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“ねずみ算”を支える卵子の中心体

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 魚類や両生類の多産多死戦略に対して、多くの哺乳類では、少産少死という戦略を採っている。ヒトの雌は生涯を通じて僅か420個しか排卵せず、さらに一回に放出される何万という精子も殆どが受精には至らず、受精段階での淘汰圧力を高めている。
ところが、うららさんが投稿しているマウス(ラット)の繁殖能力はずば抜けて高い。
性成熟  40-60日
発情周期 4- 5日
妊娠期間 19-21日
哺乳期間 17-21日
産仔数  6-13匹
マウス(ラット)の繁殖能力は、卵子の構造的違いが支えている。
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 ヒトや多くの哺乳類では、受精した細胞が分裂する際、染色体を引っ張る中心体には精子由来のものが使われている。減数分裂した際、卵子からは中心体が消失するのである。
一方、マウス(ラット)の場合、卵子に中心体がいくつも存在している。そのため、精子に中心体が存在していなくとも、あるいは精子の中心体が機能していなくても受精が可能である。すなわち、受精段階でのハードル、つまり淘汰圧力を一段階下げていることが、6-13匹というマウスの産仔数の直接の理由と考えられる。
なお、2つの卵子から子マウスを作る(広義の単為発生)ことに東京農大が成功しているが、マウス(ラット)の発生は、精子が無くても比較的容易であると言える。つまり、雌雄分化の厳密さよりも多産戦略を採ったことの証左と言えるのではないか。
逆に、例えばヒトでは、精子に中心体が存在し機能しなければ、受精後分裂することはできない。それだけ、卵子と精子の分化はより厳密なものに進化していると言える。

雌雄に分化した系統の生物は、適応可能性に導かれて進化すればするほど、安定と変異という軸上での性の差別化をより推進してゆくことになる。http://www.rui.jp/ruinet.html?i=100&c=1&t=2#02 [4]

マウス(ラット)がなぜ多産多死戦略を採ったかは別稿に譲るが、性の差別化を推進してきたヒトとは別系統で進化した種か。
 
 

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