その後も不変とはいえない。孵卵の環境、とくに温度によって、雄になったり雌になったりする。
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両生類は今までに約50種の核型 [1]が決定されている。
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鳥類の性は、哺乳類と同様遺伝的に決定されている。性染色体の組み合わせがZW(ヘテロ)が雌、ZZ(ホモ)が雄となる。哺乳類がY染色体で雄になると同様に、鳥類はW染色体で雌になると考えられるが、実はまだはっきりわかっていない。
↓おまけとして、性転換する魚類があります。その前に
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一部の魚類の中には、爬虫類と同様に温度や水温、pHなどの環境要因が性を決定する場合や以下のように群れの中の大きさを認識して性転換してしまう種もいる。
ハワイ産ベラは一生の間に、雌から雄での一方方向の性転換をおこす。
大きいメスと小さいメスを同じ水槽に入れておくと、大きいメスはオスへと性転換するのである。水槽内を透明な板で区切り、各区画に大きいメスと小さいメスをそれぞれ泳がせた場合は、通常通り大きいメスがオスへと性転換した。しかし、区切り板を不透明なものに替えると、性転換は起こらなくなった。このことからベラでは、大きいメスがオスに性転換するのに、近くに同種の自分より小さいメスがいることを視覚で認識することが必要とわかる。
 一方、複数回性転換できるオキナワベニハゼは、同一個体に卵巣と精巣両方をもち、そのどちらに生殖腺刺激ホルモンを作用させるかによって雌雄を切り替える。
 オキナワベニハゼも視覚によって自分と相手の体サイズを認識し、雌雄を切り替えていることが分かっている。全長3.74cmのオスと全長3.50cmのオスを同じ水槽内に泳がせておくと、全長3.50cmのオスは性転換し10日後には産卵する。視覚による体サイズの大小の認識は、かなり微妙な大小の差まで認識可能であることが分かる。
参照引用
雄と雌が決まる仕組み [4]
両生類の性決定及び性分化 [5]

[6] [7] [8]