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男(オス)と女(メス)があるのはなんでだろう?②

さて、男(オス)と女(メス)があるのはなんでだろう?の続きを行ってみたい。
■あまりに非効率な“性システム”がなぜ生物界で優勢なのか?

無性生殖の最大の問題は、ほとんどそっくり同じ子孫が大量にできてしまうことだ。
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このことは、その生物だけの事を考えれば不都合でもなんでもない(それどころが極めて効率的)のだが、あらゆる生物にはというものがいるというのを忘れてはいけない。捕食者も恐ろしい敵には違いないが、実は、「感染」・「寄生」という適応戦略を採るウイルス・細菌などは、目には見えないが別の意味で非常に恐ろしい存在なのだ。そうした病原体の侵入をやすやすと許さないよう、それぞれの生物(細胞)は膜や壁をつくりしっかり守りを固めている。
 
無性生殖を行う生物集団に対し、彼らに感染できるウイルス・細菌がいっぺん登場してしまうとどうなるだろう。どの部屋もすべて同じ鍵穴の建物を、鍵を持った泥棒に侵入されまくっているようなもんで、その生物集団は残らず全滅してしまう。実際は、無性生殖の生物も突然変異によってときどき鍵穴の構造は変わっているのだが、病原体は世代交代の時間が極めて短く、すさまじいスピードで新しい変化に対応した鍵を作りあげてしまう(しかも、突然変異の結果できる個体はほどんどが環境に対して不適応で、生物にとっては非常に危険な賭けである)。
これに対抗するために生まれたのが、“性”というシステムだったのではないかと思う。
部屋(個体)ごとに異なる錠前を、次世代に作り出す仕組みを持った生物がうまれ、それが「増殖が極めて非効率的である」というハンディ(http://moer.but.jp/blogn/index.php?eid=30 [3])を超えて優勢になったのではないだろうか。
必要なのは、ちょっとずつ異なる鍵穴を持つ同類他者から構成される個体群。たとえその生物集団のある個体の鍵穴は突破されその個体が死んだとしても、「個体群」としては次代に子孫を残せるわけだ。
実際、様々な生物において、より多様な同類他者を生み出すための習性が観察されていることも、この仮説を補強する。
もちろん、人間においても^^;)
http://moer.but.jp/bbs/bbs.php?i=200&c=400&m=23805 [4]
生物はもともと雌雄分化なんてしてなかった…ということは男と女はもともとは一つだった…なんて考えると、代々木忠著『プラトニック・アニマル』の次の一文が想い起こされる。

男と女は、もともと一つのものが分かれたのではないか、と私は思う。だからSEXとは見方を変えれば、分かれた二つのものが一つに戻ろうとする行為とも言える。分かれた際、男は男的なる部分を、女は女的なる部分をたくさん持つことになった。それぞれ自分に足りない部分、つまり男は女的なる部分を、女は男的なる部分を求めてしまう。しかし、お互いが求め合ってもそれが得られないのは、すでに述べたとおりである。自分に足りない部分を相手から補って等分にしようとするのではなく、自分に多い部分を相手に与えて等分にしようとしたとき、二つに分かれてしまったものは元の一つに戻ることができる。そこには自分という名のエゴのバリアもない。


いやあ、ありがたやありがたや…
というわけで、このシリーズは③へ続く。

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